著者
三浦 和 川村 哲史 北澤 寿基 佐野 航基 山田 純平 山本 幸太郎
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2014, 2015

【はじめに,目的】5本指ソックスはそれを履くことで足底面積の増加による支持面の拡大や,荷重点の偏移による小趾荷重が認められている1)。しかし,この先行研究は静的立位時の変化を対象とするものであり,5本指ソックス着用による動作時の効果についての報告は少ない。また,筋疲労に対する効果については認められていない2)。そこでバランス機能の面から5本指ソックスの有効性について検討した。【方法】対象者は健常成人18名(男性9名,女性9名,平均年齢20.9±1.3歳)とした。1)アンケート調査測定前に利き足(ボールを蹴る側),スポーツ歴(種類,期間),5本指ソックス着用の有無を聴取した。2)計測環境本研究では5本指ソックスの継続的着用によるバランス能力への影響を検討する為,2週間の着用期間を設け,初日,7日目,14日目の計3日間に計測を行った。また。普通ソックスとの比較のため,初日に普通ソックス着用での計測を行った。(1)重心動揺計(ANIMA社製G-6100)を使用し,左右下肢の片脚立位時の足圧中心の軌跡を計測した。肢位は遊脚側股関節膝関節90°屈曲位,上肢下垂位とし,測定時間は30秒とし,左右各1回ずつ計測を行った。(2)footscan<sup>®</sup>.entry level USB7 system Version(RSscan International)を使用し自由歩行時の足圧中心の軌跡を計測した。助走距離は測定区間の前後3mとした。また,計測距離は2mとし,計測は2回行った。(3)Functional Reach Test(以下FRT)では前方・側方リーチを測定した。測定順序は各方向をランダムに設定した。測定にはファンクショナルリーチ測定器(オージー技研社製)を使用し,それぞれ3回ずつ測定を行った。3)データ分析(1)重心動揺においては総軌跡長,外周面積,X方向動揺平均中心変位,Y方向動揺平均中心変位の値を左右2回分の平均値で検討を行った。X方向動揺平均中心変位においては外側への偏移を検討する為,左側の測定値に-を掛けた値を使用した。(2)footscanにおいては各測定から左右1足ずつ抽出し,外側方向に最大となる点のX軸座標を記録し,2回分,計4歩分の平均値で検討した。(3)FRTにおいては前方,側方リーチの平均値で検討した。統計学的処理として一元配置分散分析後に多重比較Bounferroni法を用いた(p<0.05)。【結果】普通ソックスと5本指ソックス着用初日,普通ソックスと5本指ソックス着用14日目との比較において総軌跡長に有意な減少が認められた(p<0.05)。しかし,それ以外の群間,測定項目において有意差は認められなかった。【考察】普通ソックスと比較し5本指初日の総軌跡長において有意差が見られたことから,5本指ソックスの静的バランス能力への即時効果が示された。しかし,約7日間で普通ソックスでの結果に回帰し,14日目以降で再びバランス能力の向上が示された。この結果は初日においては5本指ソックスの着用により足指の可動性が向上し,静的バランス能力に影響が出たと考える。また,7日目においては日常生活を5本指ソックスで送ることにより,筋活動量が増大し,筋疲労が生じやすい状態となったため,普通ソックスと同等の結果となったと考える。さらに継続して着用することで5本指ソックス着用に対する慣れが生じ,筋活動量が低下し静的バランス能力の改善が生じたと考える。先行研究において静的バランス能力の指標である総軌跡長や足趾筋力,また動的バランス能力の指標であるTimed Up and Go Testとは互いに有意な相関が見られている3)。このことから,今回の実験で5本指ソックス着用により,静的バランス・動的バランスの両者において向上していることが考えられ,5本指ソックスの着用は転倒リスクの軽減に効果があることが示唆された。FRTに関しては年齢と身長に有意な相関があり,柔軟性など他の身体機能や他のバランス指標とは異なった要素で独立した指標であることが報告されている3)ため,今回の実験では有意差は認められなかったと考えられる。本研究の被験者はバランス能力が良好な健常成人を対象とし研究を行った。そのため,バランス能力の向上がわずかであり,総軌跡長以外の指標において有意差が出ない状態であった。今後はバランス能力が低下している高齢者なども対象とし研究を行う必要があると考える。また,今回は期間の都合上,14日間の計測となった。しかし,14日間以上の着用での効果も考えられるため,さらなる着用期間を設け研究を行う必要があると考える。【理学療法学研究としての意義】日常的に簡易に利用可能な5本指ソックスに着目した研究であり,疾患をもつ対象者への応用も容易に行える有用な研究結果であると考える。
著者
山田 純平 金谷健一 菅谷 保之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.51, pp.339-346, 2006-05-19
被引用文献数
18

本論文では画像上の点列に楕円を当てはめる問題を最尤推定として定式化し、KCRの下界との関係を述べる。次に、その数値解法としてFNS法、HEIV法、くりこみ法のアルゴリズムを述べ、ガウス・ニュートン法を追加する。そして、シミュレーションおよび実画像を用いてこれらの反復解法の収束性を実験的に比較し、反復の初期値や当てはめる楕円弧の形状への依存性を明らかにする。This paper studies numerical schemes for fitting an ellipse to points in an image. First, the problem is posed as maximum likelihood estimation, and the relationship to the KCR lower bound is stated. Then, we describe the algorithms of FNS, HEIV, and renormalization, to which a new method based on Gauss-Newton iterations is added. Using simulated and real image data, we compare their convergence properties and reveal their dependence on the initial value for iterations and the shape of the elliptic arc to which an ellipse is to be fitted.