- 著者
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仲谷 正
清水 充
山野 哲夫
- 出版者
- 公益社団法人 日本食品衛生学会
- 雑誌
- 食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
- 巻号頁・発行日
- vol.57, no.2, pp.51-56, 2016-04-25 (Released:2016-05-20)
- 参考文献数
- 17
- 被引用文献数
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3
和歌山県紀州灘沿岸部で採取されたキタマクラ2試料を,皮,筋肉,内臓に分割し,各組織におけるテトロドトキシン(TTX),および麻痺性貝毒(PSTs)の含有量について調査した.TTXおよびPSTsが,定量下限以上で検出された部位は,皮のみであり,筋肉および内臓では,検出限界未満(ND)または検出限界以上定量下限界未満(tr)であった.定量下限以上で検出されたPSTsは,サキシトキシン,およびデカルバモイルサキシトキシンの2成分のみであった.両試料における皮中TTXの含有量は11,000および13,000 ng/g (35および41 nmol/g)で,PSTsの含有量は168および460 ng/g (0.63および1.72 nmol/g)であった.また全毒量(TTX+PSTs)に対するTTXおよびPSTsのモル比(mol%)は,TTXで98.2および96.0%あり,PSTsで1.8および4.0%であった.キタマクラの毒の主成分は,TTXであるが,微量のPSTsも含有していることが,今回の調査結果よりわかった.