著者
岡﨑 龍史 太神 和廣 横尾 誠 香﨑 正宙
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.277-290, 2017-12-01 (Released:2017-12-16)
参考文献数
20

2011年および2013年に行った福島第一原子力発電所事故の健康影響へのアンケート調査では健康影響への不安は,患児の保護者と放射線知識の高い医師や医学生とでは,患児の保護者の方がより強いことが確かめられた.福島県民健康調査事業で甲状腺検査によって,甲状腺がんが190名報告され,放射線影響の可能性に対する福島県民の不安は残っている.今回,事故後6年を経過後の放射線教育の受講状況や不安に対する調査を行うとともに,福島県内の患児の保護者に対して,放射線影響と福島県民健康調査事業での甲状腺検査についてアンケート調査を行った.全質問20項目の無記名自記式アンケートを福島県小児科医会各医療機関へ郵送し,受診した小児・青少年の保護者,および医療機関関係者から回答を得た.505部回収され,回収率は26.7%であった.患児の保護者では,「放射線教育を受けたことがない」が30%,「人体の影響についての教育を詳しく受けていない」が67%であった.患児の保護者では,「甲状腺がん」,「子どもへの健康影響」,「将来生まれてくる子や孫への遺伝的な影響」の項目に対し,医療従事者に比べ不安が高い傾向にあった.現状での甲状腺がんの発症は,原発事故による放射線影響と考え,甲状腺検査の継続を望む者が多いことが判明した.
著者
岡﨑 龍史
出版者
産業医科大学、産業医科大学学会
雑誌
Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.Special_Issue, pp.85-89, 2013-10-01 (Released:2013-10-10)
参考文献数
3

日本における放射線障害防止の法律は,昭和30年に施行された「原子力基本法」が元となる.原子力の研究,開発及び利用の促進のために制定されたが,海外からの放射線同位元素の輸入の増加に伴い,昭和32年に科学技術庁所管で「放射性同位元素による放射線障害の防止に関する法律」,つまり「放射線障害防止法(障防法)」が制定され,昭和33年に施行された.平成24年原子力規制委員会が環境省の外局として発足し,管轄している.労働基準法の面からもさらに充実した規制が生じたため,昭和34年に労働省令第11号として「電離放射線障害防止規則(電離則)」が制定された.これまでにも何度も改正が行われたが,平成23年福島原子力発電所(福島原発)事故に伴い,新たに改正されている.障防法及び電離則を解説し,労災認定について述べる.
著者
岡﨑 龍史 大津山 彰 阿部 利明 久保 達彦
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.91-105, 2012-03-01 (Released:2017-04-11)
被引用文献数
2 or 0

福島第一原子力発電所(福島原発)事故後, 放射線被曝に対する意識について, 福島県内一般市民(講演時200名, 郵送1,640名), 福島県外一般市民(52名), 福島県内医師(63名), 福島県外医師(大分53名, 相模原44名, 北九州1,845名)および北九州のS医科大学医学部学生(104名)を対象にアンケート調査を行った. アンケート調査の回収率は, 福島県の一般市民は講演時86%と小児科医会を通じて郵送した50%と, 福島県外の一般市民91.3%および福島県内医師は講演時に86%回収, また福島県外の医師は, 相模原市85%および大分県は講演時に86%回収し, 北九州市はFAXにて17%回収となった. 福島原発後の放射線影響の不安度は, S医科大学医学部学生が12.2%ともっとも低く, 次に医師(福島県内30.2%, 県外26.2%)が低く, 福島県外一般市民(40.4%), 福島県内一般市民(71.6%)の順に高かった. 不安項目に関しては, S医科大学医学部学生や福島県医師は, 健康影響よりも環境汚染(食物や土壌汚染)に対し不安を持つ割合が高く, 福島県外医師や福島県内外の一般市民は健康被害および環境汚染の双方に不安を持っていた. 放射線の知識が高い人が, 現状に対する不安は少なく, 放射線知識の普及の必要性が結果として示された.