著者
阿部 範子 Noriko ABE 日本赤十字秋田短期大学看護学科 JOURNAL OF THE JAPANESE RED CROSS JUNIOR COLLEGE OF AKITA
出版者
日本赤十字秋田短期大学紀要編集委員会
雑誌
日本赤十字秋田短期大学紀要 (ISSN:13430033)
巻号頁・発行日
no.12, pp.1-6, 2007

本研究の目的は、母親のライフスタイルと充実感を知り、育児不安との関連性を検討することである。それにより育児不安に影響を与える要因、育児不安が日常生活に対する充実感に与える影響を明らかにすることを目指す。調査は1歳6ヶ月児、3歳児を第1子とし、第1子のみを持つ母親を対象とし、「趣味に時間を割くか」、「地域活動・学習活動への参加状況」、「育児サークルへの参加状況」、「充実感・幸福感を得られる行動は何であるか」を調査し、育児不安尺度をもとに採点した「育児不安得点」との関係を比較した。結果、趣味に時間を割いている母親は育児不安が弱いこと、地域活動・学習活動参加のために外出する頻度が多いほど育児不安は弱くなる傾向が明らかになった。このことが育児不安を低減させているのか、または精神的余裕を持ち合わせた母親がそうであるのかは明らかではなく、今後の検討課題である。育児不安が弱い母親に比較し、強い母親は「子どもと遊んでいるとき」「夫と話をしているとき」「子どもの世話をしているとき」に充実感・幸福感を得ることが少ない傾向にあった。
著者
井上 忠男
出版者
日本赤十字秋田看護大学・日本赤十字秋田短期大学
雑誌
日本赤十字秋田短期大学紀要 (ISSN:13430033)
巻号頁・発行日
no.13, pp.23-37, 2008

人道主義は、いかにして今日の国際社会における普遍的な道義的価値規範として確立されるに至ったのか。本稿は、近代国際法、特に19世紀後半に急速に発展した戦時国際法の法典化の歴史を辿ることにより、人道概念の普遍化の過程を考察するとともに、特に冷戦終結後の武力紛争に伴い国連、NGO、諸国軍隊等による広範な人道支援活動が展開される今日、グローバルな枠組みの中で人道主義が直面する多様な問題とその将来展望を考察する。
著者
伊藤 榮子
出版者
日本赤十字秋田看護大学・日本赤十字秋田短期大学
雑誌
日本赤十字秋田短期大学紀要 (ISSN:13430033)
巻号頁・発行日
no.13, pp.9-21, 2008

歩行期から青年後期のどの段階に社会、家庭の基本的生活の型を獲得し、自己抑制、自立に誰が影響しそれが現在も持続しているか探るためにA短期大学看護学生とB大学生64名に無記名の質問紙調査を実施した。その結果、以下のことが明らかになった。1)子どもの成長に対する母の影響は、家庭、社会生活の基本的な型の習得に、父、兄弟姉妹、祖父母、教師より大きく、歩行期に最大で、今も減少しながら学生の生活に役立っていた。(2)学童中期の初めに子どもが自己抑制を身につけると、母以外の他の影響が増えはじめた。この不明確な影響は集団社会が持っている、人に新しい精神的、肉体的な能力をあたえると思われる機能の影響が、学童中期から青年後期の初めに多くなった。
著者
山本 捷子 奥山 朝子
出版者
日本赤十字秋田看護大学・日本赤十字秋田短期大学
雑誌
日本赤十字秋田短期大学紀要 (ISSN:13430033)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.29-35, 2000-03-31

平成11年度の日本赤十字社第一ブロック支部合同災害救護訓練に,本学看護学科2年生が参加したので,その概要を述べ,学習の結果を事後の意識調査にもとづいた評価考察したので報告する。北海道・東北各支部の11救護班による大規模な救護訓練に際し,学生は模擬傷病者や運搬要員として参加し,災害時の被災者の心理,災害時のボランティアとしての運搬要員の困難さ,救護班員に求められる態度について,大きな学びを得た。特殊メイクや迫真の演技は臨場感を高め,その中での体験学習は災害看護の理解に大きな効果をもたらした。
著者
重川 敬三 Keizo SHIGEKAWA
出版者
日本赤十字秋田短期大学紀要編集委員会
雑誌
日本赤十字秋田短期大学紀要 (ISSN:13430033)
巻号頁・発行日
no.8, pp.47-51, 2003

20~21歳の健常な女性5名を対象に、空気動圧センサーを用いて音楽鑑賞時の呼吸周期の変動を調べ、リラックス感との関係について調査した。1.受動音楽により呼吸周期の変動が明らかとなり、呼吸変動係数とリラックスの感じ方では受動曲の違いにより変化が示された。2.呼吸変動係数とリラックスの感じ方は、個別性に影響されていることが示され、リラクゼーションを目的とした受動音楽では、個々のバックグラウンドや生活体験を考慮する必要性が示唆された。3.空気動圧センサーを用いることによって呼吸周期の変動を捉えることが可能となり、呼吸動態を基に音楽による生体反応について、今後、さらに解明されることが期待される。
著者
小坂 信子 大高 恵美 Nobuko KOSAKA Emi OOTKA 日本赤十字秋田短期大学看護学科 日本赤十字秋田短期大学看護学科 JOURNAL OF THE JAPANESE RED CROSS JUNIOR COLLEGE OF AKITA JOURNAL OF THE JAPANESE RED CROSS JUNIOR COLLEGE OF AKITA
出版者
日本赤十字秋田短期大学紀要編集委員会
雑誌
日本赤十字秋田短期大学紀要 (ISSN:13430033)
巻号頁・発行日
no.12, pp.55-60, 2007

A県内看護教育機関7校を対象に、小児期感染症(麻疹、風疹、水痘、流行性耳下腺炎)の感染予防対策の現状を把握した結果、以下のことが明らかになった。1)抗体価検査は4種全てを「実施している」機関は3校あった。それらは1年次生に入学後に実施しており、経費負担は様々であった。2)既往歴の聴取は4種を4校が、予防接種歴の聴取は5校が実施していた。3)抗体価検査・既往歴の聴取・予防接種歴の聴取を行っていない機関が1校あった。4)学生への啓発活動は「入学時オリエンテーションでの説明」3校、「学内掲示板への掲示」2校あり、その他実習オリエンテーションや関連する講義で行っていた。今後、1年次早期に感染予防教育の一環として感染予防の意義や副反応対策までの具体的な説明の必要性が示唆された。
著者
羽入 雪子 佐藤 怜
出版者
日本赤十字秋田看護大学・日本赤十字秋田短期大学
雑誌
日本赤十字秋田短期大学紀要 (ISSN:13430033)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.53-59, 2003-03-15
被引用文献数
1

大学生の避妊および低用量ピルに関する意識を調査し、今後の性の教育・支援のあり方について考察した。秋田市内の大学生女子314人、男子401人を対象に、2001年10月〜11月に調査を行い、以下の結果を得た。1)大学生の避妊の実行率は、全国レベルより低く、避妊方法はコンドームや膣外射精が多かった。2)避妊方法を選ぶ基準は、男女とも「避妊効果」が多く、次いで「男性主体」が多かった。3)避妊方法を知りたい学生は、性交経験のある学生に多かった。4)低用量ピルの認知度は学生の約40%であり、ピルの使用に賛成の学生は約25%で、性交経験のある学生に多かった。5)低用量ピル使用賛成の理由は「避妊効果が高い」であり、使用反対の理由は「副作用」であった。6)低用量ピルに関する情報を知りたい学生は多く、手段としてインターネットや雑誌を希望していた。以上のことから、性を肯定的に捉えた立場で「性交」を語り、望まない妊娠や性感染症を予防する方法を明確に伝え、対人関係的視点を盛り込んだ情報提供が必要であることが示唆された。
著者
澁谷 正子
出版者
日本赤十字秋田看護大学・日本赤十字秋田短期大学
雑誌
日本赤十字秋田短期大学紀要 (ISSN:13430033)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.73-79, 2000-03-31

本学介護福祉学科の1年次生に対して,老人に対するイメージと自身の老後観の調査を行った。その結果,老人に対して好意的・プラスイメージを持っている者が多かった。要因として,学生の約7割が祖父母との同居経験を有している。親の介護は自然なこととして,負担・迷惑とは思っていないが,自分の老後については,子供に負担・迷惑をかけることと考えており,自活生活が困難になったら施設入所を考えている。現制度の老人施設に対しては,介護側にとっては良いが,介護される立場なら生活の場としても好ましくないと思っている。学生は,入学を機に「老い」を真剣に考え,超高齢化社会を現実的なものとして受けとめている。将来を,充実した楽しみな老後にしたいと考えており,自分たちの老後のためにも社会的サービスの充実を自ら参画して築こうという気概をよみとれる。
著者
高橋 美岐子 佐藤 沙織
出版者
日本赤十字秋田看護大学・日本赤十字秋田短期大学
雑誌
日本赤十字秋田短期大学紀要 (ISSN:13430033)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.1-6, 2003-03-15

本研究は、全国の介護技術担当教員を対象とした「介護福祉士養成におけるターミナルケア教育の現状」に関する調査結果をもとに考察したものである。調査の結果、回答が得られた175すべてにおいて、何らかの形で「ターミナルケア教育」は実施されているが、その内容、時間数はさまざまであり、教員の授業に対する満足度は低い傾向にあった。「ターミナルケア教育」の重要性を認めながらも、現行カリキュラムにおける限界が大きいことも指摘され、この状況下で効果的授業をどう構築していくのか検討課題である。また、体系化も視野に入れた、ターミナルケア教育の充実が求められることが示唆された。
著者
宮堀 真澄 澤井 セイ子 佐藤 怜 鈴木 圭子 三浦 正樹 Masumi MIYAHORI Seiko SAWAI Satoru SATO Keiko SUZUKI Masaki MIURA 介護福祉学科 秋田大学教育文化学部 秋田大学 介護福祉学科 介護福祉学科
出版者
日本赤十字秋田短期大学紀要編集委員会
雑誌
日本赤十字秋田短期大学紀要 (ISSN:13430033)
巻号頁・発行日
no.8, pp.31-39, 2003

本研究は、特別養護老人ホームに働く介護職員を対象に行った社会的スキルの結果から、今後の介護福祉士現任教育のあり方を考察したものである。調査の結果、(1)介護職員は総体的に利用者の表出行動などから、感情や態度を判断するスキルを高く評価していた。しかし、自分から表現をすることは総体的にできていないといえる。(2)若い世代の介護職員は比較的、社会的スキルの評価は低い結果であった。(3)資格では、訪問介護員が「感情コントロール」において介護福祉士より高く評価していた。(4)介護職員の社会的スキルの構造を明らかにするため因子分析をした結果、『伝達因子』・『解読因子』・『表出因子』・『感情統制因子』の4因子が抽出された。これらのことから、人間関係の学習は、継続して教育され、実践の場において活用されてこそ意義があると考える。したがって、介護福祉士の専門性を高める意味でも社会的スキル・アップの研修の場が必要であると考える。
著者
志賀 くに子 伊藤 榮子
出版者
日本赤十字秋田看護大学・日本赤十字秋田短期大学
雑誌
日本赤十字秋田短期大学紀要 (ISSN:13430033)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.37-43, 2000-03-31
被引用文献数
1

学生の母性看護学実習における満足度を知ることは,今後の母性看護学実習のあり方,また教員の指導のあり方についての示唆を得る上で重要であると考え,本学の学生を対象に,母性看護学実習全体の満足度,意欲への満足度,教員の関わりへの満足度,各実習場所における満足度の4項目について質問紙による調査を母性看護学実習終了後に実施した。40の有効回答を集計した結果,以下のことが明らかになった。1.「母性看護学実習全体」の満足度については,まぁまぁ満足しているも含めると,満足している学生は75.0%であった。2.「意欲」への満足度については,まぁまぁ満足しているも含めると満足している学生は80.0%であった。3.「教員の関わり」への満足度については,まぁまぁ満足しているも含めると,満足している学生は95.0%であった。ただし,満足していない学生はいなかった。4.「各実習場所」の満足度については,実習場所によりばらつきがみられた。「未熟児室」「外来」「新生児室」では,まぁまぁ満足しているも含めると満足している学生は90.0%以上であった。また「分娩室」「褥室」では,まぁまぁ満足しているも含めると満足している学生は70.0%以下であった。
著者
伊藤 榮子
出版者
日本赤十字秋田看護大学・日本赤十字秋田短期大学
雑誌
日本赤十字秋田短期大学紀要 (ISSN:13430033)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.11-21, 2005-03-15

本研究は、幼少期から学童中期までの学習経験が、その後の成長にもたらす影響を知るため、家庭・学校・社会の生活区分の調査項目、現在の人格的特性の自己評価項目を135人の看護短大生を対象に調査した。結果の分析は「はい」70%以上の集団と「いいえ」50%以上の集団に分けて行った。両集団に統計学的に有意差が認められたのは家庭生活であり、学校・社会生活には両集団に鮮明な差はなかった。その結果、以下のことが明確になった。 1.「はい」の集団の家族は、家庭内の規則遵守・習慣形成などで厳しい。忍耐や知的抑制、自己抑制への関心が高い。社会的な伝達機能の育成・知的能力への関心も高く、希望と上昇志向も同様である。2.「いいえ」の集団は「物事の判断は直感に頼る方」であり、感情表出もしないで抑えてしまう可能性がある。この集団の家族は「応答性の質」と「発達の臨界期」を無視する可能性がある。