著者
平澤 康孝 河野 千代子 山田 嘉仁 前村 啓太 竹島 英之 槇田 広佑 山口 陽子 一色 琢磨 鈴木 未佳 山口 哲生
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.104, no.7, pp.1457-1459, 2015-07-10 (Released:2016-07-10)
参考文献数
7
被引用文献数
2 3

症例1は,78歳男性.インフルエンザワクチン接種3日後に発熱,胸部CTにて両下葉背側に多発浸潤影を認め,同ワクチンによる薬剤性肺障害が疑われた.集学的治療を行うも,第32病日に死亡.症例2は,68歳男性.特発性肺線維症にて無治療経過観察中であったが,同ワクチン接種3日後に発熱,胸部CTにてすりガラス影の出現を認め,接種契機の間質性肺炎急性増悪が疑われた.治療を行うも,最終的にニューモシスチス肺炎にて死亡.インフルエンザワクチン接種による肺障害の可能性に注意を要すると考えられた.
著者
池田 洋一郎 山口 哲生 山田 嘉仁 篠原 翼 河野 千代子 青柳 哲史 天野 裕子 鬼島 正典 黒瀬 信行 宮本 和人
出版者
日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
雑誌
サルコイドーシス/肉芽腫性疾患 (ISSN:13450565)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.65-69, 2004-10-01 (Released:2010-08-06)
参考文献数
9

小径線維ニューロパチー (small fiber neuropathy, 以下SFN) を認めたサルコイドーシス (以下サ症) の2症例を経験した. 71歳と67歳の女性が当院に紹介され, 2症例とも手足のシビレなどの症状を呈していた. 神経学的所見として, 両側上下肢遠位部に対称性の温痛覚低下を認めたが, 触覚, 関節位置覚, 振動覚は正常であった. 両者に発汗の低下と便秘がみられた. 神経伝導速度と針筋電図検査では異常は認められず, これらの所見は小径線維ニューロパチーに合致していた. 生検皮膚組織の末梢神経のPGP9.5とP75による免疫染色により, 皮膚組織の末梢神経軸索密度が正常と比して有意に減少し軸索障害が有意に増加していることが確認されSFNと確定診断した. 症例1は, ジクロフェナクや塩酸メキシレチンによって, 症例2は, 塩酸アミトリプチリンの投与で症状は軽減された. 従来, サ症の末梢神経病変は脳神経麻痺と多発単神経炎で代表されるとされていたが, この2症例の経験から, これまで考えられていたよりもSFNの合併の頻度は高いことが推測される. サ症にともなう多彩な神経障害の診断において, 神経伝導速度と皮膚生検はその中からSFNを鑑別する有意義な検査方法といえる.