著者
山本 一成 竹内 聖悟 金子 知適 田中 哲朗
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2010論文集
巻号頁・発行日
vol.2010, no.12, pp.42-48, 2010-11-12

本稿では,将棋においてMagicBitboardを適用する手法を提案する.Bitboardはチェスなどの二人ゲームのゲーム木探索で盤面を表現するのに適した手法であり,チェスや将棋の強いプログラムで広く使われている.MagicBitboardは従来のBitboardの手法に比べ,よりシンプルなデータ構造を管理するだけで利きを算出することが可能となる近年開発された手法である.MagicBitboardはチェスの盤面が一つの64ビット整数で表現できることに依存した手法であり,盤面のマス目の数が81マスの将棋で,MagicBitboardを使う方法は知られていなかった.しかし我々は初めて,複数の整数で表現された盤面においてMagicBitboardを使って利きを算出する手法を発明し,Bonanzaを使った実験で我々の手法の効果を示した.
著者
河本 洋一 和田 辰也 山本 一成 藤原 章 宮脇 杜
出版者
札幌国際大学短期大学部
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、ヒューマンビートボックスがどのように発祥し発展を遂げてきたかを、世界的に活躍するビートボクサーの様々な演奏記録から明らかにした。その結果、ヒューマンビートボックスは、ヒップホップ文化の音楽の中で、人間の音声器官を使用して既存の楽器や様々な装置の音を模倣したことが始まりであり、発祥は1984年頃であることが明らかとなった。また、日本においては2000年に入ってから日本人として初めて世界的に認知されたビートボクサーAFRAの登場によって、急速に発展を遂げたことがわかった。今後はアーカイブの分析のためのコーパスの作成が急務である。
著者
山本 一成
出版者
京都大学大学院教育学研究科
雑誌
京都大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13452142)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.305-317, 2013-03-28

Understanding children's experience is an essential task for preschool teachers. It is also an important mission for research on early childhood education. This paper reconsiders research on the practice of early childhood education, to describe the experience of children and teachers, as part of the process of education. Experience cannot be described completely from a single perspective. Theories of description, such as phenomenology and ecological psychology, sometimes provide opposite views with regard to the theme of early childhood educational practices. Research on the practice, from a pragmatic view, cannot define the truth of experience. Truth and goodness are found by teachers as a practical consequence of utilizing the research. The contents of the research should be reconsidered in the process of utilization through dialogue among the text, practitioners, and other researchers. Research on the practice can contribute to the development of practices of teachers by working within their experience and produce continuous dialogue on the meanings and values of children's experience. Research on the practice of early childhood education is an endless inquiry to understand children's experience, and requires a respectful attitude toward a diversity of experience.
著者
山本 一成
出版者
大阪樟蔭女子大学
雑誌
大阪樟蔭女子大学研究紀要
巻号頁・発行日
vol.5, pp.43-50, 2015-01-31

本論文は、保育者と子どもが経験世界を共有することが可能であるかという問いについて、自然実在論に基づく哲学から応えていこうとするものである。実在論の哲学と実践との関係は、知覚の問題に焦点を当てることで結ばれることとなる。本論では、ギブソンのアフォーダンス理論を自然実在論的に解釈することで、私たちが「そこにあるもの」に直接知覚するリアリティが、協働的に確証されるプロセスにあることについて論じる。私たちは「そこにあるもの」の実在を共有しつつ、異なる仕方でそれを経験している。共通の実在を手掛かりに異なる経験世界を共有していくことで、お互いの理解と変容が生じることとなる。以上の議論から、環境の意味と価値は共有可能である一方、多様で汲みつくせないことが導かれる。結論として、保育者は、子どもがそれぞれの仕方で知覚するアフォーダンスに注意を向けることによって、子どもの経験世界を探求することが可能になることについて論じる。