著者
三沢 義一 小畑 文也
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.1-9, 1987-09-14 (Released:2017-07-28)

精神薄弱者の職場適応の実態と、それに影響を及ぼすと思われる個人的、環境的要因との関連を検討することを目的として、三沢ら(1983)による評定尺度を用い調査研究を実施した。分析対象となったのは現に企業に雇用されている198名の精神薄弱者の資料である。職場適応評定尺度の因子分析の結果、5つの因子(作業適応、勤務態度、人間関係、身辺処理、耐性)を抽出した。このうち作業適応の因子は説明率も極めて高く、精神薄弱者に対しても企業側は作業の能率や質の高さを求めていることがうかがわれた。さらに、個人的、環境的要因と各因子の推定因子得点の間で数量化1類による分析を行った。各因子と個人的、環境的要因の関連はさまざまであり、これらの結果を知的水準、パーソナリティ特性、勤務態度要因、人間関係要因、身辺処理の各視点から考察した。
著者
小畑 文也
出版者
山梨大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

知的障害児のヘルスリテラシーを、主に症状の表出と周囲の理解の点から検討した。症状としては、「頭痛」「腹痛」「疲労」「めまい」「出血」「吐き気」が選ばれ、健常幼児(3-5歳)と比較しながら面接調査と質問紙調査を実施した。その結果、対象となった知的障害児の症状表出は、健常幼児3歳とほぼ同様であり、痛みを除き、自発的な表出が見られないこと、特に言語的な表出が困難なこと、母親の理解(気づき)にはばらつきが大きいことが明らかとなった。また。母親の子どもの体調への注意は、健常児の場合、加齢とともに減少しているが、知的障害児の場合、加齢とともに増加していることも明らかとなった。
著者
丸山 豊 小畑 文也
出版者
筑波大学心身障害学系
雑誌
心身障害学研究 (ISSN:02851318)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.173-181, 2003-03
被引用文献数
2

飲酒運転常習者としてのアルコール依存症患者の運転意識を検討するために、アルコール依存症患者110名を対象に、過去の飲酒運転に関する調査を実施した。調査内容は、年齢、断酒歴、運転頻度、飲酒運転の経験、事故・検挙の回数、主観的運転態度、罪悪感、危険意識等であった。この結果、対象者の殆どが飲酒運転の経験者であり、うち6割が何らかの事故を起こしていることが明らかとなった。また、半数近くの者は飲酒運転に危険意識や罪悪感を感じていなかった。飲酒運転の抑止につながると思われる、この罪悪感や危険意識と個人的要因との関係を調べるために、数量化2類による分析を行った結果、罪悪感は事故の頻度が影響を及ぼしていることが分かったが、高頻度に事故を起こしている者は罪悪感を感じてはいなかった。危険意識に関しては運転歴が強く関係しており、運転歴が長いものほど、飲酒運転に危険意識を持っていた。また事故頻度は、危険意識にも比較的強く影響を与えており、飲酒運転常習者が事故を起こしたときの対応が重要であることが明らかとなった。現在、わが国では飲酒運転常習者に対しては法的な措置がとられているのみであるが、本人の治療と、飲酒運転事故の抑止のためにも医療的監察の必要性が示唆された。
著者
三沢 義一 小畑 文也
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.1-9, 1987-09-14
被引用文献数
1

精神薄弱者の職場適応の実態と、それに影響を及ぼすと思われる個人的、環境的要因との関連を検討することを目的として、三沢ら(1983)による評定尺度を用い調査研究を実施した。分析対象となったのは現に企業に雇用されている198名の精神薄弱者の資料である。職場適応評定尺度の因子分析の結果、5つの因子(作業適応、勤務態度、人間関係、身辺処理、耐性)を抽出した。このうち作業適応の因子は説明率も極めて高く、精神薄弱者に対しても企業側は作業の能率や質の高さを求めていることがうかがわれた。さらに、個人的、環境的要因と各因子の推定因子得点の間で数量化1類による分析を行った。各因子と個人的、環境的要因の関連はさまざまであり、これらの結果を知的水準、パーソナリティ特性、勤務態度要因、人間関係要因、身辺処理の各視点から考察した。