著者
山本 捷子 Shoko YAMAMOTO 日本赤十字秋田短期大学看護学科 THE JAPANESE RED CROSS JUNIOR COLLEGE OF AKITA
雑誌
日本赤十字秋田短期大学紀要 = Bulletin of the Japanese Red Cross Junior College of Akita (ISSN:13430033)
巻号頁・発行日
no.2, pp.17-23, 1998-03-31

現在でも,戦前の日本赤十字社の救護看護婦の活動を讃えている人々がいるが,それはなぜかという問題意識から,戦前の日赤看護婦にはどのような思想が期待されたか,ならびにそれが社会の思想,特に女子教育とどのように関連しているかを検討した。日赤看護婦の活動を支えた思想は,俗に「不撓不屈の日赤看護婦精神」といわれるものである。それは日赤の初代社長佐野常民の訓示や救護員十訓という徳目の教化や,直接的間接的な皇室崇拝の教化によって培われ,日赤看護婦に期待される「尽忠報国」や「奉仕,忍耐,献身」の思想が形成されたといえる。日赤看護婦思想形成の背景には,明治中期以後の教育勅語教育体制や女性観として良妻賢母思想の教育が存在し,学校教育と日赤看護婦の思想形成の教育方法は,儀式や旗,歌など情緒的注入方法の点で共通することを明らかにした。Why, even now, do people give such high praise to the Relief Nurse of the Japanese Red Cross of pre-World War II? This study is an investigation of what kind of spirit was expected of Japanese Red Cross Nurse in pre World War II times. The relation of this spirit to the stream of social thought and women's education at that time was clarified. The nurse's spirit of the Japanese Red Cross was called "Sacrificial" and "Inflexicible", and these endurance qualities supported their hard taskls and sufferings.
著者
山本 捷子 奥山 朝子
出版者
日本赤十字秋田看護大学・日本赤十字秋田短期大学
雑誌
日本赤十字秋田短期大学紀要 (ISSN:13430033)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.29-35, 2000-03-31

平成11年度の日本赤十字社第一ブロック支部合同災害救護訓練に,本学看護学科2年生が参加したので,その概要を述べ,学習の結果を事後の意識調査にもとづいた評価考察したので報告する。北海道・東北各支部の11救護班による大規模な救護訓練に際し,学生は模擬傷病者や運搬要員として参加し,災害時の被災者の心理,災害時のボランティアとしての運搬要員の困難さ,救護班員に求められる態度について,大きな学びを得た。特殊メイクや迫真の演技は臨場感を高め,その中での体験学習は災害看護の理解に大きな効果をもたらした。
著者
山本 捷子
出版者
日本赤十字九州国際看護大学
雑誌
日本赤十字九州国際看護大学intramural research report (ISSN:13478877)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.219-227, 2005-03-01

日本赤十字社は、120年余にわたり、もともと戦時救護ならびに天災時救護のための看護婦を養成してきた。戦前は日本が関係した戦争時に傷病兵や捕虜の救護を行ない、濃尾大地震や関東大震災においても災害救護を行なってきた。戦後は、日本赤十字社法の元に国内の災害ならびに国際赤十字の一員としてICRCや国際赤十字・赤新月社連盟の調整の元に、紛争地や被災地で救援活動あるいは保健衛生の向上に貢献している。その活動の歴史を振り返り、現在の日本赤十字看護教育における災害看護教育の課題を考察した。特に、災害に対する人々の関心の高まりや人権意識が強くなった現在、また複合災害が頻発する国際社会において活動する際に求められる看護実践能力や態度について、問題と解決の方策を探るべく私見を述べた。