著者
大谷 俊樹 角田 晋 有井 滋樹 岩井 武尚
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.735-739, 2001-06-20 (Released:2017-01-01)
参考文献数
22

【目的】乳児痔瘻の原因は未だ明らかにされておらず, 保存的治療と外科的治療の優劣についても議論のあることろである.本研究は漢方薬のひとつである十全大補湯の乳児痔瘻に対する有用性について検討した.【方法】乳児痔瘻10例に対し, 十全大補湯1回量0.1∿0.15 g/kgを1日2回投与し, 痔瘻の治癒経過や再燃の有無などを観察した.【結果】ほとんどの症例において, 2週間以内に排膿の停止を確認した.また投薬中止後3例の再燃を認めたが, 薬の増量のみで対処可能であった.【結論】十全大補湯は乳児痔瘻の新しい治療戦略として, 今後乳児痔瘻の治療における第1選択となりえるものと思われた.