著者
中嶋 隆 海外 文一郎 岡村 由紀子 國松 豊
出版者
Japan Poultry Science Association
雑誌
日本家禽学会誌 (ISSN:00290254)
巻号頁・発行日
vol.31, no.6, pp.417-422, 1994-11-25 (Released:2008-11-12)
参考文献数
11
被引用文献数
5 4

産卵開始後約8ヵ月経過した産卵鶏に対して,コーングルテンミール(CM),マリーゴールド花弁粉末(MM),パプリカ粉末(PM)およびパプリカ抽出処理物(PE)の4種類の天然卵黄着色強化剤を20日間投与し,卵黄の着色効果を比較検討した。その結果,すべての着色強化剤は無添加対照区に対して,ロシュのヨークカラーファン値(RCF値)を有意に高め卵黄に対する着色効果を認めた。しかしながら,飼料中のキサントフィルを同量にしたにもかかわらず,RCFは赤色色素に対する感応が強いため,飼料中の黄色系キサントフィルの多いCMとMMは,赤色系キサントフィルを多く含むPMおよびPEよりも,RCF値を高めることはできなかった。色差計によるイエローインデックス(YI)および赤色度(a値)は,RCF値と同じ傾向が見られ,PMとREが有意に高い値を示し,逆にCMとMMは低い値を示した。黄色度(b値)は,a値と逆の結果が認められ,RCF値の高いPEが最も低い値を示した。以上の結果から,CMとMMは黄色の着色効果が大きく,PMとPEは赤色の着色効果が大きいことから,RCF値の高い卵黄色を期待するにはPMおよびPEは有効な着色強化剤であることが示唆された。また,RCFを色差計で測定して得られたYI値,L値またはa値とRCF値との相関については,高い相関が認められたにもかかわらず,一次回帰式によって客観的なRCF値を推定することはできなかった。