著者
山崎 貴博 木藤 伸宏 阿南 雅也 新小田 幸一
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.25, no.6, pp.951-956, 2010 (Released:2011-01-28)
参考文献数
34
被引用文献数
2

〔目的〕本研究の目的は,変形性膝関節症者の歩き始めにおける外部膝関節内反モーメントの特徴を主成分分析を用いて明らかにすることである。〔対象〕被験者は変形性膝関節症の女性10名19肢と膝関節痛のない中年女性10名10肢であった。〔方法〕課題動作は歩き始めの動作とし,3次元動作解析装置と床反力計を用いて,立脚肢の外部膝関節内反モーメントを算出した。歩き始めの外部膝関節内反モーメントの時系列変化から,主成分分析を用いて抽出された主成分得点に対して群間の比較を行った。〔結果〕主成分数は第3主成分までとなり,各主成分に対する群間の比較では,第1主成分得点のみ膝OA群と対照群の間で有意差が認められた。〔結語〕本研究において,膝OA群は歩き始め開始時より外部膝関節内反モーメントが継続的に大きいことが明らかとなった。したがって,膝OA患者の外部膝関節内反モーメントの大きさに影響を与える要因の一つとして立位時の下肢アライメントの状態を考慮する必要がある。
著者
木藤 伸宏 新小田 幸一 金村 尚彦 阿南 雅也 山崎 貴博 石井 慎一郎 加藤 浩
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.23, no.5, pp.633-640, 2008 (Released:2008-11-21)
参考文献数
28
被引用文献数
2 2

〔目的〕本研究は足踏み動作時の外部膝関節内反モーメントを内側型変形性膝関節症(膝OA)群と健常群で比較した。さらに膝OA群の外部膝関節内反モーメントと疼痛,身体機能との関係を明らかにすることを目的とした。〔対象〕被験者は内側型変形性膝関節症と診断された女性30名(膝OA群),健常女性18名(対照群)であった。〔方法〕動作課題とした足踏み動作を,3次元動作解析装置と床反力計を用いて計測した。疼痛と身体機能に関してはWOMACを用いて評価した。〔結果〕外部股関節内転モーメント,外部膝関節内反モーメントは膝OA群と対照群で有意な差はなかった。外部膝関節内反モーメント比率は,片脚起立期では膝OA群は対照群より有意に大きかった。片脚起立期の外部膝関節内反モーメントは,疼痛に影響を与える要因である可能性が示唆された。疼痛は身体機能に影響を与える要因であった。〔結論〕膝OAの理学療法では外部膝関節内反モーメントを減少させる治療戦略が重要であることが示唆された。