著者
居倉 博彦 児玉 光司 池田 俊太郎 橋田 英俊 桑原 大志 岡山 英樹 原 裕二 重松 裕二 小原 克彦 濱田 希臣 日和田 邦男 藤原 康史
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.619-622, 1997-06-15

症例は47歳,男性.1995年4月22日午前7時頃,くしゃみをした直後に前胸部圧迫感が出現した.痛みは約15分続いた.さらに,同年5月16日午前7時頃,くしゃみをした直後に前胸部圧迫感が生じた.その際,便意も催し,排便後に失神したが,意識は10分弱で同復し,胸痛も消失した.近医の紹介により同年5月29日に当院に入院した.6月1日に冠動脈造影検査を施行,コントロール造影では両側冠動脈に器質的狭窄を認めなかったためアセチルコリン冠攣縮誘発試験を行った.その結果,右冠動脈,および左回旋枝は完全閉塞し,それに伴って胸部圧迫感と心電図上ST上昇を認めた.以上より異型狭心症と診断した.以後,抗狭心症薬の投与により狭心症発作は一度も起きていない.本症例は狭心症発作の前駆症状にくしゃみを認めた稀な症例である.
著者
三好 徹 岡山 英樹 川田 好高 高橋 龍徳 重松 達哉 木下 将城 原 佳世 泉 直樹 日浅 豪 山田 忠克 風谷 幸男
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.172-178, 2015 (Released:2016-02-15)
参考文献数
15

症例は40代男性. 2月某日40°C台の発熱があり, その5日後に間欠性の痙攣を伴う意識消失発作を繰り返すため, 脳炎を疑われ当院救命救急センターに搬送された. モニター心電図上, 完全房室ブロックに伴う意識消失と痙攣発作が出現するため救急外来で経皮的ペーシングを開始し, その後経静脈的一時的ペーシングを施行した. 来院時, インフルエンザA抗原が陽性, 経胸壁心エコー図上, EFは40%でびまん性の壁運動低下を認めていた. 後日, 冠動脈造影を施行したが有意狭窄は認めなかった. 同時に心筋生検を行い, リンパ球を主体とした炎症細胞浸潤, 心筋細胞の断裂, 萎縮, 消失を認めており心筋炎に矛盾しない所見であった. 好酸球や巨細胞は認めなかった. インフルエンザA抗原 (H3N2) のペア血清が有意に上昇しており, A香港型インフルエンザ心筋炎に伴う完全房室ブロックと診断した. 完全房室ブロックは改善せず, 入院7日目に左胸部にMRI対応型恒久的ペースメーカー植込み術を行った. 完全房室ブロック原因精査目的にペースメーカー植込み3カ月後に心臓MRIを撮像したが, 良好な画像が得られ明らかな遅延造影所見は認めなかった.