著者
松井 太郎 中川 慶一 山﨑 啓史 和田 大司 角谷 真人 海田 賢一
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
pp.cn-001085, (Released:2017-12-22)
参考文献数
23
被引用文献数
1 3

症例は19歳女性.本人,母親にレイノー現象の既往がある.咽頭炎でロキソプロフェン(Loxoprofen; LP)を内服後,頭痛,悪心,発熱を生じ,その後意識障害,項部硬直が出現した.脳脊髄液検査にて単核球優位の細胞増多,蛋白上昇,Q albumin,IgG indexの上昇を認め,培養で病原体を認めなかった.血液・髄液で抗RNP抗体陽性.薬剤リンパ球刺激試験陰性.上記症状のLP中止後の速やかな改善から非ステロイド性抗炎症薬(non-steroidal anti-inflammatory drugs; NSAIDs)誘発性無菌性髄膜炎と診断した.本例は抗RNP抗体等の自己免疫異常を背景としてLP投与が無菌性髄膜炎を誘発したと考えられた.若年女性の無菌性髄膜炎の鑑別では自己免疫異常の検索に加え服薬歴の聴取が重要である.
著者
坂元 哲平 小林 佑輔 中川 慶一郎 生田目 崇 後藤 正幸
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.346-356, 2021-01-15

近年,消費者の嗜好の多様化にともない,テレビ業界においても視聴者の嗜好に寄り添った魅力的な番組戦略や広告戦略を編成する必要性が増している.このような問題意識と,デジタル化によるデータの蓄積を背景にテレビ視聴データの分析事例が報告されている.一方で,従来研究では視聴履歴を用いて視聴者と番組の関係性を表現することを目的としたモデル化事例についての議論は盛んではない.そこで本研究では,両者の関係性をトピックモデルに基づくクラスタリングによってモデル化するデータ分析手法を提案する.一般に視聴者の嗜好は時間的に変化することが考えられるため,時系列を考慮したトレンドの分析を可能とするような分析法が必要である.ここで,ドラマ番組のように3カ月を1クールとして放送される番組がいっせいに変わるというテレビ特有の事象に対して,単純なクラスタリング法ではクラスタの継続性が保たれないという問題があるため,その問題に対応するトレンド分析法を提案する.さらに,得られた結果を用いた分析を直感的に行うために,サンキーダイアグラムを用いた可視化を施す.また,多様な視聴者の視聴傾向を1つのクラスタへ一意に所属させる場合と,複数クラスタへの所属を許容する場合の2つの分析法を提案し,比較を行う.最後に,提案分析法を実際のテレビ視聴データに適用し,提案法の有効性を示すとともに,結果の分析を行い視聴者のテレビ視聴行動を明らかにする.