著者
山田 将弘 江島 加渚 吉田 英樹
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.37 Suppl. No.2 (第45回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.F4P2305, 2010 (Released:2010-05-25)

【目的】直線偏光近赤外線(以下SL)の星状神経節照射は、副交感神経優位になると多々報告がされている。その反面あまり効果がないのではないかという報告もされている。そこで、SLの星状神経節近傍照射は副交感神経優位になるのかということ、さらに、SLの星状神経節近傍照射により副交感神経優位になるという仮説の元、睡眠を誘うか否かという2点を検討することを目的とした。【方法】SLの星状神経節近傍照射には、東京医研株式会社製スーパーライザー(HA-2200・TP1)を使用した。スーパーライザーの先端ユニットをSGユニット・照射モードをTミックスとし、身体に重篤な既往及び疾患のない健常成人25名(男性14名、女性11名、25.1±2.5歳)の星状神経節にSLを体表から10分照射を行った。自律神経機能評価にはフクダ電子株式会社製解析機能付きセントラルモニタ(ダイナスコープ7000シリーズ・DS-7600システム・DS-7640)を用いて、連続する100心拍の心電図R-R間隔変動係数(以下CVR-R)を計測した。対象者に対して、温度(26~27°C)及び湿度(50%前後)を可能な限り一定に保った室内にて、可能な限り交感神経の緊張状態を回避するために安静臥位での馴化時間を設定した。馴化時間については、17例を対象とした予備実験において10分の群と30分の群を比較した結果、明らかな違いは認められなかったので、10分を採択した。CVR-Rの測定は、馴化時間後のSL照射前と照射終了直後とし、両者の値を対応のあるt検定にて検討した。なお、統計学的検定での有意水準は5%未満とした。なお、対象者の内、男性3名、女性2名の計5名には、日本光電株式会社製脳波計(EEG-1714)を使用したSLの星状神経節近傍照射前後での脳波計測を実施し、睡眠段階判定を行った。睡眠段階の判定は医師が行い、睡眠段階判定の基準としては国際基準(Rechtschaffen&Kales,1968年)に基づき判定を行った。【説明と同意】ヘルシンキ宣言に基づき、対象者には本研究の目的と内容を事前に説明し、研究参加の同意を得て実施した。【結果】SLの星状神経節近傍照射前後でのCVR-Rの変化については、SLの星状神経節近傍照射前と比較して照射後にCVR-Rの上昇を示した例が13例、逆に低下した例が12例であり、SLの星状神経節近傍照射に伴うCVR-Rの変化パターンに一定の傾向は認められなかった(P=0.16)。一方、脳波計側によるSLの星状神経節近傍照射前後での睡眠段階の結果については、男性ではstage1からstageWへの変化例が1例、stage1からstageWへの変化例が1例、stageWから変化なしの1例となり、女性ではstage1からstage2への変化例が1例、stage1からstage3への変化例が1例であった。全体として、睡眠段階のstage変化なしが1例、低下が2例、上昇が2例であった。【考察】本研究では、SL照射は睡眠を誘うか否かを検討した。CVR-RについてはSLによる星状神経節刺激により、自律神経系に影響を及ぼすのではないかと思われたが、副交感神経優位となる傾向は見られなかった。これは、佐伯らの先行研究(2001)と同様の結果であった。本研究で対象とした若年健常例は、自律神経活動が正常と考えられるため、SLの星状神経節近傍照射により大きな影響を受けなかったことも考えられる。また、若年者では安静時交感神経活動が低いとされており、あまり効果が期待できないのではなかろうか。また、脳波計測によるSLの星状神経節近傍照射前後での睡眠段階の結果では、睡眠段階の変化なしが1例、stage低下が2例、上昇が2例となり、睡眠に効果があるとは言い難い結果となった。睡眠段階の判定を担当した医師の見解でも、SLの星状神経節近傍照射は睡眠に効果があるとは言い難い結果となった。しかし、睡眠段階については、女性2名中2名においてSLの星状神経節近傍照射に伴いstageが上昇していたことを考慮すると、性差による違いも考慮した更なる検討が今後必要と考える。【理学療法学研究としての意義】今回の結果を見る限り、SLの星状神経節近傍照射は、自律神経系への効果の面で疑問が残る。他の光線(レーザーやキセノン光)を用いた星状神経節近傍照射との比較研究や、効果の検証を進める必要があるのではなかろうか。その一方で、今回の結果は、女性に対するSLの星状神経節近傍照射が「睡眠への介入の可能性」という観点で、今後更なる検討の余地があることも示している。このことは、理学療法上、極めて意義深い示唆ではないかと考えられる。
著者
山田 将弘 江島 加渚 吉田 英樹
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.F4P2305, 2010

【目的】直線偏光近赤外線(以下SL)の星状神経節照射は、副交感神経優位になると多々報告がされている。その反面あまり効果がないのではないかという報告もされている。そこで、SLの星状神経節近傍照射は副交感神経優位になるのかということ、さらに、SLの星状神経節近傍照射により副交感神経優位になるという仮説の元、睡眠を誘うか否かという2点を検討することを目的とした。<BR><BR>【方法】SLの星状神経節近傍照射には、東京医研株式会社製スーパーライザー(HA-2200・TP1)を使用した。スーパーライザーの先端ユニットをSGユニット・照射モードをTミックスとし、身体に重篤な既往及び疾患のない健常成人25名(男性14名、女性11名、25.1±2.5歳)の星状神経節にSLを体表から10分照射を行った。自律神経機能評価にはフクダ電子株式会社製解析機能付きセントラルモニタ(ダイナスコープ7000シリーズ・DS-7600システム・DS-7640)を用いて、連続する100心拍の心電図R-R間隔変動係数(以下CVR-R)を計測した。対象者に対して、温度(26~27&deg;C)及び湿度(50%前後)を可能な限り一定に保った室内にて、可能な限り交感神経の緊張状態を回避するために安静臥位での馴化時間を設定した。馴化時間については、17例を対象とした予備実験において10分の群と30分の群を比較した結果、明らかな違いは認められなかったので、10分を採択した。CVR-Rの測定は、馴化時間後のSL照射前と照射終了直後とし、両者の値を対応のあるt検定にて検討した。なお、統計学的検定での有意水準は5%未満とした。なお、対象者の内、男性3名、女性2名の計5名には、日本光電株式会社製脳波計(EEG-1714)を使用したSLの星状神経節近傍照射前後での脳波計測を実施し、睡眠段階判定を行った。睡眠段階の判定は医師が行い、睡眠段階判定の基準としては国際基準(Rechtschaffen&Kales,1968年)に基づき判定を行った。<BR><BR>【説明と同意】ヘルシンキ宣言に基づき、対象者には本研究の目的と内容を事前に説明し、研究参加の同意を得て実施した。<BR><BR>【結果】SLの星状神経節近傍照射前後でのCVR-Rの変化については、SLの星状神経節近傍照射前と比較して照射後にCVR-Rの上昇を示した例が13例、逆に低下した例が12例であり、SLの星状神経節近傍照射に伴うCVR-Rの変化パターンに一定の傾向は認められなかった(P=0.16)。一方、脳波計側によるSLの星状神経節近傍照射前後での睡眠段階の結果については、男性ではstage1からstageWへの変化例が1例、stage1からstageWへの変化例が1例、stageWから変化なしの1例となり、女性ではstage1からstage2への変化例が1例、stage1からstage3への変化例が1例であった。全体として、睡眠段階のstage変化なしが1例、低下が2例、上昇が2例であった。<BR><BR>【考察】本研究では、SL照射は睡眠を誘うか否かを検討した。CVR-RについてはSLによる星状神経節刺激により、自律神経系に影響を及ぼすのではないかと思われたが、副交感神経優位となる傾向は見られなかった。これは、佐伯らの先行研究(2001)と同様の結果であった。本研究で対象とした若年健常例は、自律神経活動が正常と考えられるため、SLの星状神経節近傍照射により大きな影響を受けなかったことも考えられる。また、若年者では安静時交感神経活動が低いとされており、あまり効果が期待できないのではなかろうか。また、脳波計測によるSLの星状神経節近傍照射前後での睡眠段階の結果では、睡眠段階の変化なしが1例、stage低下が2例、上昇が2例となり、睡眠に効果があるとは言い難い結果となった。睡眠段階の判定を担当した医師の見解でも、SLの星状神経節近傍照射は睡眠に効果があるとは言い難い結果となった。しかし、睡眠段階については、女性2名中2名においてSLの星状神経節近傍照射に伴いstageが上昇していたことを考慮すると、性差による違いも考慮した更なる検討が今後必要と考える。<BR><BR>【理学療法学研究としての意義】今回の結果を見る限り、SLの星状神経節近傍照射は、自律神経系への効果の面で疑問が残る。他の光線(レーザーやキセノン光)を用いた星状神経節近傍照射との比較研究や、効果の検証を進める必要があるのではなかろうか。その一方で、今回の結果は、女性に対するSLの星状神経節近傍照射が「睡眠への介入の可能性」という観点で、今後更なる検討の余地があることも示している。このことは、理学療法上、極めて意義深い示唆ではないかと考えられる。
著者
山根 優一 吉田 英樹 森 聡 山田 将弘
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.248, 2016

<p>【目的】</p><p>近年,脳卒中患者に対する上肢への電気刺激療法として,末梢神経電気刺激療法(Peripheral nerve stimulation:以下,PNS)の効果が注目されている.下肢に対するPNSの報告は散見する程度で,感覚障害に対する報告も,我々が調査した限りではほとんどない.また,40分間以上の報告が多く,患者の体力面や集中力を考慮すると,臨床での適応は困難であることが多い.今回,重度感覚障害を呈した回復期脳卒中患者に対する短時間の下肢PNSと課題指向型練習の併用が,下肢の感覚障害と歩行能力に及ぼす影響をABデザインで検討したので報告する.</p><p>【方法】</p><p>症例は右視床梗塞で左片麻痺を呈した50代の男性であった.発症前より,糖尿病で両下肢に感覚鈍麻があったが,脳梗塞発症後,感覚障害の程度と範囲に増悪を認め,表在感覚は脱失していた.本研究開始時,発症後36病日経過しており,Brunnstrom stage 上肢Ⅴ,手指Ⅵ,下肢Ⅵで著明な麻痺は認められず,歩行は4点杖で自立していた.主訴は両下肢末梢の感覚脱失,立位・歩行時の膝折れ感であった.電気刺激装置は低周波治療機器(イトーESPURGE, 伊藤超短波社製)を使用した.電気刺激条件は対称性二相性パルス波,周波数100Hz,パルス幅250μsec,刺激強度は筋収縮が視覚的に確認できない感覚閾値とした.刺激部位は麻痺側脛骨神経とし,電極間距離5cmで電極を貼り付けた.治療時間は20分間とし,課題指向型練習を併用して行った.課題指向型練習は椅座位で,両足関節の底背屈運動を行った.評価項目は,足部触覚,振動覚,Functional assessment for Hemiplegic Gait(以下,FAHG),10m歩行の所要時間とした.足部触覚は非麻痺側大腿部を10とし,麻痺側の足背部,踵部,母趾球,小趾球の触覚をNumerical Rating Scale(以下,NRS)で測定した.振動覚検査は音叉(C-128Hzアルミ音叉,ニチオン製)を用いて,麻痺側大腿骨外側上顆を10とし,麻痺側内果をNRSで測定した.10m歩行の測定は,助走路と減速路をそれぞれ除いた10mの所要時間をストップウォッチで2回測定し,速かった方を代表値とした.研究デザインはABデザインを採用し,基礎水準期(以下,A期)を課題指向型練習のみとし,操作導入期(以下,B期)をPNS併用で課題指向型練習を行った.A期とB期の期間はそれぞれ1週間であり,計2週間の実施期間とした.治療介入は1日1回とし,週7日の介入とした.評価は介入前,A期終了後,B期終了後に行った.</p><p>【結果】</p><p>足部触覚は,介入前では足背部0,踵部3,母子球0,小趾球1,A期終了後では足背部0,踵部0,母子球0,小趾球0,B期終了後では足背部0,踵部2,母子球1,小趾球0であり,著明な変化は認められなかったが,足底の知覚領域が拡大したという内省報告が得られた.振動覚は介入前2,A期終了後3,B期終了後5であった. FAHGは介入前6点,A期終了後8点,B期終了後12点であった.10m歩行の所要時間は介入前23.88秒,A期終了後23.75秒,B期終了後20.75秒であった.</p><p>【考察】</p><p>結果より,PNSと課題指向型練習の併用は,表在感覚よりも深部感覚を優位に改善する可能性が考えられた.下肢PNSと課題指向型練習を併用したことで,20分間という短時間でも感覚野の興奮性が増大した可能性が考えられた. FAHGが改善した理由としては,下肢PNSに伴う麻痺側下肢の感覚障害の改善が考えられる.また,PNSでは運動野の興奮性が増大することも報告されている.下肢PNSにより麻痺側下腿三頭筋の筋出力が向上し,麻痺側下肢の荷重応答期から立脚中期にかけての下腿の前傾が可能となり,10m歩行の所要時間や歩行速度に変化を認め、歩行能力を改善したと考えられた.</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>本研究は飯塚市立病院倫理審査会に承認を得て行った.症例には治療主旨,安全性と個人情報の取り扱いについて口頭と書面で説明し,署名にて同意を得た.</p>
著者
山田 将弘 森寺 邦晃 森 聡
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0350, 2017 (Released:2017-04-24)

【目的】拡散圧力波は2015年より保険適応で使用可能となり,当院では難治性の足底腱膜炎に対して拡散圧力波を取り入れた治療を行っている。足底腱膜炎に対しては体外衝撃波(集中衝撃波)の研究報告が世界で数例報告されている。しかし,本邦において足底腱膜炎への拡散圧力波による治療介入の報告は,我々が調査した限りでは見当たらない。そこで拡散圧力波を使用し,一定の結果と傾向が得られたため,その治療結果を文献的考察を含めここに報告する。【方法】足底腱膜炎と診断され拡散圧力波による介入を行った患者6名(男性1名72歳,女性7名67.80±11.71歳)7脚を対象とした。初診時の罹患期間は半年から一年半であった。調査期間はH28.5.16~H28.9.30とした。治療内容は,患部への拡散圧力波照射と足底筋に対するストレッチを行った。治療機器はGymna社製,Physio-ShockMasterを使用し,拡散圧力波を圧痛部位に疼痛閾値程度の刺激強度(1.5~4.0bar)で照射し,周波数は8~16Hz,shock数は2000shocks,で統一した。治療頻度はGerdesmeyerの先行研究に習い,週に1回(最小6日・最大14日)とした。痛みの程度をVisual analog scale(以下:VAS)を用いて評価した。初回,1週間ごとに計測し痛みの推移をみた。また拡散圧力波照射前後でVASを計測し,照射前後での痛みの変化を最大8週間計9回までみた。さらに患者の主観を内政調査で聴取した。拡散圧力波照射前後のVASに対し対応のあるt検定を使用し統計学的処理を行った。統計学的有意水準は5%(片側2.5%)未満とした。統計ソフトはStat flex Ver6.0を使用した。【結果】初回のVAS平均66.14±12.67mmであった。6名7脚全ての患者で1週ごとにVASは漸減傾向を示し,4名5脚で4週目でのVASが10mm以下となった。また残りの2名2脚においても8週目でVASは10mm以下となった。拡散圧力波の照射前後でのVASは有意に低下した(p<0.01)。口頭による内政調査では,4名において「朝の一歩目以外は痛くない」との回答が得られた。【結論】1週ごとにVAS値は漸減傾向を示し,4週目でVASが2名を除いた4名5脚においてほぼ0mmに近い値となり,良好な治療効果が得られた。残りの2名2脚に関しても8週目でVASが10mmを切る値となっていた。拡散圧力波の照射前後でVASは有意に低下しており,即時の除痛効果が期待できることが示唆された。拡散圧力波はクラスIIの機器であるため,クラスIIIの機器である体外衝撃波と比べて安全に使用しやすいと思われる。我々の拡散圧力波を用いた方法は拡散衝撃波を用いた諸家の報告と同等の治療効果が得られており,足底腱膜炎に対する拡散圧力波照射は有用な治療法であることが示唆された。