著者
児島 将康 佐藤 貴弘 松石 豊治郎 岡本 伸彦 永井 敏郎 西 芳寛
出版者
久留米大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

本年はグレリンの遺伝子発現調節機構について研究を行った。グレリンの発現・分泌調節はグレリンの生理作用を調節する上で非常に重要であるが、グレリンの発現・分泌を調節する因子としては、現在のところ空腹シグナルしか知られていない。そこでグレリンの遺伝子発現調節に関与する因子を探索するために、ヒトグレリン・プロモーターシークエンスをルシフェラーゼ発現ベクターに組み込んだレポーターベクターを作成し、グレリン遺伝子発現を調節する転写因子の研究に取り組んだ。グレリン・プロモーター配列において、これまでに明らかでなかったグレリン遺伝子発現の抑制領域を見出した。グレリン・プロモーターの-1600領域付近まで削ったベクターでは、プロモーター活性が低下した。またコンピューターサーチによってグレリン遺伝子のプロモーター領域に結合する転写因子の候補を探索し、その中で入手できたものについて、プロモーター活性に及ぼす影響を調べた。その結果、グレリン遺伝子のプロモーター活性を調節する転写因子として、抑制性のNF-kBと促進性のNkx2.2が関与していることを見出した。グレリン遺伝子のプロモーター領域に抑制性の領域を見出した。この結果グレリン遺伝子は正負のバランスによって発現調節が行われていると考えられた。またリポポリサッカライド(LPS)投与によって敗血症性ショックに陥るが、このとき血中グレリン濃度の減少が見られる。LPS投与によってToll-like4受容体が活性化され、引き続いてNF-kBが活性化される。NF-kBによってグレリン遺伝子のプロモーター活性が抑制されることから、LPS投与による血中グレリン濃度の減少にはNF-kBが関与している可能性が強いと考えられた。
著者
植田 仁 鳥邊 泰久 桑江 優子 竹内 真 中山 雅弘 位田 忍 岡本 伸彦 鈴木 保宏
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.35, no.6, pp.499-504, 2003-11-01 (Released:2011-12-12)
参考文献数
17
被引用文献数
1

我々は嘔吐, 意識障害で発症し亜急性の経過で死亡したクリプトコッカス髄膜脳炎の11歳女児の剖検例を経験した.入院時髄液検査にて軽度の細胞増多, 糖の低下および蛋白の上昇がみられ, 検鏡では厚い黄膜に包まれた球形の菌体 (Cryptococcus neoformans) を認めた。頭部MRIでは大脳基底核部にT2強調画像で高信号域を示す点状一結節状の多巣性病変と脳表面における点状線状の造影効果を示した.クリプトコッカス髄膜脳炎と診断し抗真菌剤の治療を開始したが, 入院数時間後に死亡した.剖検所見では大脳基底核を中心に集簇した血管周囲腔の拡大像と血流のうっ滞を伴う強い髄膜炎像を認めた。頭部MRI所見はクリプトコッカス髄膜脳炎の病理学的変化をよく反映していた.
著者
佐保 美奈子 入江 真行 古山 美穂 山田 加奈子 髙 知恵 島田 憲次 松本 富美 位田 忍 小杉 恵 岡本 伸彦 石見 和世 松尾 規左 鶴丸 礼子
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

総排泄腔遺残症の思春期女性の学業・就労・恋愛・結婚への支援について研究した。①性の多様性と理解 性分化疾患については、医療者も対応に苦慮しているのが実状で、社会全体で理解促進が必要である。②障がい者の就業支援 排泄障害を持つほとんどの者が上司や同僚からの配慮を必要としている。職場・社会全体の理解促進が必要である。③障がいをもつ女性のエンパワメント 総排泄腔遺残症の女性とパートナーのもつ思いやり・やさしさ・強さなどを社会に発信していきたい。研究成果物として、『膣拡張用樹脂製ダイレーター』『総排泄腔遺残症ってこんな病気』『総排泄腔遺残症の就労支援』『DSDの子どもをもつご家族の皆様へ』などがある。