著者
島 健 岡田 芳和 西田 正博 山根 冠児
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.25-34, 1992-02-20

椎骨脳底動脈循環不全症の大多数の症例は頭蓋外椎骨動脈起始部病変に起因する.本稿では椎骨動脈の露出法と各血行再建術をレビューするとともに,術式の長所,短所につき検討を加えた.薬物療法,星状神経節ブロックでも効果なく,反復する頸性めまいの原因としてのVA起始部のcoiling, kinkingに対し,C_6横突起孔のunroofingとVA走行矯正を行う方法は術式も容易で有効な治療法と思われる.VA起始部の狭窄性病変に対するVA-SA transposition, VA-vein graft-SAバイパスは術式の容易さ,手術侵襲も比較的少なく,VA-CCA transpositionに比して,脳主幹動脈2本の同時遮断という脳虚血の危倶も少なく,優れた術式と考えられた.術中ABR,VAのstump pressure等術中モニターの重要性についても述べた.
著者
横山 貴一 三原 千恵 横山 登 中江 竜太 山根 冠児
出版者
日本大学医学会
雑誌
日大医学雑誌 (ISSN:00290424)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.244-246, 2009-08-01 (Released:2010-04-20)
参考文献数
12
被引用文献数
4 1

症例は 57 歳の女性.2 年前に高 CEA 血症を伴う結腸癌で根治術を行った.今回,頭部 MRI で小脳テントに接する約 2 cm 大の後頭蓋窩病変を認めた.全身FDG-PET で後頭蓋窩病変以外に高集積を示さず,CEAは 2.0 ng/ml であった.このため悪性髄膜腫を疑い摘出術を行った.病理診断は,結腸癌の小脳転移であった.他臓器に転移のない大腸癌の孤立性小脳転移は少なく診断,治療に注意する必要があると考えられた.
著者
橋本 尚美 山根 冠児 沖井 則文 石之神 小織 恩田 秀賢 田路 浩正 花谷 亮典
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.18, no.7, pp.525-530, 2009-07-20 (Released:2017-06-02)
被引用文献数
3 3

特発性脳脊髄液減少症には,数週間の安静や点滴による治療を行い,非改善例に自家血硬膜外注入療法が適応される.今回,特発性脳脊髄液減少症に対する自己血注入療法後5日目に症状が再発し,その後,慢性硬膜下血腫と昏睡を生じた症例を経験した.意識障害に対しては保存的な対応が可能であったため,再度自己血注入療法による脊髄液減少症の治療を先行した後に,穿頭洗浄術を行い症状の改善を得た.髄液漏の再発に伴い,急激な脳圧変化が生じ,硬膜下血腫の増悪や意識障害をきたしうる.さらには検査時の腰椎穿刺が頭蓋内環境の変化を誘発する可能性も考慮する必要があり,初回治療により症状が改善した後にも十分な観察が必要である.
著者
山根 冠児 島 健 岡田 芳和 西田 正博 沖田 進司 畠山 尚志 山中 千恵 丸石 正治 真辺 和文
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.7, no.9, pp.554-562, 1998-09-20
被引用文献数
15

140例, 151側の血栓内膜摘除術(CEA)術中に内頸動脈血流, 内頸動脈のstump pressure(ICASP), 体性感覚誘発電位(SEP), および脳酸素ヘモグロビン(HbO_2)の測定を行った.手術死亡例はなく, 12例で一過性の神経症状, 4例(2.6%)で恒久的な神経症状が出現した.内頸動脈血流は6例でCEA後の著明に増加し, そのうち3例でhyperperfusionによると思われる術後神経症状が出現した.ICASPが30mmHg以下の症例では25.0%に, SEPの振幅がflatになった症例では53.8%に, HbO_2がindexで0.04以上の低下を示した症例では10%に術後神経症状が出現した.以上の結果からSEPが最も術後の神経症状の発現と関連が強かった.