著者
田村 朝子 本 三保子 山田 則子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.57, no.7, pp.497-503, 2006 (Released:2007-10-12)
参考文献数
16
被引用文献数
1

ウコギ葉を熱水で抽出した茶を標準飼料および無繊維飼料で飼育したマウスに長期に摂取させ, 腸内環境および小腸組織に対する効果を検討した. 投与した飼料と飲料によりコントロール水群, コントロールウコギ茶群, 無繊維水群, 無繊維ウコギ茶群の4群とし, ウコギ茶の効果を比較した.1) 糞便排泄量および糞中コレステロール排泄量は, コントロール群が無繊維群より有意に高く, 4群間ではコントロールウコギ茶群が最も高い値を示した.2) 盲腸中短鎖脂肪酸総量は, コントロール群が無繊維群より有意に高く, コントロール群間ではウコギ茶群が水群より有意に高い値を示した.3) コントロールウコギ茶群の小腸絨毛の長さは他の3群より有意に長く, 組織および細胞形態も大きく密になっていた. 無繊維ウコギ茶群の絨毛の長さは, 無繊維水群より有意に長くなっていた.以上の結果から, ウコギ茶摂取によって腸の蠕動運動が活発になり, 糞便排泄量が増加し, 小腸組織の発達が促進された. これらのことは, ウコギ茶中に溶出された水溶性食物繊維の影響によるものと推察されたが, 不溶性の食物繊維との相乗効果が大きいと考えられる.
著者
山田 則子 田渕 三保子
出版者
山形県立米沢女子短期大学
雑誌
山形県立米沢女子短期大学紀要 (ISSN:02880725)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.115-120, 2002-12-27
被引用文献数
1

ウコギの生理活性がカット野菜の栄養成分の変化に及ぼす影響を明らかにするために、カット処理によるキャベツおよびキュウリのビタミンC含量の変動を調べ、ウコギ抽出液の浸積処理が千切りキャベツのビタミンC含量に及ぼす影響を検討した。(1) 野菜のカット処理はビタミンC量を減少させたが、その減少率は野菜の種類により異なり、キャベツでは約20%、キュウリは50%以上であった。また、カット後の冷蔵保存5日目のビタミンC量の減少はキャベツでは約20%であったが、キュウリのビタミンCはほとんど残存していなかった。(2) ウコギ抽出液に30分浸積した千切りキャベツのビタミンC含量の減少はほとんど認められなかった。しかし各溶液浸積によるビタミンC含量の減少は、食塩水10%、蒸留水20%、次亜塩素酸ナトリウム溶液27%、クエン酸溶液48%、酢酸溶液69%であった。(3) 浸積処理後の千切りキャベツの冷蔵保存3日目のビタミンC含量はウコギ抽出液、食塩水、蒸留水、次亜塩素酸ナトリウム溶液処理ではいずれも未処理の場合と同様に約10%の減少を示したが、クエン酸溶液と酢酸溶液処理では約60%大きく低下した。以上の結果から、ウコギ抽出液はカット野菜のビタミンC含量の保持に有用であることが示唆された。