著者
山浦 健
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.551-554, 2019-09-15 (Released:2019-10-29)
参考文献数
10

輸血の安全性は高まったにもかかわらず,免疫反応や輸血関連循環過負荷などの重篤な輸血関連合併症の問題は残っている他,予後にも影響を与える.Patient Blood Management(PBM)は,同種血輸血を可能な限り回避するためのプログラムである.PBMでは術前は貧血,鉄欠乏や抗血栓療法の有無を評価し,貧血の補正と止血凝固能を最適化する.術中は手術時期の決定,術式の選択や麻酔管理方法,自己血回収装置などを通して出血量と輸血量の軽減に努める.術後は体温管理も含めて出血量の軽減に努め,出血量のモニタリングを行い,必要に応じた酸素投与や適正な薬物介入を行う.同種血輸血を行う場合でもevidenceに基づいた輸血製剤の選択,および最小限の投与量を心がけることが重要となる.
著者
日本ペインクリニック学会安全委員会 田中 信彦 山蔭 道明 具志堅 隆 關山 裕詩 中塚 秀輝 益田 律子 山浦 健
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.133-142, 2020-06-25 (Released:2020-06-30)
参考文献数
12

日本ペインクリニック学会安全委員会では,2009年より学会認定ペインクリニック専門医指定研修施設を対象に有害事象収集事業を開始した.本稿では2015年の1年間を対象とした第5回調査および2016年の1年間を対象とした第6回調査の結果について報告する.第5回調査では350施設中162施設(46%),第6回調査では348施設中197施設(57%)から回答が得られた.これまでの調査結果と同様に,有害事象のほとんどが鎮痛薬・鎮痛補助薬の副作用と神経ブロック・インターベンショナル治療の合併症であった.鎮痛薬・鎮痛補助薬に関しては,プレガバリン,三環系抗うつ薬およびトラマドール・アセトアミノフェン配合錠の副作用が多く報告された.神経ブロック・インターベンショナル治療に関しては,硬膜外ブロック・カテーテル関連,星状神経節ブロック,肋間神経ブロックおよびトリガーポイント注射による合併症が多く報告された.今後も有害事象に関する情報を学会員間で共有し,痛み診療における安全の確保と質の向上を図る必要がある.