著者
松井 太郎 中川 慶一 山﨑 啓史 和田 大司 角谷 真人 海田 賢一
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
pp.cn-001085, (Released:2017-12-22)
参考文献数
23
被引用文献数
1 3

症例は19歳女性.本人,母親にレイノー現象の既往がある.咽頭炎でロキソプロフェン(Loxoprofen; LP)を内服後,頭痛,悪心,発熱を生じ,その後意識障害,項部硬直が出現した.脳脊髄液検査にて単核球優位の細胞増多,蛋白上昇,Q albumin,IgG indexの上昇を認め,培養で病原体を認めなかった.血液・髄液で抗RNP抗体陽性.薬剤リンパ球刺激試験陰性.上記症状のLP中止後の速やかな改善から非ステロイド性抗炎症薬(non-steroidal anti-inflammatory drugs; NSAIDs)誘発性無菌性髄膜炎と診断した.本例は抗RNP抗体等の自己免疫異常を背景としてLP投与が無菌性髄膜炎を誘発したと考えられた.若年女性の無菌性髄膜炎の鑑別では自己免疫異常の検索に加え服薬歴の聴取が重要である.
著者
迎 寛 赤田 憲太朗 川波 敏則 野口 真吾 内藤 圭祐 畑 亮輔 西田 千夏 山﨑 啓 城戸 貴志 矢寺 和博
出版者
産業医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

気管支洗浄液を採取した肺炎患者(177名)を対象に16SrRNA遺伝子を用いた網羅的細菌叢解析法を用いて、誤嚥リスク因子の有無により分類し原因菌解析を行った。誤嚥リスク有群(83名)では口腔レンサ球菌が有意に多く検出され、その規定因子として、全身状態不良や1年以内の肺炎の既往が抽出された。これにより、口腔内常在菌として過小評価されてきたレンサ球菌が、誤嚥性肺炎の原因菌として重要なことを明らかにした。また、口腔衛生状態と原因菌との関連性の検討(n=34)では、口腔内衛生状態(OHI)が不良群で嫌気性菌の検出が有意に多く、口腔内不衛生が下気道検体の嫌気性菌の検出に関与すると考えられた。