著者
山本 智美
出版者
中央大学
巻号頁・発行日
2023

【学位授与の要件】中央大学学位規則第4条第1項 【論文審査委員主査】宇佐美 毅(中央大学文学部教授) 【論文審査委員副査】山下 真史(中央大学文学部教授),高橋 慎也(中央大学文学部教授),千田 洋幸(東京学芸大学教育学部教授)
著者
山本 智美 西田 昌司 Tomomi YAMAMOTO Masashi NISHIDA
雑誌
神戸女学院大学論集 = KOBE COLLEGE STUDIES
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.141-152, 2017-06-20

大脳皮質でのアミロイドβ沈着は、アルツハイマー型認知症(AD)の病態と密接に関連している。神経細胞は、異常蛋白質を修復する小胞体にアミロイドβ沈着物を取り込む。異常蛋白質の蓄積によって小胞体ストレスが増加すると、細胞はシャペロン蛋白の誘導などの小胞体ストレス応答(UPR)を惹起して小胞体ストレスに対処する。しかしUPRの惹起が十分でない場合は、アポトーシスによる細胞死に至る。今回我々は、アミロイドβ負荷による神経細胞のUPRがERストレスの対処には不十分であり、AD発症率を低下させる女性ホルモンがUPRを増強して細胞死を抑制するかを、培養細胞モデルを用いて検討した。ラット神経系由来のPC-12細胞に、小胞体ストレス誘発剤であるツニカマイシン、アミロイドβ単量体、または凝集体を負荷すると、小胞体ストレスが増加するとともに、UPRで誘導されるジャペロン蛋白GRP78も増加させた。女性ホルモンの17β-エストラジオールによる前処理は、ツニカマイシン、アミロイドβによるGRP78発現を増強するとともにすると、神経細胞における小胞体ストレスを減少した。また、アポトーシスが誘導されたことにより、ツニカマイシンによるUPRは小胞体ストレスの凌駕には不充分であることがわかる。17β-エストラジオールによる前処理はツニカマイシンによるアポトーシスも減少させた。以上より、大脳皮質におけるアミロイドβ沈着は神経細胞の小胞体ストレスを惹起するが、誘導されるUPRが不十分な場合にはアポトーシスによる細胞死が生じた。女性ホルモンのエストロゲンは、UPRを増強することによってアミロイドβ負荷による小胞体ストレスを軽減し、アポトーシスを抑制する可能性が示された。女性ホルモンは、アミロイドβによる神経細胞の小胞体ストレスを修飾することによって、ADの発症率を低下させていることが示唆された。
著者
山本 智美 安保 智典 田中 伸一 細川 肇 春木 秀敏 西田 大 中川 栄志 廣田 恵理果 長谷川 達也
出版者
一般社団法人 日本消化器がん検診学会
雑誌
日本消化器がん検診学会雑誌 (ISSN:18807666)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.759-765, 2015 (Released:2015-12-16)
参考文献数
12

対策型検診撮影法では独特の素早い体位変換や回転動作が困難な受診者に遭遇する事が少なくない。今回, 改善を目的に動画説明を導入し, 最初の右回り3回転動作に着目し有効性を評価した。対象と方法:右回り3回転を40秒未満で行えなかった者を3回転困難者とした。動画説明導入前群:1,665名(2011年11月17日~同年12月7日), 動画説明導入後群:1,631名(2012年1月19日~同年2月9日)で評価した。結果:全体では3回転困難者は, 動画説明導入前群で25.7%, 動画説明導入後群で12.1%であった(p<0.01)。3回転困難となる原因は74歳以下では体位変換に関する具体的な理解不足であったが, 75歳以上の高齢者では運動機能低下であり, 対策型検診撮影法を一律適用するのは困難である。結論:体位変換を視覚的に理解できる動画説明は多くの年齢層で右回り3回転動作を正しく理解させるのに有用である。