著者
仲谷 正史
出版者
日本香粧品学会
雑誌
日本香粧品学会誌 (ISSN:18802532)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.123-128, 2020-06-30 (Released:2021-06-30)
参考文献数
18

Sense of touch is fundamental perceptual modality that most people experience in their daily life. Although we tend to pay little attentions to touch modality, recent study showed that our cognitive behaviors such as the preference to warm materials and decision makings were affected by the haptic impressions obtained in our daily life. This article introduces several examples about human behaviors which are associated with haptic impressions, and provides basic knowledge on how we can elucidate such perceptual and cognitive phenomena based on multiple research aspects concerning sense of touch and bodily sensation.
著者
黒田 嘉宏 仲谷 正史 長谷川 晶一 藤田 欣也
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.379-390, 2011
被引用文献数
1

Ungrounded and light-weight force display is demanded for the daily use of a virtual reality system in a large space. The concern with a pseudo-force display, which displays limited or different physical stimuli compared with the reaction forces causing in real-world, has been growing as a solution for the last several years. This paper reports a research trend of pseudo-force displays for production of physical stimuli to fingers or a palm. We categorize the pseudo-force display according to the approach to induce similar sensation or event cognition to those in real-world. The problems derived from the features of the pseudo-force display are also discussed.
著者
油谷 藍子 仲谷 正 尾崎 麻子 山口 之彦 山野 哲夫
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.85-91, 2022-04-25 (Released:2022-06-01)
参考文献数
9
被引用文献数
1

2013年から2018年に大阪市内で購入した魚介加工品112検体について,加熱気化水銀計を用いて総水銀を測定した.その結果,マグロ加工品の総水銀濃度は平均0.115 µg/g(中央値0.070 µg/g)であった.中でもビンナガマグロを原材料とした加工品の総水銀濃度は高く,平均0.301 µg/g(中央値0.296 µg/g)であった.今回調査した魚介加工品の総水銀濃度はマグロ類を原材料とした加工品および混合削り節(サバ,イワシおよびアジの削り節)を除いて概ね低く,0.1 µg/g未満であった.今回の調査結果と日本人の平均的な食生活での魚介加工品摂取量から推定した体重50 kgの人の総水銀摂取量は0.13 µg/kg体重/週であり, FAO/WHO合同食品添加物専門家会議が評価した総水銀の暫定的耐容週間摂取量4.0 µg/kg体重/週の3.3%に相当する量であった.以上より魚介加工品の摂取は通常の摂食では問題ないが,妊婦が総水銀濃度の比較的高いビンナガマグロを原材料としたツナ缶を日常的に摂食した場合には食品安全委員会が評価した妊婦に対するメチル水銀の耐容週間摂取量(2 µg/kg体重/週)を超過する可能性が示唆された.
著者
仲谷 正史 Howe Robert D. 舘 〓
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.97-100, 2008-03-31 (Released:2017-02-01)
参考文献数
7
被引用文献数
1

Tactile sensation usually provides reliable perception of an object's presence and its surface geometric profile. We can easily conduct a part of daily behaviors without looking at. However, the human tactile sensation is not necessarily faithful reproduction of the physical property of an object in real world. Here we report a novel tactile illusion named as "Fishbone Tactile illusion": in which depth perception of the contact surface occurs through stroking by a fingertip even though the surface profile is physically flat. We investigated the effects of the touching modes (static and active) and that of the surface profile of stimuli (presence/non presence and width of smooth-flat contact surface) on the illusionary perception of stimulus geometry. The results from the two experiments suggest that this illusion is induced when the stimulus satisfies following at least two conditions: 1. a central smooth region is surrounded by rough adjacent regions; 2. a central smooth strip is required when the width of its region is below 1.5 mm. This phenomenon may reveal the basic of human tactile system to process the perception of depth in finger tip because of its robustness and simplicity.
著者
仲谷 正史
出版者
慶應義塾大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2016-04-01

H28年度の研究では、バイノーラル録音方式で得られた耳に近接した音響刺激を複数種類集め、その中で代表的な聴覚刺激の主観評価を行った。当初の予想では、これらの聴覚刺激により、聴取者はリラックスし心地よく感じると考えていた。しかし、被験者実験の結果、これらの刺激を聴取するとむしろ覚醒度が高まり、かつ不快に感じることが明らかになった。この理由は2つ考えられる。1つ目は、聴覚刺激そのものが不快であるという理由である。素材音の中には金属板を擦過した音や、ホワイトボードにペンで書いた時の「鳴き音」を採取したが、これらの音源は不快と判断されやすい。2つ目の理由として、身体に近接した空間(ペリパーソナルスペース)を物体が横切るように感じられるため、危険を察知する何らかの機構が働いた可能性がある。一方で、集めたバイノーラル音源の一部において、鳥肌感を高い頻度で誘起する刺激を見つけることができた。音響刺激における鳥肌感の研究は主に音楽聴取時に得られる鳥肌感の研究が多く、刺激の聴取時間は数十秒から数分にわたる。今回見いだすことができた鳥肌感を引き起こすバイノーラル音源は長くて30秒程度であり、聴取してからわずか数秒で鳥肌感を生起することができる。このことより、音楽聴取によって得られる鳥肌感とは異なるメカニズムでその主観効果が得られている可能性が考えられる。この点については、H29年度に詳細な検討を進めてゆく考えでいる。加えて、バイノーラル記録した素材音を利用して、聴覚と身体感覚に訴えかける多元質感メディア作品の制作を行った。作品制作の際には、MAX/MSP上で制作支援システムを構築した上で、現代音楽作品を制作した。学会における研究者向けの芸術展示、ならびに一般の方向けにそれぞれにおいて作品展示を行った。
著者
森田 淳 小松 敏 光部 貴士 中村 和洋 川瀬 領治 仲谷 正史 田中 浩也
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.434-455, 2020-04-15

従来,3Dプリンタは3次元形状の自由なデザイン性に注目されてきたが,医療分野を初めとした個別化製造への適用実現には,形状だけでなく物理特性の自由度が求められている.また,熟練設計者の勘と経験だけでなく,ユーザの感性を生かした設計が必要とされている.近年では,材料分野で形状によって物理特性を発現するArchitected Materialの研究が進められている.本報では,ウレタンエラストマを用いた周期構造(ラティス)によって3DプリンタによってArchitected Materialを作製し,インソールの形状と硬さを,装着者の感性にしたがって自由に設計するためのプラクティスについて述べる.
著者
仲谷 正 清水 充 山野 哲夫
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.51-56, 2016-04-25 (Released:2016-05-20)
参考文献数
17
被引用文献数
3

和歌山県紀州灘沿岸部で採取されたキタマクラ2試料を,皮,筋肉,内臓に分割し,各組織におけるテトロドトキシン(TTX),および麻痺性貝毒(PSTs)の含有量について調査した.TTXおよびPSTsが,定量下限以上で検出された部位は,皮のみであり,筋肉および内臓では,検出限界未満(ND)または検出限界以上定量下限界未満(tr)であった.定量下限以上で検出されたPSTsは,サキシトキシン,およびデカルバモイルサキシトキシンの2成分のみであった.両試料における皮中TTXの含有量は11,000および13,000 ng/g (35および41 nmol/g)で,PSTsの含有量は168および460 ng/g (0.63および1.72 nmol/g)であった.また全毒量(TTX+PSTs)に対するTTXおよびPSTsのモル比(mol%)は,TTXで98.2および96.0%あり,PSTsで1.8および4.0%であった.キタマクラの毒の主成分は,TTXであるが,微量のPSTsも含有していることが,今回の調査結果よりわかった.