著者
三木 武寛 大林 由美子 目黒 敬一郎 岡本 雅之 岩崎 昭憲 小川 尊明 三宅 実
出版者
日本小児口腔外科学会
雑誌
小児口腔外科 (ISSN:09175261)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.105-108, 2008-12-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
17

In clinical oral surgery, we often encounter cases of infants who fall down while holding a toothbrush in their mouth and receive an oral injury from a toothbrush. This particular case was that of a 5-year-old girl who accidentally injured her left buccal mucosa with a toothbrush. After the injury, she was immediately brought to the hospital by ambulance. When she arrived at our hospital, the toothbrush was still embedded in the oral wound. We examined her oral wound by computer tomography (CT). We found that the tip of the toothbrush was located in the vicinity of the left medial pterygoid muscle, and there was neither damage from the toothbrush itself nor on the maxillary artery and basal skull. We removed the toothbrush carefully under local anesthesia, and then cleaned the wound by adequate normal saline and administered antibacterial drugs (SBT/ABPC) intravenously. No serious complications were seen after the treatment.It is strongly suggested that in such a case an immediate examination be conducted by CT in order to avoid severe complications and to insure a good healing process.
著者
栁澤 純 宮原 聡 濱武 大輔 今給黎 尚幸 大渕 俊朗 樋口 隆男 吉永 康照 白石 武史 岩崎 昭憲
出版者
一般社団法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.24, no.5, pp.780-783, 2010-07-15 (Released:2011-02-09)
参考文献数
14

腎癌は血行性転移を来たしやすく,その転移先では肺が多いとされる.腎癌肺転移巣に対し外科的切除を行った症例の治療成績および予後予測因子を検討した.1995年3月~2008年12月までの間に外科的治療を行った転移性肺腫瘍のうち,腎癌からの肺転移症例は14例あった.術式は肺部分切除術が13例に,区域切除術が1例に行われた.肺転移巣切除後のmedian survival time(MST)は40.1ヵ月で5年生存率はそれぞれ35%であった.また,これらのうちdisease free interval(DFI)を2つの群に分け検討したところ,DFIが24ヵ月未満の症例ではMST 40ヵ月,5年生存率17%であった.一方DFIが24ヵ月以上の症例ではMST 69.9ヵ月,5年生存率67%と有意差は認めないが良好な成績であった.腎癌肺転移症例に対して,特にDFIが24ヵ月以上の症例では積極的な外科的治療により,長期予後が期待できると考えられた.
著者
平塚 昌文 岩崎 昭憲
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.101, no.6, pp.1624-1630, 2012 (Released:2013-06-10)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

内科的治療が限界に達した肺気腫に対する外科治療として,Lung Volume Reduction Surgery(LVRS)と肺移植が挙げられる.LVRSは米国での多施設共同試験NETT studyを中心とした報告から,ある程度呼吸機能が温存された上葉優位型の肺気腫がよい適応と考えられている.しかしLVRS後の機能改善は一時的であり,最重症例では術後死亡率も高くなり慎重な適応決定が必要となる.一方,COPDに対する肺移植は1980年代,Cooperらによって導入された.呼吸機能的にはLVRS対象のCOPDより重症例が適応となる.生存延長に関する寄与は少ないもののQOL向上には大きな効力を発揮し,欧米では多くのCOPD症例の肺移植が実施されている.我国では実施は10例程度に止まっているが,臓器移植法改正に伴う脳死ドナー増加で今後は症例数が増加する事が予測される.
著者
今給黎 尚幸 大渕 俊朗 濱中 和嘉子 吉田 康浩 宮原 聡 柳澤 純 濱武 大輔 白石 武史 岡林 寛 岩崎 昭憲
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.25, no.6, pp.595-599, 2011-09-15 (Released:2011-10-26)
参考文献数
10

肺分画症は,肺組織に体循環系の奇形性異常動脈からの流入を有する先天性疾患であり,肺葉内分画症と肺葉外分画症とがある.我々は1994年4月から2010年3月までに当院およびその関連施設で手術を行った肺分画症15例を対象とし,術前診断および手術手技を中心にその臨床像を検討した.術前に全例で造影CTが施行されたが確定診断に至ったものは11例であり,残りの4例は術中所見で診断された.下葉に嚢胞や硬化像が認められる症例では肺分画症も念頭に入れ,異常動脈を検索することが必要である.胸腔鏡手術は4例に適応され,その内2例で開胸手術に移行した.条件が整えば胸腔鏡手術でも安全に施行できる症例があることが確認された.異常動脈の処理における自動縫合器の使用については,本検討では8例に施行され合併症は認めず利便性と安全性を鑑みると十分容認できると考えられた.