著者
横堀 將司 山口 昌紘 五十嵐 豊 亦野 文宏 廣中 浩平 恩田 秀賢 桒本 健太郎 荒木 尚 布施 明 森田 明夫 横田 裕行
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.220-228, 2016 (Released:2016-03-25)
参考文献数
27

頭部外傷や脳卒中, 心停止後症候群 (post cardiac arrest syndrome : PCAS) など, 神経救急疾患において脳保護・脳蘇生を指向したモニタリングの重要性が強調されている. また, 依然challengingではあるが, 各種モニタリングを治療方針決定に生かす試みも始まっている. 新しいモニタリングとしてPCAS患者でのaEEG・rSO2による予後予測, 神経外傷モデルによるバイオマーカー (UCH-L1, GFAP) 測定などが挙げられる. これらモニタリングと治療の往復がさらなるエビデンス構築に寄与すると期待される.  本稿は神経救急分野におけるモニタリングの重要性と, それらを加味した治療戦略確立の重要性を提示する. 救急脳外科疾患における “判断と行動” の一助になれば幸いである.
著者
橋本 尚美 山根 冠児 沖井 則文 石之神 小織 恩田 秀賢 田路 浩正 花谷 亮典
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.18, no.7, pp.525-530, 2009-07-20 (Released:2017-06-02)
被引用文献数
3 3

特発性脳脊髄液減少症には,数週間の安静や点滴による治療を行い,非改善例に自家血硬膜外注入療法が適応される.今回,特発性脳脊髄液減少症に対する自己血注入療法後5日目に症状が再発し,その後,慢性硬膜下血腫と昏睡を生じた症例を経験した.意識障害に対しては保存的な対応が可能であったため,再度自己血注入療法による脊髄液減少症の治療を先行した後に,穿頭洗浄術を行い症状の改善を得た.髄液漏の再発に伴い,急激な脳圧変化が生じ,硬膜下血腫の増悪や意識障害をきたしうる.さらには検査時の腰椎穿刺が頭蓋内環境の変化を誘発する可能性も考慮する必要があり,初回治療により症状が改善した後にも十分な観察が必要である.