著者
林 孝典 山崎 真一郎 森田 直人 相田 仁 武市 正人 土居 範久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.84, no.3, pp.523-533, 2001-03-01
被引用文献数
20

本論文では, インターネットの複数経路にパケットを分配してデータ伝送する方式について検討し, 各経路へのパケット分配方法とパケット順序の並べ替えの効果をシミュレーションにより評価した.シミュレーションでは, 同じ回線速度の2経路を用いてファイル転送する場合を対象とした.また, ネットワーク品質として, 固定伝送遅延時間, 遅延ゆらぎ, パケット損失を考慮した.その結果, データ送信側ではパケットを送信バッファ待ち時間が短い経路へ分配し, データ受信側ではパケット順序の並べ替えを行うと同時に, 2経路からパケットを受信してもデータの連続性が更新されなかった場合は, パケット損失が発生したと判断して順序待ちを解除する方式が, 最も安定したスループットが得られることがわかった.また, 2経路の遅延時間差が4パケット時間以内の場合は, パケットを2経路に交互に分配する方法を用いれば, パケット順序の並べ替えを行わなくても, 前者の方式と同等の性能が得られることがわかった.