著者
齋藤 和樹 前田 潤
出版者
日本赤十字秋田看護大学・日本赤十字秋田短期大学
雑誌
日本赤十字秋田看護大学・日本赤十字秋田短期大学紀要 (ISSN:13430033)
巻号頁・発行日
no.14, pp.29-34, 2009

2009年4月6日早朝に発生したイタリア中部地震後のイタリア赤十字社(IRCS)およびラクイラ大学で行っている心理社会的支援について、現地視察調査を行った。IRCSでは、国際赤十字赤新月社連盟(IFRC)の心理社会的支援プログラムとは別の独自の心理社会的ケアを行っていた。それらのいくつかは、「ユーモア」に基づいたものであり、「ドクトル・クラウン」という存在もあった。IRCSの心理社会的支援は、災害の生存者に対してのみならず、救援者に対しても行われていた。IFRCには、心理社会的支援のための十分な資器材がそろっていた。ラクイラ大学が行っていたサバイバーの精神的健康に関する調査には、グローバルスタンダードになっているGHQやIES-Rなどが含まれていた。
著者
井上 忠男
出版者
日本赤十字秋田看護大学・日本赤十字秋田短期大学
雑誌
日本赤十字秋田短期大学紀要 (ISSN:13430033)
巻号頁・発行日
no.13, pp.23-37, 2008

人道主義は、いかにして今日の国際社会における普遍的な道義的価値規範として確立されるに至ったのか。本稿は、近代国際法、特に19世紀後半に急速に発展した戦時国際法の法典化の歴史を辿ることにより、人道概念の普遍化の過程を考察するとともに、特に冷戦終結後の武力紛争に伴い国連、NGO、諸国軍隊等による広範な人道支援活動が展開される今日、グローバルな枠組みの中で人道主義が直面する多様な問題とその将来展望を考察する。
著者
伊藤 榮子
出版者
日本赤十字秋田看護大学・日本赤十字秋田短期大学
雑誌
日本赤十字秋田短期大学紀要 (ISSN:13430033)
巻号頁・発行日
no.13, pp.9-21, 2008

歩行期から青年後期のどの段階に社会、家庭の基本的生活の型を獲得し、自己抑制、自立に誰が影響しそれが現在も持続しているか探るためにA短期大学看護学生とB大学生64名に無記名の質問紙調査を実施した。その結果、以下のことが明らかになった。1)子どもの成長に対する母の影響は、家庭、社会生活の基本的な型の習得に、父、兄弟姉妹、祖父母、教師より大きく、歩行期に最大で、今も減少しながら学生の生活に役立っていた。(2)学童中期の初めに子どもが自己抑制を身につけると、母以外の他の影響が増えはじめた。この不明確な影響は集団社会が持っている、人に新しい精神的、肉体的な能力をあたえると思われる機能の影響が、学童中期から青年後期の初めに多くなった。
著者
山本 捷子 奥山 朝子
出版者
日本赤十字秋田看護大学・日本赤十字秋田短期大学
雑誌
日本赤十字秋田短期大学紀要 (ISSN:13430033)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.29-35, 2000-03-31

平成11年度の日本赤十字社第一ブロック支部合同災害救護訓練に,本学看護学科2年生が参加したので,その概要を述べ,学習の結果を事後の意識調査にもとづいた評価考察したので報告する。北海道・東北各支部の11救護班による大規模な救護訓練に際し,学生は模擬傷病者や運搬要員として参加し,災害時の被災者の心理,災害時のボランティアとしての運搬要員の困難さ,救護班員に求められる態度について,大きな学びを得た。特殊メイクや迫真の演技は臨場感を高め,その中での体験学習は災害看護の理解に大きな効果をもたらした。
著者
廣渡 太郎
出版者
日本赤十字秋田看護大学・日本赤十字秋田短期大学
雑誌
日本赤十字秋田看護大学・日本赤十字秋田短期大学紀要 (ISSN:13430033)
巻号頁・発行日
no.14, pp.53-60, 2009

日本放送協会(NHK)制作のテレビ番組「英語でしゃべらナイト」内の1コーナーとしてスタートした「パックン英検」は、ある英単語の語義説明を英語で聴き取り、その英単語が何かを答えるというリスニングクイズである。本資料は、「パックン英検」に関して、番組制作上のねらい、および、出題の作成方法を明らかにするとともに、日本人英語学習者を対象にした英語授業において、「パックン英検」を補助教材として活用するアイデアの紹介を目的とする。
著者
松橋 朋子 村上 照子
出版者
日本赤十字秋田看護大学・日本赤十字秋田短期大学
雑誌
日本赤十字秋田看護大学・日本赤十字秋田短期大学紀要 (ISSN:13430033)
巻号頁・発行日
no.16, pp.11-18, 2011

本研究は、高齢者施設における災害対策の実態、災害介護教育に関する意識を把握することを目的とし、A県内の特別養護老人ホーム96ヶ所の介護職員480名を対象に無記名の質問紙調査を実施した。263名から回答が得られ、以下のことが明らかになった。1.被災経験がある人は36.5%であり、災害の種類としては地震が多かった。2.91.6%の施設が年2回以上の防災訓練を実施していた。訓練の種類としては「避難訓練」「災害種類別防災訓練」「消火訓練」「通報訓練」「非常食調理訓練」「救護訓練」であり、97.3%が訓練が実際に活用できると答えていた。また、防災マニュアルについては91.3%の施設で整備されていたが、14.6%がマニュアルを読んでいなかった。3.防災体制・設備の把握状況では「災害発生時の連絡体制」「避難経路」について認知度が高く、介護職歴で有意な差は見られなかった。4.災害や防災に関して感じていることとしては、「不安」「訓練・日頃の備えの必要性」「防災意識の向上」の順に多くあげられた。5.介護職員の79.1%が介護福祉士養成施設における災害介護教育の必要性を認識していた。介護職員の73.8%が高齢者施設における災害介護研修の必要性を認識していたが、災害に備えた研修を受講していたのは27.8%であった。
著者
松橋 朋子 村上 照子
出版者
日本赤十字秋田看護大学・日本赤十字秋田短期大学
雑誌
日本赤十字秋田看護大学・日本赤十字秋田短期大学紀要 (ISSN:13430033)
巻号頁・発行日
no.16, pp.37-44, 2011

本研究は、高齢者施設における災害(地震)時の対応、具体的な実践内容を把握することを目的とし、新潟県中越沖地震にて緊急的に避難者を受け入れた特別養護老人ホーム及び福祉避難所となった特別養護老人ホームの2ヶ所の施設管理者を対象に半構成インタビューによる面接調査を実施した。その結果、以下のことが明らかになった。1.利用者及び避難者へ対しては、安全な一時的待機場所へ避難・誘導し、ボランティアと共に日常生活支援を中心に行っていた。ボランティアについては受け入れニーズの把握とコーディネイターの必要性が示唆された。2.職員の勤務体制・緊急招集については、マニュアルの整備に加え状況に応じた判断が求められ、メールを活用した連絡が有効であった。3.状況に合わせた実践的な防災訓練が実施されており、訓練に当たっては施設の構造を踏まえた避難方法及び職員の配置の必要性が示唆された。4.災害時に介護者に必要とされる能力については「状況に合わせた創意工夫のあるケア」「利用者の話をよく聴く姿勢」があげられた。5.施設における災害対策の課題としては、「防災体制の整備と防災意識の向上」「被災経験及び実践内容の伝承」「情報の入手及び共有化の体制整備」「職員のケア」があげられた。福祉避難所の課題としては、「福祉系トリアージの確立」「コーディネイターの養成」「平時からの福祉避難所の選定」があげられた。
著者
羽入 雪子 佐藤 怜
出版者
日本赤十字秋田看護大学・日本赤十字秋田短期大学
雑誌
日本赤十字秋田短期大学紀要 (ISSN:13430033)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.53-59, 2003-03-15
被引用文献数
1

大学生の避妊および低用量ピルに関する意識を調査し、今後の性の教育・支援のあり方について考察した。秋田市内の大学生女子314人、男子401人を対象に、2001年10月〜11月に調査を行い、以下の結果を得た。1)大学生の避妊の実行率は、全国レベルより低く、避妊方法はコンドームや膣外射精が多かった。2)避妊方法を選ぶ基準は、男女とも「避妊効果」が多く、次いで「男性主体」が多かった。3)避妊方法を知りたい学生は、性交経験のある学生に多かった。4)低用量ピルの認知度は学生の約40%であり、ピルの使用に賛成の学生は約25%で、性交経験のある学生に多かった。5)低用量ピル使用賛成の理由は「避妊効果が高い」であり、使用反対の理由は「副作用」であった。6)低用量ピルに関する情報を知りたい学生は多く、手段としてインターネットや雑誌を希望していた。以上のことから、性を肯定的に捉えた立場で「性交」を語り、望まない妊娠や性感染症を予防する方法を明確に伝え、対人関係的視点を盛り込んだ情報提供が必要であることが示唆された。
著者
澁谷 正子
出版者
日本赤十字秋田看護大学・日本赤十字秋田短期大学
雑誌
日本赤十字秋田短期大学紀要 (ISSN:13430033)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.73-79, 2000-03-31

本学介護福祉学科の1年次生に対して,老人に対するイメージと自身の老後観の調査を行った。その結果,老人に対して好意的・プラスイメージを持っている者が多かった。要因として,学生の約7割が祖父母との同居経験を有している。親の介護は自然なこととして,負担・迷惑とは思っていないが,自分の老後については,子供に負担・迷惑をかけることと考えており,自活生活が困難になったら施設入所を考えている。現制度の老人施設に対しては,介護側にとっては良いが,介護される立場なら生活の場としても好ましくないと思っている。学生は,入学を機に「老い」を真剣に考え,超高齢化社会を現実的なものとして受けとめている。将来を,充実した楽しみな老後にしたいと考えており,自分たちの老後のためにも社会的サービスの充実を自ら参画して築こうという気概をよみとれる。
著者
高橋 美岐子 佐藤 沙織
出版者
日本赤十字秋田看護大学・日本赤十字秋田短期大学
雑誌
日本赤十字秋田短期大学紀要 (ISSN:13430033)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.1-6, 2003-03-15

本研究は、全国の介護技術担当教員を対象とした「介護福祉士養成におけるターミナルケア教育の現状」に関する調査結果をもとに考察したものである。調査の結果、回答が得られた175すべてにおいて、何らかの形で「ターミナルケア教育」は実施されているが、その内容、時間数はさまざまであり、教員の授業に対する満足度は低い傾向にあった。「ターミナルケア教育」の重要性を認めながらも、現行カリキュラムにおける限界が大きいことも指摘され、この状況下で効果的授業をどう構築していくのか検討課題である。また、体系化も視野に入れた、ターミナルケア教育の充実が求められることが示唆された。
著者
志賀 くに子 伊藤 榮子
出版者
日本赤十字秋田看護大学・日本赤十字秋田短期大学
雑誌
日本赤十字秋田短期大学紀要 (ISSN:13430033)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.37-43, 2000-03-31
被引用文献数
1

学生の母性看護学実習における満足度を知ることは,今後の母性看護学実習のあり方,また教員の指導のあり方についての示唆を得る上で重要であると考え,本学の学生を対象に,母性看護学実習全体の満足度,意欲への満足度,教員の関わりへの満足度,各実習場所における満足度の4項目について質問紙による調査を母性看護学実習終了後に実施した。40の有効回答を集計した結果,以下のことが明らかになった。1.「母性看護学実習全体」の満足度については,まぁまぁ満足しているも含めると,満足している学生は75.0%であった。2.「意欲」への満足度については,まぁまぁ満足しているも含めると満足している学生は80.0%であった。3.「教員の関わり」への満足度については,まぁまぁ満足しているも含めると,満足している学生は95.0%であった。ただし,満足していない学生はいなかった。4.「各実習場所」の満足度については,実習場所によりばらつきがみられた。「未熟児室」「外来」「新生児室」では,まぁまぁ満足しているも含めると満足している学生は90.0%以上であった。また「分娩室」「褥室」では,まぁまぁ満足しているも含めると満足している学生は70.0%以下であった。
著者
伊藤 榮子
出版者
日本赤十字秋田看護大学・日本赤十字秋田短期大学
雑誌
日本赤十字秋田短期大学紀要 (ISSN:13430033)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.11-21, 2005-03-15

本研究は、幼少期から学童中期までの学習経験が、その後の成長にもたらす影響を知るため、家庭・学校・社会の生活区分の調査項目、現在の人格的特性の自己評価項目を135人の看護短大生を対象に調査した。結果の分析は「はい」70%以上の集団と「いいえ」50%以上の集団に分けて行った。両集団に統計学的に有意差が認められたのは家庭生活であり、学校・社会生活には両集団に鮮明な差はなかった。その結果、以下のことが明確になった。 1.「はい」の集団の家族は、家庭内の規則遵守・習慣形成などで厳しい。忍耐や知的抑制、自己抑制への関心が高い。社会的な伝達機能の育成・知的能力への関心も高く、希望と上昇志向も同様である。2.「いいえ」の集団は「物事の判断は直感に頼る方」であり、感情表出もしないで抑えてしまう可能性がある。この集団の家族は「応答性の質」と「発達の臨界期」を無視する可能性がある。