著者
高田 雄一 矢崎 香苗 岩本 浩二 飯島 光博 又村 貴大 山本 可奈子 宮本 重範
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.31, no.6, pp.893-896, 2016 (Released:2016-12-22)
参考文献数
11

〔目的〕足部形状に変形のない健常足と内側縦アーチが低下した扁平足では地面へ接する部位は異なる.扁平足は足底感覚閾値にどのような影響を与えるのか検討することであった.〔対象と方法〕対象は健常群22名,および内側縦アーチが低下している扁平足群21名とした.モノフィラメント圧痛計を用いて9つの足底部位(母趾中央,示趾中央,中趾中央,環趾中央,小趾中央,母趾球,小趾球,内側縦アーチ中央,踵中央)において足底感覚閾値をそれぞれ測定した.測定した閾値を部位ごとに群間比較した.〔結果〕小趾球でのみ扁平足群で有意に閾値が低かった.〔結語〕扁平足群では健常群に比べ荷重量の少ないと考えられる小趾球の感覚閾値が低いことがわかった.
著者
山本 可奈子 横井 裕一郎
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.43 Suppl. No.2 (第51回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0305, 2016 (Released:2016-04-28)

【はじめに,目的】反張膝(Genu Recurvatum)は膝関節の障害リスクを高める要因となる。ACL損傷者は女性に多く反張膝を呈する例が多い。近年,若年女性は反張膝傾向にあるが,反張膝を呈する者の各アライメントの特徴を明記している研究は見当たらない。反張膝の有無による骨盤・下肢のアライメント,及び足底中心の差異を調べることとした。【方法】対象は下肢に整形外科疾患を有さない健常女性54名を,反張膝(GR)群15名(21.1±0.6歳),非反張膝(CR)群を39名(20.8±0.8歳)の2群とした。GR群の取り込み基準は膝関節伸展可動域が0°以上且つGeneral Joint Laxity Test(G Test)の膝関節が陽性と定義し,対象肢は膝関節伸展角が高値を示す方とした。(1)膝関節伸展可動域 被験者は背臥位にて,大腿遠位部を把持し膝関節伸展させ,大転子・外側膝蓋裂隙中央・外果を結ぶ線を測定した。(2)足圧中心計測 重心動揺計(Zebrisインターリハ社製)を使用し,被験者は開眼立位で3m先を注視し,測定時間は10秒を3回施行,10秒間の休息を入れた。X方向動揺平均中心変位(X軸変位),Y軸方向平均中心変位(Y軸変位)を指標に用いた。第2趾と踵中央を結ぶ線を左右方向,踵後縁を前後方向0mmの位置に設定し,内側・前方方向を+と定め,X・Y軸変位の値を計測時の足圧中心の座標とした。(3)G Test 肩・肘・手・股・膝・足関節と脊柱の7箇所の弛緩性を対象とし,陽性となる関節の数を加算した7点満点のG scoreを算出した。(4)骨盤・下肢アライメント計測 立位姿勢を1m先に設置したデジタルカメラ(Canon社製)で前額面及び矢状面から撮影を行った。撮影した画像をImage Jにて骨盤傾斜角(PT)・Q-angleを算出した。Leg Heel Angle(LHA)は下腿1/3・アキレス腱中央・踵骨上縁を結ぶ線のなす角度を腹臥位・座位・立位にて計測した。基準値を±0°とし正の値を踵骨回内とした。統計処理には2群間の各項目の差はスチューデントのt検定,2群の各項目にピアソンの相関係数を用い,有意水準は5%とした。【結果】2群の膝関節伸展角はGR群7.4(5.4),CR群1.1(2.7)であった。GJL scoreはGR群4.6(1.3)CR群2.5(1.1)とGR群はGJL test陽性であった。2群間でY軸変位に有意差を認めGR群81.8(12.4),CR群93.6(13.0)とGR群が後方偏位していた。GR群で膝関節伸展角とG score及びX軸変位で0.3,0.63と正の相関,臥位LHAで-0.3と負の相関を認めた。CR群において膝関節伸展角と相関は認めなかった。また,GR群のY軸変位とPTに0.48と正の相関を認めた。【結論】GR群では距骨下関節可動域が大きく,荷重と関節弛緩性の影響で立位LHAでは踵骨回内位となった。GR群の足圧中心は内側かつ後方へ偏位しており,反張膝を呈する者は内側アーチの減少が示唆された。GR群のY軸変位とPTに正の相関を認め,反張膝による後方重心を骨盤前傾増強させ代償している可能性が考えられる。GR群の特徴から反張膝に伴い膝関節及び足部の変形を及ぼす可能性が示唆された。