著者
木下 四郎 渡辺 久 米良 豊常 北村 滋 小林 誠 長田 豊 和泉 雄一 小鷲 悠典 野口 俊英 石川 烈
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.509-517, 1981-09-28 (Released:2010-07-16)
参考文献数
16
被引用文献数
3 4

Maintenance phase is the most important stage in terms of the patient's continued oral health. Whether periodontal therapy succeeds or not depends on his plaque control.O'Leary et al. (1972) has devised “Plaque Control Record” and noted that goal in teaching oral hygiene procedures was to reduce plaque accumulations until they were found on 10 percent or less of the available tooth surfaces.The purpose of this study was to investigate appropriate level of plaque control in order to maintain periodontal health at the maintenance phase using the plaque control record.36 patients who had been recieved periodontal therapy at our department and visited hospital for periodic recall were investigated. Oral hygiene status and periodontal tissue condition of these patients were evaluated by the plaque control record, oral hygiene index, gingival index and pocket depth. In addition, oral photographs of the patients were taken.The results obtained were as follows:1. It seemed to be very difficult that patients maintained at the level of 10 percent or less of plaque control record at the maintenance phase.2. The patients, who showed the level of teen to twenty percent of plaque control records, exhibited clinically no inflammation at their gingiva and did not recur the deepening of periodontal pockets.3. At the thirty percent of plaque control record, edematous gingiva was observed. When the level of plaque control reached to forty clinically inflammatory change was evident.4. It was found that the plaque was retained more at the mandibule than the maxilla, on the left than the right, at the mesiodistal surfaces than the buccolingual and at the mesial aspects than the distal.
著者
和泉 雄一 青山 典生
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.374-377, 2014 (Released:2014-09-25)
参考文献数
11

要旨:歯周病は,歯肉,歯根膜,セメント質および歯槽骨で構成される歯周組織の破壊を伴う炎症性疾患である.日本人の約70%に何らかの歯周病の症状が認められている.従来,血液疾患,発育異常,代謝異常や感染症などの全身疾患が歯周組織の状態を悪化させると考えられていた.しかし近年,口腔と全身との関連性が科学的に追求されたことにより,歯周病が循環器疾患,糖尿病,呼吸器疾患,早産・低体重児出産などに深く関わっていることも報告されている.特に,歯周病患者は健康な人と比較して,冠動脈疾患による死亡,心筋梗塞,脳卒中のリスクが高いことが報告されている.歯周病により血中のCRP 増加やアテローム形成の亢進が認められていることから,これらが歯周病と脳卒中などの循環器疾患を結びつけている可能性がある.
著者
竹内 康雄 青木 章 平塚 浩一 Chanthoeun Chui 一ノ瀬 顕子 上窪 彩乃 和泉 雄一
出版者
Japan Society for Laser Surgery and Medicine
雑誌
日本レーザー医学会誌 (ISSN:02886200)
巻号頁・発行日
pp.jslsm-38_0035, (Released:2017-12-12)
参考文献数
59
被引用文献数
2 2

従来,歯科治療における感染歯質や歯根表面のプラーク除去は,主に機械的な手段により行なわれてきたが,近年,半導体レーザーやLED光に色素を組み合わせた抗菌的光線力学治療(a-PDT)の応用について研究が進められている.本稿では口腔の二大疾患であるう蝕と歯周病におけるa-PDTの応用について,基礎的・臨床的研究に基づき概説するとともに,特に歯周治療への応用を目指した我々の研究を紹介する.
著者
和泉 雄一 青山 典生
出版者
The Japan Stroke Society
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.374-377, 2014

要旨:歯周病は,歯肉,歯根膜,セメント質および歯槽骨で構成される歯周組織の破壊を伴う炎症性疾患である.日本人の約70%に何らかの歯周病の症状が認められている.従来,血液疾患,発育異常,代謝異常や感染症などの全身疾患が歯周組織の状態を悪化させると考えられていた.しかし近年,口腔と全身との関連性が科学的に追求されたことにより,歯周病が循環器疾患,糖尿病,呼吸器疾患,早産・低体重児出産などに深く関わっていることも報告されている.特に,歯周病患者は健康な人と比較して,冠動脈疾患による死亡,心筋梗塞,脳卒中のリスクが高いことが報告されている.歯周病により血中のCRP 増加やアテローム形成の亢進が認められていることから,これらが歯周病と脳卒中などの循環器疾患を結びつけている可能性がある.
著者
高松 秀行 片桐 さやか 長澤 敏行 小林 宏明 小柳 達郎 鈴木 允文 谷口 陽一 南原 弘美 早雲 彩絵 和泉 雄一
出版者
特定非営利活動法人日本歯科保存学会
雑誌
日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.31-39, 2013-02-28

目的:慢性歯周炎はインスリン抵抗性を亢進させることにより,2型糖尿病患者の血糖コントロールを悪化させると考えられている.高感度C反応性タンパク(hs-CRP), tumor necrosis factor-α (TNF-α), interleukin-6 (IL-6),また,アディポネクチン,レプチン,レジスチンのようなアディポカインなどのさまざまなメディエーターの増加や減少は,インスリン抵抗性に関与すると考えられている.本研究の目的は,歯周炎に罹患した2型糖尿病患者における,歯周治療による血糖コントロールおよび血清中のメディエーターへの影響を調べることである.対象と方法:歯周炎を伴う2型糖尿病患者41名に,抗菌薬の局所投与を併用した歯周治療を行った.ベースライン時と歯周治療2,6カ月後に,歯周組織検査として,プロービング深さ(PPD),プロービング時の出血(BOP)を測定し,また採血を行って糖化ヘモグロビン(HbA1c), hs-CRP, TNF-α, IL-6,アディポネクチン,レプチン,レジスチンを測定した.結果:全被験者において,PPDとBOPは有意に減少したがHbA1cおよび血清中のメディエーターには有意な変化は認められなかった.次に,6カ月後のBOPの改善率が50%以上の群(BOP-D群)とBOPの改善率が50%未満の群(BOP-ND群)に分けて解析を行ったところ,BOP-D群ではPPD, BOP, HbA1cが有意に減少しており,血清中のアディポネクチンは有意に増加していた.一方,BOP-ND群においては,PPDとBOPの有意な減少が認められたが,HbA1cや血清中のメディエーターには有意な変化は認められなかった.さらにBOP-D群においては,BOPとレジスチンの6カ月間の変化量の間に有意な正の相関(p=0.03, ρ=0.49)が認められた.結論:歯周炎に罹患した2型糖尿病患者において,歯周組織の炎症が顕著に改善した被験者では,血清アディポネクチンの増加およびHbA1cの減少が認められた.またBOPの減少に伴ってレジスチンも減少することが示された.歯周炎に罹患した2型糖尿病患者に対してBOPの改善率が50%以上と表されるように大きく炎症が減少することにより,インスリン抵抗性が改善し,血糖コントロールが安定する可能性が示された.
著者
鈴木 丈一郎 中島 啓介 國松 和司 高柴 正悟 原 宜興 和泉 雄一 横田 誠 鴨井 久一 小田 茂 福田 光男 川浪 雅光 野口 俊英
出版者
JAPANESE SOCIETY OF PERIODONTOLOGY
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.162-174, 2007-06-28
被引用文献数
4 3

臨床歯学では,知識だけでなく技能および患者対応を含めた総合的な習得が求められている。そこで今回,今後の歯周病学実習の内容を検討するために各大学の歯周病学実習で行っているOSCEや臨床実地試験問題の実態を把握することを目的とし,全国29歯学部・歯科大学から,臨床前の歯周病学の臨床基礎実習内容と実習運営の現状に関してアンケート調査を行った。調査対象者は,歯周病学を担当する日本歯周病学会理事29名で,歯周病学実習の実態把握のための無記名式の質問票を,平成15年12月に郵送し,平成16年3月10日までに回収を行った。その結果,29校のうち,4年次に実習を開始するところが最も多く,次いで5年次に開始していた。実習の回数は,2回~23回まで幅広い分布を示していた。また,1回の実習時間は,90分から360分の間に分布しており,総実習時間の平均は34.5時間であった。実習の内容としては,過半数の大学が実施しているのは,歯周診査,ペリオチャート・レントゲン診断,ブラッシング指導,スケーリング,歯周外科,咬合調整,暫間固定であった。OSCE形式の課題としては,ブラッシング指導が最も多く,次いで,スケーリング・ルートプレーニングであった。最近の傾向としては,歯周病の病状説明かブラッシング指導に重点が置かれている。OSCEにおける歯周病学の課題は,今後の歯周病学教育の方向性を示すものであり,非常に重要性が高いと考えられる。
著者
牧野 文子 瀬戸口 尚志 和泉 雄一 末田 武
出版者
特定非営利活動法人日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.233-239, 1998-06-28
被引用文献数
1

歯周疾患患者において歯ブラシの植毛部の形態の違いが隣接面部のプラーク除去効果に及ぼす影響を調べるため,2種類の歯ブラシ(ストレートカット歯ブラシ,山切りカット歯ブラシ)を試作し検討した。成人性歯周炎と診断され歯周治療を終了した,メインテナンス中の患者34名(男性8名,女性26名)を被験者とし,山切りカット歯ブラシ群,ストレートカット歯ブラシ群,ストレートカット歯ブラシと歯間ブラシ併用群の3群に分け,各ブラシを3週間使用させた。ブラッシング法や回数などは特に規定しなかった。プラーク付着量を実験開始時から1週毎に3週調べた。また,実験開始時および終了時にProbing Depth, Gingival Index, Bleeding on Probingを測定した。その結果,山切りカット歯ブラシは,ストレートカット歯ブラシに比べて,有意に隣接面のプラーク除去に対して効果的であったが,歯間ブラシ併用程の効果はなかった。また,この山切りカット歯ブラシは歯間空隙の大きな部位に比べ,小さな部位において効果が高かった。
著者
石川 烈 吉江 弘正 村上 伸也 栗原 英見 和泉 雄一 西原 達次 岡野 光夫
出版者
東京女子医科大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

現在行われている歯周治療では歯周炎の進行を阻止することにとどまり、歯周炎により破壊された組織を健常な状態に戻す再生治療には至っていない。歯周組織の再生研究は3段階の過程として示すことができる。第1段階は組織再生誘導法と呼ばれる処置で、破壊された歯周組織への上皮の侵入を阻止し、周囲の組織からのその部位への細胞増殖を待ち、定着させる方法である。これに対して第2段階の進歩は単に待つのみではなく、成長因子等を加えることにより積極的に再生を導き出そうとするものである。本研究班では川浪らはBMP-2を、和泉らはGDF-5を、村上らはβ-FGFを用いて研究を進め、それぞれの成果を示しているが、いずれも期待させる成果を得ている。第3段階の進歩は再生を導く歯周組織細胞を欠損部に直接用い、更に確実に再生を導こうとする研究である。即ち自己細胞移植を軸とした組織工学を応用した新しい歯周組織再生治療法を世界に発信することである。栗原らは骨髄からの間葉系細胞を用いて、吉江らは骨膜間葉細胞を用い、五味らは歯髄細胞を用い、大石らはヘルトビッヒ上皮鞘細胞を用い、太田らは自己増殖細胞歯根膜組織を用いてその再生機構を追求した。石川らは岡野の開発した温度応答性培養皿を用い、ヒト歯根膜細胞のシートを用いた歯周組織の再生を試みた。この結果、自己歯根膜シートを歯周組織欠損部に移植することにより、ほぼ完全なセメント質とシャーピー線維を伴う歯周組織の再生が得られることを見出した。渡辺はその臨床応用を可能にするCPCを構築した。基礎研究として小方らは石灰化機構に重要な役割を果す骨シアロタンパク質の転写促進機構を明らかにし、西原らはムコ多糖類のコンドロイチン硫酸の破骨細胞分化抑制機構を明らかにした。これらの研究は2回にわたって研究成果報告会として発表され、公開された場で充分な討議を行い、真の再生治療への可能性が高まった。
著者
和泉 雄一 笠毛 甲太郎 平岡 孝志 谷口 拓郎 濱田 義三 末田 武
出版者
特定非営利活動法人日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.658-666, 1995-12-28
参考文献数
45
被引用文献数
2 1

歯周病関連細菌のひとつであるPorphyromonas gingivalis (P.g)のextracellular vesicles (ECV)が,好中球の各種機能を発現させるために必要な基本的因子である細胞形質膜流動性に与える影響を検討した。P.g ATCC 33277から硫安塩析法にてECVを調製し,透過型電子顕微鏡観察,電気泳動,および化学組成分析を行うことによってECVが分離,調製されたことを確認した。好中球は全身的に健康でかつ歯周疾患の認められない成人の末梢血から分離した。調製されたECVを各種濃度(0, 10, 50, 100μg/ml)で好中球た作用させた後,5-あるいは16-stearic acidラベル剤(5-SAL, 16-SAL)を好中球に取り込ませ,電子スピン共鳴装置を用いたスピンラベル法にて膜流動性の測定とcytochrome C還元法による活性酸素産生量の測定を行った。その結果,好中球形質膜表層(5-SAL)で膜流動性を有意(p<0.01)に低下させた。しかし,ECVは各濃度において形質膜深層(16-SAL)では膜流動性に有意な影響を及ぼさなかった。さらに,ECV (100μg/ml)はN-formyl-methionyl-leucyl-phenylalanine, phorbol myristate acetate刺激下で好中球の活性酸素産生を有意(p<0.01, p<0.05)に抑制した。以上のことから,歯肉溝あるいは歯周ポケットや歯肉組織中に遊走した好中球は歯周病関連細菌由来ECVによって影響を受け,膜流動性および細胞機能が低下する可能性が示唆された。