著者
伊藤 隆 田中 哲朗 胡振江 武市 正人
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.10, pp.3012-3020, 2002-10-15

``しりとり''を完全情報ゲームとして数学的に定義した``しりとりゲーム''を考えると,グラフ上のゲームとしてモデル化することができる.これは完全情報ゲームであるため理論上は解けることになるが,問題のサイズが大きくなるにつれ全探索は困難となる.本論文では,しりとりゲームに関する解析を行い,ゲームを効率的に探索する手法を提案する.この手法は数理的解析,探索の効率化の2つの部分から成っており,数理的解析としてグラフのより簡単な形への変形を行っている.加えて,しりとりゲームにおける先手の勝率に関して実験,考察を行う.The word-chain game (SHIRITORI in Japanese) in which two players are assumed to know all the words can be modeled as a game on graph.When given a set of words with a word to start,it is theoretically possible to decide whether the first player can win the game or not because it is a game with perfect information,but it is practically difficult to find the solution because of the huge searching space.In this paper,we propose a mathematical approach to finding a solution to the word-chain game.We show how to simplify the game by means of mathematical analysis,and give a more efficient searching algorithm.In addition, we examine the possibility for the first player to win the game.Our experimental results show that our approach is quite promising.
著者
田中 久美子 犬塚 祐介 武市 正人
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.10, pp.3087-3096, 2002-10-15
参考文献数
12
被引用文献数
10

本稿では,携帯電話のための子音漢字変換による日本語入力方式を議論する.子音漢字変換では,ユーザが子音列を入力し,これを子音漢字変換ソフトウエアが漢字混じりの日本語に直接変換する.従来のかなを入力する方式では1かなあたり複数回キー入力を行う必要があるのに対し,子音入力を用いると,1かなあたり1回だけの入力で済む.一方で,子音漢字変換を行うと,かな漢字変換の7倍にものぼる候補を扱わざるをえない.そこで,本研究においては,隠れマルコフモデルを用いた言語モデルにPPM(Prediction by Partial Match)を融合させた動的な言語モデルを用いてユーザの語彙選択の傾向を学習させることにより,入力効率を追求した.その結果,現行のかな入力方式に対して打鍵数を半減させることができた.ユーザ実験を行った結果でも,現行の方式よりも短時間で入力を行うことができることが分かった.We discuss a Japanese text entry method for mobile phones. Differentfrom the current methods based on kana kanji conversion, our systemasks user only to enter the sequence of consonants that requiressingle stroke per kana character. Our consonant-kanji conversionsystem then converts the sequence directly into the final kanji form.Although such consonant-kanji system should handle seven times morecandidates than kana-kanji conversion system, we found that user mayenter the same text with half number of keystrokes within shortertime. The key to realize such consonant kanji conversion system liesin our dynamic language model based on Hidden Markov Model and Predictionby Partial Match (PPM) method.
著者
石井 裕一郎 武市 正人
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. PRO, [プログラミング]
巻号頁・発行日
vol.97, no.9, pp.1-8, 1997-01-23

遅延評価関数型言語では、プロセスを決定的な関数として表現する手法がよく用いられ、この際入出力の処理は関数の外側にあるOS核が担当する。しかしこの手法では、非決定的処理を表現することも複数のプロセスからの要求が到着した順に処理をするサーバやOS核そのものの記述もできない。そこで我々は、関数型言語に一般的な単一代入ができる擬データを導入し、関数として表現されたプロセスが相互に通信する並行プロセス群全体をも関数として取り扱う機構を提案し、その処理系gofjavaを作成した。コンソール入出力やアブレット等のGUIもこの枠組で扱うことができる。本稿では、このような機構による並行プロセス群の記述とその実現法を述べる。
著者
伊藤 隆 田中 哲朗 胡振江 武市 正人
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.10, pp.3012-3020, 2002-10-15

``しりとり''を完全情報ゲームとして数学的に定義した``しりとりゲーム''を考えると,グラフ上のゲームとしてモデル化することができる.これは完全情報ゲームであるため理論上は解けることになるが,問題のサイズが大きくなるにつれ全探索は困難となる.本論文では,しりとりゲームに関する解析を行い,ゲームを効率的に探索する手法を提案する.この手法は数理的解析,探索の効率化の2つの部分から成っており,数理的解析としてグラフのより簡単な形への変形を行っている.加えて,しりとりゲームにおける先手の勝率に関して実験,考察を行う.
著者
伊藤 隆 田中 哲朗 胡振江 武市 正人
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2001論文集
巻号頁・発行日
vol.2001, no.14, pp.56-63, 2001-10-26

’しりとり’を完全情報ゲームとして数学的に定義した’しりとりゲーム’を考えると,グラフ上のゲームとしてモデル化することができる.これは完全情報ゲームであるため理論上は解けることになるが,問題のサイズが大きくなるにつれ全探索は困難となる.本論文では,しりとりゲームに関する解析を行い,ゲームを効率的に探索する手法を提案する.この手法は数理的解析,探索の効率化の二つの部分から成っており,数理的解析としてグラフのより簡単な形への変形を行っている.加えて,しりとりゲームにおける先手の勝率に関して実験,考察を行う.
著者
松田 一孝 胡 振江 中野 圭介 浜名 誠 武市 正人
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.2_56-2_75, 2009-04-24 (Released:2009-06-24)

双方向変換は,元のデータの一部を抽出し加工する順方向変換と,順方向変換で得られたデータに対する変更を元データに書き戻す逆方向変換の二つの変換から構成される.双方向変換を用いることで,XML文書の同期や相互変換を行える.さらには,双方向変換はプレゼンテーション指向の文書作成やソフトウェアエンジニアリングにも利用できる.著者らは2007年に,順方向変換を記述するプログラムが与えられたときに自動的に逆方向変換を得る系統的な手法を提案した.しかし,そこで扱われている順方向のプログラムは制限が強く,制限の一つとして変数を二度以上使用することが禁止されていたため,複製を含む変換は記述できなかった.そこで本論文では,前手法を拡張し,複製を含むプログラムにおいても自動的に逆方向変換を得る手法を提案する.
著者
柳井 啓司 田中 哲朗 武市 正人
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告計算機アーキテクチャ(ARC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.13, pp.55-60, 1996-01-26
参考文献数
8

関数型言語向きアーキテクチャを持つプロセッサを,1万ゲート相当のFPGAを用いて実現した.本プロセッサは通常命令を実行するノーマルモードと関数型言語実行のためのリダクションモードの2種類の実行モードを持つ.リダクションモードでの実行を使用頻度の高い5つコンビネータにとどめ,他のコンビネータをノーマルモードで実行するという方針で設計をした結果,少量のハードウェアの追加で製作でき,ノーマルモードのみの実行と比較して5倍程度の速度の向上が確認された.A processor for functional languages was implemented on a Field Programmable Gate Array (FPGA) with 10 thousand gates. This processor has two execution modes, "normal mode" for execution of normal instructions and "reduction mode" for reduction of combinators. The design of this processor is to execute five frequently used combinators in reduction mode and others in normal mode. Combination of normal mode and reduction mode enables the processor to execute functional programs about five times as fast as that only with normal mode.
著者
柳井 啓司 田中 哲朗 武市 正人
雑誌
情報処理学会研究報告計算機アーキテクチャ(ARC)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.13(1995-ARC-116), pp.55-60, 1996-01-26

関数型言語向きアーキテクチャを持つプロセッサを,1万ゲート相当のFPGAを用いて実現した.本プロセッサは通常命令を実行するノーマルモードと関数型言語実行のためのリダクションモードの2種類の実行モードを持つ.リダクションモードでの実行を使用頻度の高い5つコンビネータにとどめ,他のコンビネータをノーマルモードで実行するという方針で設計をした結果,少量のハードウェアの追加で製作でき,ノーマルモードのみの実行と比較して5倍程度の速度の向上が確認された.
著者
松田 一孝 大川 徳之 野村 芳明 森田 直幸 筧 一彦 胡振江 武市 正人
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.84-98, 2006-02-15

ファイルの操作において,ショートカットまたはシンボリックリンクといった別名の存在は,しばしばユーザを混乱させる.初心者にとってファイル実体と別名との区別は難しい,たとえば通常のファイルマネージャでは,ファイル実体を削除してもそれを指し示している別名は消えずに残り,逆に別名を削除しただけではファイル実体は削除されない.そこで,我々はファイルへの参照すべてを対称かつ統一的に抽象化して扱うファイルマネージャを,木上の双方向変換の技術を用いて実現する.我々のファイルマネージャの上では,1 つのファイルへの複数の参照は互いに同期されており,1 つを変更すると必ず同期された別の部分に伝播される.たとえば,1 つをディレクトリ木から削除すると残りも削除される.さらに,双方向変換を利用することにより,ディレクトリ木からの情報を抽出し操作して表示するなどのディレクトリ木の"見せ方" を抽象化および拡張でき,またその"見せ方"自体も変更することができる.このような"見せ方" の操作やファイル木に対する編集操作は,GUIを通して対話的に実行することができる.本論文では,この木上の双方向変換を利用したファイルマネージャの設計とその実装とを示す.File management is sometimes confusing due to the difference between files and their shortcuts (or symbolic links). While deleting shortcuts to a file can leave the file entity as it is, deleting a file entity may lead to dangling shortcuts. To resolve this problem, we apply the technique of bidirectional tree transformations to design and implement a new file manager which can treat file references in a symmetric and uniform way. This file manager is unique in its synchronization mechanism which eliminates the confusing difference of file references. Plural file references are synchronized, and changes applied on one reference will propagate to the others. For example, if one of the synchronized file references is deleted, the rest are also deleted automatically. This synchronization mechanism can be efficiently implemented based on bidirectional tree transformations. In this paper, we show the design and the implementation of our file manager. The interactive graphical user interface of our file manager enables us to manipulate file references easily, in which bidirectional tree transformations can produce complicated dependency.
著者
林 孝典 山崎 真一郎 森田 直人 相田 仁 武市 正人 土居 範久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.84, no.3, pp.523-533, 2001-03-01
被引用文献数
20

本論文では, インターネットの複数経路にパケットを分配してデータ伝送する方式について検討し, 各経路へのパケット分配方法とパケット順序の並べ替えの効果をシミュレーションにより評価した.シミュレーションでは, 同じ回線速度の2経路を用いてファイル転送する場合を対象とした.また, ネットワーク品質として, 固定伝送遅延時間, 遅延ゆらぎ, パケット損失を考慮した.その結果, データ送信側ではパケットを送信バッファ待ち時間が短い経路へ分配し, データ受信側ではパケット順序の並べ替えを行うと同時に, 2経路からパケットを受信してもデータの連続性が更新されなかった場合は, パケット損失が発生したと判断して順序待ちを解除する方式が, 最も安定したスループットが得られることがわかった.また, 2経路の遅延時間差が4パケット時間以内の場合は, パケットを2経路に交互に分配する方法を用いれば, パケット順序の並べ替えを行わなくても, 前者の方式と同等の性能が得られることがわかった.