著者
飯島 尋子 西口 修平 有井 滋樹 市野瀬 志津子 田中 博 佐藤 哲二 西上 隆之
出版者
兵庫医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

慢性肝炎および非アルコール性脂肪性肝炎の超音波機能診断法として、非造影、造影による診断法を検討した。VTTQによる慢性肝炎の診断法を確立した。Sonazoidを用いた造影法によるNASH診断法を検討した。またNASHラットモデルを用いSonazoidを投与し生体顕微鏡による検討では、Kupffer細胞へのSonazoidの貪食は経時変化によっても増加せず、貪食能力の低下が原因と考えられた。VTTQによるNASH診断については早期ステージでの診断に問題が残り今後の検討課題となった。
著者
大谷 俊樹 角田 晋 有井 滋樹 岩井 武尚
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.735-739, 2001-06-20 (Released:2017-01-01)
参考文献数
22

【目的】乳児痔瘻の原因は未だ明らかにされておらず, 保存的治療と外科的治療の優劣についても議論のあることろである.本研究は漢方薬のひとつである十全大補湯の乳児痔瘻に対する有用性について検討した.【方法】乳児痔瘻10例に対し, 十全大補湯1回量0.1∿0.15 g/kgを1日2回投与し, 痔瘻の治癒経過や再燃の有無などを観察した.【結果】ほとんどの症例において, 2週間以内に排膿の停止を確認した.また投薬中止後3例の再燃を認めたが, 薬の増量のみで対処可能であった.【結論】十全大補湯は乳児痔瘻の新しい治療戦略として, 今後乳児痔瘻の治療における第1選択となりえるものと思われた.
著者
有井 滋樹
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.48, no.10, pp.473-483, 2007 (Released:2007-11-01)
参考文献数
93
被引用文献数
2 3
著者
岡本 英三 有井 滋樹 内野 純一 遠藤 康夫 神代 正道 谷川 久一 幕内 雅敏 水本 龍二 水戸 廸郎 山田 龍作 有井 滋樹 大西 美佳 平石 保子
出版者
The Japan Society of Hepatology
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.317-330, 1997-05-25
被引用文献数
30 27

全国649施設の協力により, 1992年1月1日より1993年12月31日までの2年間の原発性肝癌症例15, 782例 (臨床診断/組織診断の判明13, 991例) が日本肝癌研究会に登録された. 約96%は肝細胞癌, 約3%が胆管細胞癌であった. 追跡症例は9, 854例であった. 本報告においては, これら新規症例を170項目に及ぶ疫学, 臨床病理学的事項, 診断, 治療について解析し, その主たる点について述べた. 特別集計としては, 追跡症例を含めて, 肝細胞癌, 胆管細胞癌, 混合型肝癌の治療法別生存率, 及びlogistic modelによる肝細胞癌切除後の3年, 5年生存の予知因子の解析を行った.
著者
國土 典宏 幕内 雅敏 中山 健夫 有井 滋樹 小俣 政男 工藤 正俊 神代 正道 坂元 亨宇 高安 賢一 林 紀夫 門田 守人
出版者
The Japan Society of Hepatology
雑誌
肝臓 = ACTA HEPATOLOGICA JAPONICA (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.48, no.11, pp.562-570, 2007-11-25
参考文献数
7

平成14-15年度の厚生労働省診療ガイドライン支援事業により「科学的根拠に基づく肝癌診療ガイドライン研究班」(班長:幕内雅敏)が組織され,ガイドラインを作成し,2005年2月に書籍として刊行した.発刊後ほぼ1年を経て,臨床現場でガイドラインを用いるより多くの医師による評価を目的として,日本肝癌研究会全会員に対するアンケート調査を実施した.ガイドライン内容の妥当性だけではなく,普及・利用の現状と可能性に関する評価のために16項目からなる質問票を作成し2006年3月,質問票を本研究会個人会員2,279名に送付し,843名(37.0%)から回答を得た.回答者年齢の中央値は47歳,卒後年数は93.9%が10年以上であり,中央値は20年であった.専門領域は内科系55.6%,外科系37.8%,放射線科系4.4%,病理2.0%であった.最近3カ月で診療した患者数は外来で20名以上が45.7%,入院で10名以上が44.8%であり,現在activeに肝癌診療に関わっているベテラン医師からの回答がほとんどであった.ガイドライン認知度についての質問では,「ガイドラインをみたことがある」が72%であり,日常診療に役立つかどうかの質問では,「大いに役立つ」,「役立つ」を併せて78.8%であった.ガイドラインのどの部分をよく利用するかを尋ねたところ,「治療のアルゴリズム」が77%と最も多く利用されており,次いで「診断・サーベイランス」39%,「経皮的局所療法」38%,「手術」34%と続いた.「ガイドラインを使用して治療方針に変化がありましたか」という質問には「変化した」という回答は20.8%とむしろ少なく,「変化はないがガイドラインが自分の推奨に近いことを確認し自信が持てた」が40.3%と多くを占めた.「変化した」内容については,「治療選択に時間がかからなくなった」が50%で,「時間がかかるようになった」の8%を大きく上回っていた.一方,「ガイドラインは医師の裁量を拘束すると思いますか」との質問には43.9%が拘束されると回答した.解答率が37%と高くないという問題はあるものの,本調査によって肝癌診療ガイドラインがわが国の肝癌専門医に広く認知され利用されていることが明らかになった.本アンケート調査の結果は2006年度から開始されているガイドライン改訂作業の参考資料になると期待される.<br>
著者
寺本 研一 高瀬 浩造 寺岡 弘文 有井 滋樹 斉藤 佳子 田中 雄二郎
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

1)ES細胞より肝細胞の分化誘導に関する研究前年度までの研究で、我々はマウスES細胞より胚様体細胞を経由してアルブミン産生細胞を分化させることに成功した。この細胞は尿素合成能、アンモニア分解能を持ち、肝細胞にきわめて近い細胞と考えられた。この細胞をC57BL/6マウスに肝障害の条件下細胞移植したところ生着し、アルブミンを産生した。しかしながら、同時に20-30%の頻度で奇形腫の発生をみた。今回、奇形腫発生を抑制するために、細胞のセレクションを行った。まず、胚様体細胞より単層細胞培養を行い15日目に分離し、パーコール法により比重で細胞をセレクションした。この細胞群はoct3/4の発現はネガティブであった。この細胞を上述の肝障害モデルマウスに移植したところ奇形腫の発生は認めなくなった。以上より、ES細胞より奇形腫の発生しない細胞群の回収が可能になった。また、さらにこの細胞群をFACS, MACSを使用し他の血球成分を除去することによりアルブミン陽性細胞を多く得ることが可能になった。また、これらの細胞は四塩化炭素による強い肝障害マウスにおいて凝固因子を有意に増加させることが判明した。2)カニクイザルES細胞ES細胞の臨床応用を目指して霊長類カニクイザルES細胞から肝細胞の分化誘導を試みた。霊長類ES細胞の分化誘導はマウスES細胞の分化誘導と異なる方法が必要であるが、我々の方法でアルブミン産生細胞を誘導することができた。3)血からの肝細胞の分化誘導我々は膀帯血からの肝細胞分化誘導に成功したが、アルブミンとCK-18、アルブミンとCK-19を発現する2種類の細胞を確認した。現在、胆管上皮細胞に分化誘導が可能かどうか研究中である。