著者
岡崎 清市 砂村 継夫
出版者
The Tohoku Geographical Association
雑誌
季刊地理学 (ISSN:09167889)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.160-166, 2001-09-01 (Released:2010-04-30)
参考文献数
17

九十九里浜平野において, 完新世における砂質微高地列 (strandplain ridges) の形成過程が議論されて来たが, これら微高地列の区分を明治中期 (1883年頃) の迅速測図の土地利用区分を手懸かりに再検討した。その結果, 従来の区分と異なる6区分をすることができた。海岸寄りの2群は従来通り, 内陸側は4群に区分することができた。
著者
岡崎 清市 砂村 継夫
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
Geographical review of Japan, Series B (ISSN:02896001)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.101-116, 1994-12-31 (Released:2008-12-25)
参考文献数
34
被引用文献数
2 4

平衡時のバームの位置と高さに関して,まず小型造波水路における実験結果から予察的な関係式を導いた。汀線からバーム・クレストまでの水平距離として定義されたバームの位置Xは,X/(gT2)3/8Hb5/8φ=0.605 (collapsing型バームの場合), 0.305 (surging型バームの場合)で与えられる。ここに, Hbは初期の砕波波高, gは重力加速度, Tは波の周期, φは海浜堆積物の粗度と透水性に依存する減少係数である。減少係数は,無次元粒径D*を用いてφ=exp(-0.04D*0.55)により与えられる。ここD*=[g(ps/p-1)/v2]1/3D,psは堆積物の密度, pは流体密度, vは動粘性係数, Dは底質粒径である。バームの高さBhは次式により与えられる。すなわちBh/(gT2)5/8Hb1/8D1/4φ=0.117 (collapsing型バームの場合), 0.067 (surging型バ一ムの場合)。原型規模での実験結果によれば, collapsing型バームの位置と高さの関係式にはスケール効果は含まれていない。 次にこれらの式に野外における適用性を,茨城県阿字ヶ浦海岸における実測データで検討した。朔望平均満潮位 (HW) を基準位として,バームの位置と高さをそれぞれ求めた。バーム形成期間中における平均波の砕波波高玩と周期テのそれぞれが,これら2式の波の諸元と置き換えられた。HWの汀線から測ったバームの位置X'は, X'/(gT2)3/8Hb5/8φ=1.14で,また, HWL上のバームの高さBh'は, Bh'(gT2)5/8Hb1/8D1/4φ=0.134でそれぞれ表せることが判った。
著者
鈴木 隆介 高橋 健一 砂村 継夫 寺田 稔
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.211-222, 1970-04-01 (Released:2008-12-24)
参考文献数
8
被引用文献数
8 5

調査地域の洗濯板状起伏は,その尾根部が凝灰岩層,谷部が泥岩層からなる.泥岩には微小な節理が著しく多いが,凝灰岩には存在しない.本地域の泥岩は凝灰岩にくらべて圧縮強度,弾性波速度,衝撃・摩耗硬度が大きい.また,吸水膨脹歪と膨脹圧は泥岩の方が著しく大きい.以上のことから,洗濯板状起伏は,岩石の圧縮強度や衝撃・摩耗硬度といったいわゆる“かたさ”あるいは“つよさ”の差異に起因するのではなくて,基本的には,含水状態の変化に伴う膨脹・収縮歪の差異が節理の発達状態の差異に関連し,節理で分離した泥岩の小岩片が波で持ち去られるといった機構で生じたものと解した.
著者
鈴木 隆介 八戸 昭一 田中 幸哉 松岡 憲知 松倉 公憲 砂村 継夫
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

本研究の目的は,2001年8月23〜28日に日本で開催されるIAG第5回国際地形学会議における「岩石制約論シンポジウム」の基調報告の内容および討論課題を設定し,報告者の選定ならびに同シンポジウムに直結する野外巡検候補地の選定のための企画調査である.その成果を以下に要約する.1) 文献調査「地形形成過程における岩石物性の役割」を定量的に研究した成果を,世界の主要な学術雑誌,国際会議報告書および既刊書などについて,計254編の文献を収集・整理した.その結果, 「岩石制約論シンポジウム」の討論課題としては,総論,各論および岩石物性測定法の三部に大別し,総論では岩石制約論の根本課題の総括,各論では河川侵食過程,海岸侵食過程,マスムーブメント,氷河・周氷河過程,斜面発達,岩盤風化のそれぞれに関連する岩石制約の実例の総括,そして岩石物性測定法では野外測定法と室内測定法の諸問題,をそれぞれ主題および副題とすることとした.各部門と副題のオーガナイザーとしては本研究組織の全員が分担し,外国人では1999年末までの予備登録者の中から選定し,個別折衝して,最終的には2001年1月までに決定することとした.2) 野外巡検の企画日本で岩石制約論的観点からの研究成果が累積している北海道豊富町付近,福島県東部海岸,秩父盆地,千葉県各地,三浦半島,宮崎県南東部について,各地区ごとに本研究組織の研究者が現況を確認した.その結果,野外巡検地としては房総地域(4日間)と北海道豊富地域(5日間)の2地域とし,第5回国際地形学会議のFirst Circularに掲載・発送した.3) Proceedings刊行の企画「岩石制約論シンポジウム」の成果をまとめて英文単行本として出版することとした.