著者
八木 優英 鈴木 謙太郎 阿南 雅也 新小田 幸一
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.213-216, 2012 (Released:2012-06-13)
参考文献数
12
被引用文献数
3

〔目的〕本研究の目的は足関節機能的不安定性(FAI)を有する者の片脚立位時の下肢の筋電図学的特徴の解明である.〔対象〕片側足関節にFAIを有する若年成人11人を対象にし,患側と健側で比較した.〔方法〕課題動作は側方一歩移動後の片脚立位とし,筋電情報を筋電図モニタリングプログラムで,床反力情報を床反力計で計測・解析した.〔結果〕長腓骨筋,前脛骨筋の平均周波数は,患側が健側に比べ有意に高域化し,中殿筋の筋活動量は健側に比べ患側が有意に増加し,中殿筋の最大筋力は患側が健側より有意に低値を示した.また動作時間は患側が有意に長かった.〔結語〕FAIを有する人の患側で,足関節機能低下に対し足関節周囲の筋収縮を増強,中殿筋の活動量増大という筋活動様式の変化で対応することが示唆されたが,動作時間は延長した.
著者
阿南 雅也 徳田 一貫 木藤 伸宏 新小田 幸一
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.755-760, 2010 (Released:2010-11-25)
参考文献数
18
被引用文献数
3 2

〔目的〕本研究は,体幹および下肢の運動連鎖の観点から変形性膝関節症(膝OA)の発症・進行に関与する機能障害を明らかにするために,膝OA患者における椅子からの立ち上がり動作(STS)の運動学的分析を行った。〔対象〕膝OAと診断された女性17名の膝OA群と膝関節痛を有さない女性16名の対照群とした。〔方法〕課題動作は座面高が下腿長の高さの椅子からのSTSとした。3次元動作解析システムKinema Tracer(キッセイコムテック社製)を用いて各体節および下肢関節の角度を求めた。〔結果〕身体重心(COM)前方移動期における各体節の角速度の平均値には有意差が認められなかったが,COM上方移動期における膝関節伸展,足関節底屈の角速度平均値は対照群に比し,膝OA群が有意に小さかった。〔結語〕膝OA群のSTSにおいて,臀部離床後に体幹前傾で得られた速度を下肢に伝えることができず,適切な膝関節の関節運動および肢節のアライメント保持が難しくなっていることが示唆された。
著者
木村 悠人 阿南 雅也 高橋 真 林 秀俊 新小田 幸一
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.541-546, 2016 (Released:2016-08-31)
参考文献数
21

〔目的〕LCS患者の着座動作の運動学的特徴を明らかにすることであった.〔対象と方法〕LCS群24人と対照群18人とした.着座動作の動きを,デジタルビデオカメラを用いて撮影し,各体節および下肢関節の角度と角速度,身体重心(COM)を求めた.〔結果〕下方移動相では,LCS群は膝関節屈曲が有意に小さく,体幹傾斜および股関節角速度の加速と減速の切り替え頻度が高かった.後方移動相では,LCS群はCOMの後方移動と骨盤後傾が大きく,膝関節角速度の加速と減速の切り替え頻度が高かった.〔結語〕LCS群の着座動作において,下方移動相では体幹と下肢の協調性が低下しており,後方移動相ではCOMがより後方に変位するために,より大きな膝関節伸展筋力を必要とする戦略をとっていることが示唆された.
著者
石井 寛海 阿南 雅也 森 淳一 山口 豊
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.46, pp.H2-225_1-H2-225_1, 2019

<p>【症例紹介】変形性膝関節症(以下,膝OA)患者の人工膝関節置換術(以下,TKA)後の理学療法は,下肢筋力トレーニング,関節可動域運動,歩行練習などが一般的に行われている.大腿四頭筋の筋力は,TKA後の最初の数週間にてTKA前よりもより低下するとされており,その筋力低下はTKA後数年経っても完全には解決できていないことが報告されている.TKA後の大腿四頭筋の筋力低下の原因は,単独で生じる筋萎縮のみならず,手術侵襲,術後安静,および関節原性筋抑制(以下,AMI)も挙げられる.また,膝OA患者の神経筋系の特徴として,膝周囲筋群の共同収縮が挙げられる.膝OA患者は歩行時の膝関節周囲筋の共同収縮が増大するとの報告があり,膝関節の病態を取り除いたTKA後の歩行でも報告されている.そこで今回、膝OA後のTKAを施行した症例に対し,膝関節周囲筋の共同収縮に着目し,質的な筋機能の改善を目的として介入した症例を報告する.</p><p> 症例は80歳,女性.数年前より膝関節痛のため階段昇降や長距離歩行が困難となった.1年前に左膝TKA施行し,今回は急性期病院にて右膝TKAを施行し術後3週で当院へ入院された.主訴は,「膝が曲がるようになってほしい、バスに乗りたい.」であった.</p><p>【評価とリーズニング】当院入院1週間後に初期評価を実施した.右膝関節可動域は他動運動で膝屈曲120°/膝伸展−5°,自動運動では屈曲105°/伸展-5°.右膝関節屈曲時に術創部,大腿直筋の伸張痛あり.NRSは2/10,圧痛は無く軽度の熱感あり.膝伸展筋力はMMT4レベル.Extension lagは陰性.共同収縮の評価は座位での膝伸展運動時における共同収縮の指標であるCo-Contraction Index(以下,CCI)とした.表面筋電計NORAXON(酒井医療)を使用し,膝伸展運動時の筋電図を計測した.被検筋は外側広筋(以下,VL)・内側広筋(以下,VM)・外側ハムストリングス(以下,LH)・内側ハムストリングス(以下,MH)・腓腹筋外側頭(以下,LG)・腓腹筋内側頭(以下,MG)とした.CCIはFalconarらが推奨する算出方法にて,VMとMH,VMとMG,VLとLG,VLとLG間で算出した.CCIは値が大きい程より共同収縮が強いことを示し,膝関節伸展運動時のCCI(%)は,VM:MHは57,VM:MGは33,VL:LGは76,VL:LGは64であった.</p><p>【介入内容および結果】質的な筋機能の改善を目的に,端座位での膝伸・屈曲展運動を10回3セット実施した. 膝下垂位から3秒間で膝最大伸展位になるように膝伸展運動を行い,その後3秒間で膝下垂位となるように膝屈曲運動を意識して行うように指導した.その他,理学療法内容として関節可動域運動や歩行練習,階段昇降練習を1週間実施した.</p><p>結果,関節可動域やNRS,MMT, Extension lagに変化はなかった.膝関節伸展運動時のCCI(%)は,VM:MHは57→41,VM:MGは33→17,VL:LGは76→54,VL:LGは64→33と全てにおいて減少した.</p><p>【結論】本症例では,質的な筋機能の改善のために端座位での単関節運動による開放的運動連鎖(以下,OKC)のトレーニングを行った.特に,膝伸展筋である大腿四頭筋を求心性収縮と遠心性収縮にて選択的に促通した.その結果,初期評価時に共同収縮は高い数値を示していたが,1週間後には軽減していた.先行研究では,TKA後1ヶ月での大腿四頭筋の筋活性化は,筋力の大きさと同様に術前よりもさらに低下するとされている.介入期間を考慮すると,主動作筋である大腿四頭筋と拮抗筋であるハムストリングスの相反抑制を正しく再学習することで共同収縮の改善に至ったのではないかと考える.このことから,TKA後には筋力トレーニングによって量的な改善を促すより,質的な改善を目指すことで質的な筋機能の向上が期待できることが明らかになった.しかしながら,実際に随意的な筋活性化が改善されたかどうかは,本症例では明らかにできてはいない.今後,共同収縮と随意的な筋活性化の関係性や共同収縮を効果的に改善する運動療法を模索・検証していきたい.</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】本研究はヘルシンキ宣言に基づき当該病院の倫理審査委員会の承認(A0017)と被験者の同意を得て実施した.</p>
著者
山崎 貴博 木藤 伸宏 阿南 雅也 新小田 幸一
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.25, no.6, pp.951-956, 2010 (Released:2011-01-28)
参考文献数
34
被引用文献数
2

〔目的〕本研究の目的は,変形性膝関節症者の歩き始めにおける外部膝関節内反モーメントの特徴を主成分分析を用いて明らかにすることである。〔対象〕被験者は変形性膝関節症の女性10名19肢と膝関節痛のない中年女性10名10肢であった。〔方法〕課題動作は歩き始めの動作とし,3次元動作解析装置と床反力計を用いて,立脚肢の外部膝関節内反モーメントを算出した。歩き始めの外部膝関節内反モーメントの時系列変化から,主成分分析を用いて抽出された主成分得点に対して群間の比較を行った。〔結果〕主成分数は第3主成分までとなり,各主成分に対する群間の比較では,第1主成分得点のみ膝OA群と対照群の間で有意差が認められた。〔結語〕本研究において,膝OA群は歩き始め開始時より外部膝関節内反モーメントが継続的に大きいことが明らかとなった。したがって,膝OA患者の外部膝関節内反モーメントの大きさに影響を与える要因の一つとして立位時の下肢アライメントの状態を考慮する必要がある。
著者
徳田 一貫 新小田 幸一 羽田 清貴 合津 卓朗 田中 泰山 吉田 研吾 木藤 伸宏 菅川 祥枝 本山 達男 川嶌 眞人 阿南 雅也
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.437-442, 2014 (Released:2014-07-03)
参考文献数
23
被引用文献数
1 2

〔目的〕変形性膝関節症のlateral thrustと膝関節の回旋の関係を明らかにすることである.〔対象〕対照群8人,膝OA群13人であった.〔方法〕ハイスピードカメラを用いて歩行立脚時の関節角度を解析し,3軸角速度計を用いて大腿と下腿の回旋角速度を解析した.〔結果〕対照群に比し,軽度膝OA群は荷重応答期から立脚中期の下腿の外旋角速度が有意に小さく,重度膝OA群は立脚期の両肩峰傾斜,下腿傾斜,膝関節内反角度が有意に大きかった.膝OA群の膝関節内反角度は,荷重応答期から立脚中期の下腿の外旋角速度が関連要因であった.〔結語〕膝OAの初期は荷重応答期から立脚中期の大腿部に対する下腿部の適合性が低下し,膝OAの重症化に伴いlateral thrustへと繋がることが示唆された.
著者
徳田 一貫 長部 太勇 阿南 雅也 木藤 伸宏
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.C0902, 2008

【目的】変形性膝関節症(以下膝OA)の着座動作において、動作時の疼痛や動作困難、動作遂行における後方への不安感などが臨床上よく見られる。そこで本研究では、膝OAの着座動作における運動学的分析を行い、臨床症状・動作困難に繋がる運動戦略の関係を明らかにする事を目的として行った。<BR>【方法】被検者は片側性あるいは両側性内側型膝OAと診断された女性21名(63.6±9.7歳)を膝OA群とし、日常生活で膝関節痛を有しない女性15名(61.6±7.5歳)を比較のために対照群として加えた。本研究はヘルシンキ宣言に基づき実施した。課題動作は立位姿勢から座面高が下腿長の高さの椅子への着座動作とした。運動学的データ計測は被検者の左右肩峰、腸骨稜上端、股関節(大転子中央と上前腸骨棘とを結ぶ線上で大転子から1/3の点)、膝関節(大腿骨遠位部最大左右径の高さで矢状面内の膝蓋骨を除いた幅の中央点)、外果、第5中足骨骨頭にマーカーを貼付し、3次元動作解析システムKinema Tracer(キッセイコムテック社製)を用いて60 flame/sにて画像を記録した。その画像から臨床歩行分析研究会の推奨する推定式にて関節中心点座標と身体重心座標(COG)および身体体節角度を算出した。データ解析は動作開始から足関節最大背屈までのそれぞれのCOG軌跡を比較し、股関節、膝関節、足関節、胸部、骨盤の身体体節角度変化量を算出した。その中で股関節・膝関節角度変化量の割合について比較した。また、股関節および膝関節座標の軌跡量を算出し、その比率を比較・検討した。<BR>【結果】膝OA群における動作開始から足関節最大背屈までのCOG軌跡は、対照群に比べて後方への移動変化量が少なく垂直下降の軌跡がみられた。関節角度変化は対照群に比べて膝OA群は膝関節屈曲・足関節背屈が有意に少なく、骨盤・胸部の前傾角度が有意に大きかった(p<0.05)。また、膝OA群の股関節・膝関節屈曲角度の割合においては膝関節屈曲角度の割合が少なく、股関節および膝関節座標の軌跡量は膝関節座標の移動量が有意な低下がみられた(p<0.05)。<BR>【考察】膝OA群において骨盤・体幹機能低下などにより骨盤・胸部をより前傾させ動作戦略を行うため、COGの滑らかな後方移動が困難となる事が示唆された。そのため、股関節・膝関節の屈曲割合が股関節有意な状態となり、股関節・膝関節を協調的に回転軸とする事が困難となり、下腿前傾が低下し膝関節が回転中心となる動作戦略となるのではないかと推察した。つまり、膝OAの理学療法戦略においては胸部-骨盤での安定性を高める事、足部機能改善による下腿前傾を促す事により、股関節・膝関節を協調的に機能させる事が重要であることが示唆される。
著者
羽田 清貴 加藤 浩 井原 拓哉 阿南 雅也 深井 健司 中野 達也 奥村 晃司 杉木 知武 川嶌 眞之 川嶌 眞人
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0120, 2017 (Released:2017-04-24)

【はじめに,目的】我々は,第51回日本理学療法学術大会で,変形性膝関節症(以下,膝OA)患者の歩き始め動作時の外部膝関節内反モーメント(以下,KAM)は健常者よりも有意に高値であり,胸椎や骨盤の回旋運動の低下はKAMを増大させる一要因になる可能性を報告した。そこで,今回は膝OA患者の歩き始め動作時の下肢体節間におけるセグメントトルクパワーを算出し,トルクパワーの極性を明らかにすることで,力学的エネルギーの流れについて詳細に定量化することを目的とした。【方法】対象は膝OA患者14名(平均年齢70.1±7.9歳:以下,膝OA群)と健常成人15名(平均年齢35.0±11.7歳:以下,対照群)で全例女性であった。課題動作は5mの歩行路上の自由歩行とした。計測下肢から一歩目を踏み出し,床反力計を踏むように指示した。一歩目の歩幅の距離は被検者の身長の40%になるように設定した。計測方法は,赤外線カメラ8台を備えた三次元動作解析装置Vicon-MX13(Vicon Motion Systems社製)と床反力計(AMTI社製)1基を用いて実施した。反射マーカーを身体51箇所に貼付し,得られたマーカー座標から8剛体リンクモデルを作成した。1歩行周期が100%になるように正規化し,解析区間は荷重応答期とし,その区間における関節パワー,セグメントトルクパワーの積分値を算出した。統計学的解析にはR2.8.1を用い,正規性の有無に従って,2群間の比較には2標本の差の検定を行った。なお有意水準は5%未満とした。【結果】関節パワーは,股関節,膝関節,足関節はすべて負のパワーであり2群間で有意差は認められなかった。セグメントトルクパワーは,骨盤遠位では,膝OA群は0.24±0.01W・s/kg,対照群は-0.45±0.03W・s/kgで有意差が認められた(p<0.01)。また,下腿遠位では,膝OA群は0.75±0.03W・s/kg,対照群は1.82±0.05W・s/kgで有意差が認められた(p<0.05)。足部近位では,膝OA群は-1.03±0.04 W・s/kg,対照群は-1.95±0.06 W・s/kgで有意差が認められた(p<0.05)。【結論】股関節セグメントトルクパワーは,健常群では骨盤遠位は負のパワー,大腿近位は正のパワーを示したため,骨盤から大腿へ力学的エネルギーの流れが生じていた。一方,膝OA群ではその逆を呈した。すなわち,健常群は骨盤から大腿へと力学的エネルギーの流れが生じることで,股関節伸展モーメントを発生させているのに対して,膝OA群はそれが困難であることが示唆された。足関節セグメントトルクパワーでは,下腿遠位は正のパワー,足部近位は負のパワーを示したため,足部から下腿へと力学的エネルギーの流れが生じていた。しかし,膝OA群は力学的エネルギーの流れが有意に低値であったため,足関節背屈筋による足関節背屈モーメントの発生が不十分であることが示唆された。本研究より,各体節間での力学的エネルギーの流れを明らかにすることが可能であり,臨床にて有益な評価手段になり得ると考える。
著者
八木 優英 鈴木 謙太郎 阿南 雅也 新小田 幸一
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.373-377, 2012 (Released:2012-09-07)
参考文献数
11
被引用文献数
1

〔目的〕本研究は,足関節機能的不安定性(FAI)を有する者の片脚立位時の運動学的および運動力学的な特徴を明らかにすることを目的として行った.〔対象〕片側足関節にFAIを有する若年成人11人(男性9人,女性2人)を対象にし,患側と健側で比較した.〔方法〕課題動作は側方一歩移動後の片脚立位とし,運動学的および運動力学的情報を3次元動作解析システムおよび床反力計にて計測・解析した.〔結果〕後行肢股関節外転運動中の内部股関節内転モーメントの積分値,先行肢内部股関節内転モーメントの積分値,後行肢離床後の股関節内外転・体幹側屈の角度変化量・角速度は患側が健側より有意に高値を示した.さらに動作時間は患側が健側より有意に延長した.〔結語〕患側条件において,後行肢での身体重心の制動を強め動作を行ったが,股関節・体幹を多く用いた姿勢制御を行い,動作に時間を要した.
著者
木藤 伸宏 新小田 幸一 金村 尚彦 阿南 雅也 山崎 貴博 石井 慎一郎 加藤 浩
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.23, no.5, pp.633-640, 2008 (Released:2008-11-21)
参考文献数
28
被引用文献数
2 2

〔目的〕本研究は足踏み動作時の外部膝関節内反モーメントを内側型変形性膝関節症(膝OA)群と健常群で比較した。さらに膝OA群の外部膝関節内反モーメントと疼痛,身体機能との関係を明らかにすることを目的とした。〔対象〕被験者は内側型変形性膝関節症と診断された女性30名(膝OA群),健常女性18名(対照群)であった。〔方法〕動作課題とした足踏み動作を,3次元動作解析装置と床反力計を用いて計測した。疼痛と身体機能に関してはWOMACを用いて評価した。〔結果〕外部股関節内転モーメント,外部膝関節内反モーメントは膝OA群と対照群で有意な差はなかった。外部膝関節内反モーメント比率は,片脚起立期では膝OA群は対照群より有意に大きかった。片脚起立期の外部膝関節内反モーメントは,疼痛に影響を与える要因である可能性が示唆された。疼痛は身体機能に影響を与える要因であった。〔結論〕膝OAの理学療法では外部膝関節内反モーメントを減少させる治療戦略が重要であることが示唆された。