著者
迯目 英正 八木田 浩史 角田 晋也 伊藤 拓哉 鈴木 誠一 小島 紀徳
出版者
日本マクロエンジニアリング学会
雑誌
MACRO REVIEW (ISSN:09150560)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.1-39, 2021 (Released:2021-04-30)
参考文献数
18
被引用文献数
1

スターリングエンジンはカルノー効率に近い発電効率を発揮できる「夢のエンジン」と言われてきたが、200年間、実用化・普及に遅れていた。2015年、Jürgen Kleinwächter(ユルゲン・クラインヴェヒター)教授は長年の研究を経て低温スターリングエンジンSunpulse500(高温側熱源温度200℃・低温側熱源温度25℃で、出力500W、発電効率12%)を発表した。 筆者らはSunpulse500を参考に、低摩擦係数素材や高性能断熱材などの最先端技術を採用し、新たな低温スターリングエンジンを開発した(実験機の実施設計レベル)。著者らの試算では、高温側熱源温度95℃・低温側熱源温度5℃で、出力308W、発電効率11.4%を達成できる。 低温スターリングエンジンは、エクセルギーが小さい低品位の熱源を利用でき、太陽熱湯沸装置を用いることでエネルギーロスや装置・運用・熱源コストを下げ、発電効率に優れるので発電コストを下げ、他の発電装置・発電方式に対し価格競争力をもつ。
著者
玉山 昌顕 角田 晋也 都留 信也 木本 研一 深尾 徹 鳴尾 真二 石井 三雄 北見 辰男 高木 清光 一之瀬 快朗 町田 道彦
出版者
日本マクロエンジニアリング学会
雑誌
MACRO REVIEW (ISSN:09150560)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.65-70, 2006 (Released:2009-08-07)
参考文献数
11

他研究グループと当学会合同研究会との討論会の基礎的項目の構築を図る。貨物と旅客の優先性、国家百年の計なのか、着工待ったなしなのか、ビジネスジェット機受入は、中継ハブ空港なのか、真のハブ空港にするための国家戦略は何か、24時間営業の空港がなぜ首都圏に必要か、必要ならばその機能と運用方法の整備、新幹線駅と地方空港間の交通の利便性、東京湾の環境保全・海運、埋め立てに反対、補償問題・騒音問題等々が議論された。結論は無く、継続審議の価値ある主題である。
著者
角田 晋也
出版者
日本マクロエンジニアリング学会
雑誌
MACRO REVIEW (ISSN:09150560)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.19-24, 2009 (Released:2010-01-28)
参考文献数
6

総コストを最小化•備蓄率を最大化するような食糧自給率は、国内外のコスト差次第で異なってくる。国内外のコスト差の原因は、本来は経済地理学的な問題であるが、外国為替レート(つまり円高•円安)に伴って変動する。日本が食糧を輸入する際の利害関係者にとっては、国内外の生産コスト差が大きい方が好ましく、そのためには円高傾向が望ましい。「日本が投資立国になる」または「日本でしか生産が不可能な、国際競争力のある輸出」を実現できない場合は、日本が食糧を輸入する際の利害関係者にとって好ましくない円安となる可能性がある。
著者
角田 晋也
出版者
JAPAN MACRO-ENGINEERS SOCIETY
雑誌
MACRO REVIEW (ISSN:09150560)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1-2, pp.41-45, 2007 (Released:2009-08-07)
参考文献数
4

内径が小さい油圧チューブなどを用いれば、海面での加圧を小さくしても、気体を海中深くに沈めることができる。この際にはヒートポンプの原理、つまり断熱圧縮により海中深くに熱源が発生する。この技術は、二酸化炭素の海洋・海底隔離や、海底メタンハイドレートの採取などに応用することが可能である。マグネシウム燃料では、海水を電解して得られるマグネシウムに水を反応させて水素と熱を得るが、その際に副産物として生成する酸化マグネシウムを二酸化炭素と反応させると発熱して炭酸マグネシウムとなる。炭酸マグネシウムは水に難溶性であり、比重が水よりも大きいので、海面に投棄するとほとんど溶けずに自重で沈む。また、僅かに海水に溶ける際には、pHを大きくするので、海底窪地に開放状態で貯留した二酸化炭素が海水中に溶解してpHを小さくする現象を緩和するのにも利用できる。
著者
五十嵐 豊 付 佳楽 角田 晋一 田中 享 中沖 靖子 佐野 英彦
出版者
北海道歯学会
雑誌
北海道歯学雑誌 (ISSN:09147063)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.177-192, 2012-03

本研究は,4-META/MMA-TBBレジンのプラチナナノコロイド(CPN)処理をした象牙質に対するサーマルサイクリング(TC)試験前後での接着強さについて検討することを目的とした.0.5% クロラミンT水溶液に保存されていた18本の健全ヒト抜去智歯を歯冠中央部で切断し,健全な象牙質を露出させた後,#600の耐水研磨紙を用いて研磨したものを被着面とした.Control群として被着面を10% クエン酸3% 塩化第二鉄溶液(10-3溶液)でエッチングした.また,10% CPN群,100% CPN群として,被着面を10-3溶液でエッチングし,10%または100%のプラチナナノコロイド(アプト,東京)を塗布した.その後,全ての象牙質被着面にスーパーボンド(サンメディカル,滋賀)を用いてPMMAブロックを接着させた.試料は全て1日水中浸漬後に1mm2の棒状にした.さらに,これらを5℃および55℃の水中に各60秒間浸漬を1サイクルとするTC試験0回群,10,000回群,および20,000回群に分けて行った.TC後の試料は,クロスヘッドスピード1mm/minにて微小引っ張り接着強さを測定した.微小引張り接着強さの測定によって得られた測定値については,Games-Howell検定を用いて有意水準5%にて統計処理を行った.レジンと象牙質の接着界面はSEMとTEMを用いて観察した.Control群の微小引っ張り強さ(μTBS)は29.3MPa(TC 0回),36.6MPa(TC 10,000回),32.8MPa(TC 20,000回)であった.10% CPN群のμTBSは30.4MPa(TC 0回),40.3MPa(TC 10,000回),32.1MPa(TC 20,000回)であった.100% CPN群のμTBSは24.2MPa(TC 0回),12.0MPa(TC 10,000回),10.7MPa(TC 20,000回)であった.Control群と10% CPN群はTC試験前後で接着強さに有意差は認められなかった.100% CPN群の接着強さはTC試験後に有意に低下した.接着界面のSEM観察において100% CPN群ではTC試験後にControl群と10% CPN群と比べて短いレジンタグが観察された.接着界面のTEM観察では10% CPN群,および100% CPN群において,樹脂含浸層の上縁に細かい粒子状構造物の存在が認められた.プラチナナノコロイド表面処理した象牙質接着強さには濃度が影響していると考えられた.
著者
角田 晋也
出版者
JAPAN MACRO-ENGINEERS SOCIETY
雑誌
MACRO REVIEW (ISSN:09150560)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.29-36, 2007 (Released:2009-08-07)
参考文献数
3

統合失調症や躁鬱病は共に人口の1%程度を占める代表的な精神病であるが、精神病という程ではない障害をもつ人々はその十倍程度いると思われる。特に、反社会的な言動を伴う障害に注目すると、ストレスに対する反応が十人十色であるとともに、脳科学の進歩により、公共心に乏しい人々の総人口に占める割合の削減や各人のストレス耐性などに応じた権限の割当て制限などの可能性が示唆される。ホロビンの仮説では、以下のようになる。まず突然変異で統合失調症の遺伝子ができる。その時点では発病しないか、社会的に問題にならない時代が何十万年も長く続く。そして訪れた地球規模の気候の変動により食糧事情が変化し、農業中心による穀物中心の食文化に移行すると、摂取する栄養の内容が変わる。その結果、発病の引き金となる脂肪酸の代謝が悪化する。すると、それまでは発病しないか、軽症で済んでいた遺伝子ホルダーたちが顕著に発病をはじめる。それが社会に大きなインパクトを与えることになる。
著者
大谷 俊樹 角田 晋 有井 滋樹 岩井 武尚
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.735-739, 2001-06-20 (Released:2017-01-01)
参考文献数
22

【目的】乳児痔瘻の原因は未だ明らかにされておらず, 保存的治療と外科的治療の優劣についても議論のあることろである.本研究は漢方薬のひとつである十全大補湯の乳児痔瘻に対する有用性について検討した.【方法】乳児痔瘻10例に対し, 十全大補湯1回量0.1∿0.15 g/kgを1日2回投与し, 痔瘻の治癒経過や再燃の有無などを観察した.【結果】ほとんどの症例において, 2週間以内に排膿の停止を確認した.また投薬中止後3例の再燃を認めたが, 薬の増量のみで対処可能であった.【結論】十全大補湯は乳児痔瘻の新しい治療戦略として, 今後乳児痔瘻の治療における第1選択となりえるものと思われた.