- 著者
-
岡崎 清市
砂村 継夫
- 出版者
- The Association of Japanese Geographers
- 雑誌
- Geographical review of Japan, Series B (ISSN:02896001)
- 巻号頁・発行日
- vol.67, no.2, pp.101-116, 1994-12-31 (Released:2008-12-25)
- 参考文献数
- 34
- 被引用文献数
-
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4
平衡時のバームの位置と高さに関して,まず小型造波水路における実験結果から予察的な関係式を導いた。汀線からバーム・クレストまでの水平距離として定義されたバームの位置Xは,X/(gT2)3/8Hb5/8φ=0.605 (collapsing型バームの場合), 0.305 (surging型バームの場合)で与えられる。ここに, Hbは初期の砕波波高, gは重力加速度, Tは波の周期, φは海浜堆積物の粗度と透水性に依存する減少係数である。減少係数は,無次元粒径D*を用いてφ=exp(-0.04D*0.55)により与えられる。ここD*=[g(ps/p-1)/v2]1/3D,psは堆積物の密度, pは流体密度, vは動粘性係数, Dは底質粒径である。バームの高さBhは次式により与えられる。すなわちBh/(gT2)5/8Hb1/8D1/4φ=0.117 (collapsing型バームの場合), 0.067 (surging型バ一ムの場合)。原型規模での実験結果によれば, collapsing型バームの位置と高さの関係式にはスケール効果は含まれていない。 次にこれらの式に野外における適用性を,茨城県阿字ヶ浦海岸における実測データで検討した。朔望平均満潮位 (HW) を基準位として,バームの位置と高さをそれぞれ求めた。バーム形成期間中における平均波の砕波波高玩と周期テのそれぞれが,これら2式の波の諸元と置き換えられた。HWの汀線から測ったバームの位置X'は, X'/(gT2)3/8Hb5/8φ=1.14で,また, HWL上のバームの高さBh'は, Bh'(gT2)5/8Hb1/8D1/4φ=0.134でそれぞれ表せることが判った。