- 著者
-
山崎 武俊
- 出版者
- 公益財団法人 日本心臓財団
- 雑誌
- 心臓 (ISSN:05864488)
- 巻号頁・発行日
- vol.48, no.5, pp.504-510, 2016 (Released:2017-05-15)
- 参考文献数
- 6
動悸を主訴に外来を受診する患者は多く, それらの中で病的な動悸として心臓の調律異常 (不整脈) を表現している場合があり, その適切な診断および治療は患者の心事故を防ぐために極めて重要である. しかし, 胸苦しさや息切れを含めて動悸として訴えることも多く, 西洋医学的に病的意義を持たないことも多い. 一方, 漢方医学は疾患の有無にかかわらず, 患者の体質 (虚実) に合わせて治療することができる. 動悸を主訴として外来を受診した50名を対象に, 西洋医学的検査を中心とした初期診断を行う. 西洋医学的疾患の治療が必要とされたときはそれを優先する (西洋薬単独, W群 : 7名). 西洋医学的疾患が明らかでないときは患者と相談し, 漢方薬単独 (K群 : 25名), 漢方・西洋薬併用 (KW群 : 18名) による治療を行い, その症状改善効果を検討した. 治療の有効性としては, 西洋薬単独群 (有効率 : 100%), 漢方薬単独群 (有効率 : 96%), 漢方・西洋薬併用群 (有効率 : 100%) のいずれの群においても高い有効率を示した. 動悸/不整脈に対して, 西洋医学および漢方医学的治療を併用することで, 予後および症状の改善に大きな効果が期待できる.