著者
品川 喜代美 金 娟廷 河村 彩乃 岩崎 裕子 高戸 良之 大越 ひろ
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.126-133, 2014 (Released:2014-07-04)
参考文献数
22
被引用文献数
1

高齢者向けにテクスチャーを改善した餅様食品が開発されている。その食べやすさについて検討するため,テクスチャー特性と筋活動量の測定ならびに官能評価を行った。テクスチャー特性の測定は,飲み込む直前の食塊についても行った。試料は,高齢者向けに開発された餅様食品S,K,および市販の切餅を用いた。餅様食品SおよびKのテクスチャー特性の付着性は,切餅に比べて小さいことが示された。若年者を被験者にした官能評価において,餅様食品SおよびKの喉につまる危険性は,切餅に比べて低いと評価された。また,SおよびKの筋活動量は切餅に比べて少ないことが示された。餅は高齢者が喉につめやすい食品であり,高齢化にともない咀嚼機能が低下するといわれている。付着性と喉につまる危険性および筋活動量に関係がえられたことから,付着性を抑えた餅様食品は,切餅に比べて食べやすいことが明らかとなった。
著者
岩崎 裕子 大越 ひろ 城 史子 高石 聡淑 島 宏治
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.268-275, 2016 (Released:2016-09-01)
参考文献数
23

飲料の粘度が“のどごし”に及ぼす影響を,官能評価および筋電図測定を行い検討した。被験者を若年群と熟年群について,更に飲用時の頭位を頭位0°(垂直)と頭位後屈として比較した。試料はずり速度50 s-1における粘度を,40,60,90 mPa・sとした3試料と,原液(1 mPa・s)の4試料とした。以後,η1,η40,η60,η90と示す。 官能評価における“のどごし”の結果,若年群は,η1,η40,η60には差が無く,η90が悪いと評価した。熟年群は η60の試料をのどごしが良いと評価した。共通して η90は後味が悪いと評価し,のどごしが良いというイメージは,ビールやすっきりした感じを求めることが示唆された。また,嚥下筋活動量を測定した結果,官能評価ののどごしと関連性はみられなかった。のどごしは粘度の影響を受けるが,個人の嗜好によるところが大きいため,適当な値を確定することは難しい。
著者
岩崎 裕子 大越 ひろ
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.23-30, 2013 (Released:2013-11-22)
参考文献数
23
被引用文献数
2

大根とゾルを混合した混合系試料を調整し,固形物の硬さの相違が混合系試料の食べやすさへ及ぼす影響を検討するため,力学的特性の測定,官能評価,筋活動測定を行った。 混合系試料は大根とトロミ調整食品を混合して調製した。大根は,加圧加熱,蒸し加熱,生,と硬さを段階的に変化させた三試料を用い,それぞれMR,MS,MPとした。コントロールとして蒸し大根のみの試料を大根Sとした。 喫食者にとっては試料全体ではなく,固形物の硬さが重要であることが示された。また,大根Sが混合Rよりも総筋活動量が低く,官能評価において飲み込みやすいと評価され,ゾルと混合することよりも,食品の硬さをある程度軟らかくすることが,きざみ食の食べやすさの改善に有効であることを示した。
著者
岩崎 裕子 大越 ひろ 石原 清香 船見 孝博
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.84-95, 2012-02-15 (Released:2012-03-28)
参考文献数
19
被引用文献数
2 2

コンニャク入りゼリーの破断特性に及ぼす測定条件および調製条件の影響を検討した.コンニャク入りゼリーは比較として用いた寒天ゼリーに比べて測定条件の影響を受けやすいことがわかり,この結果をもとに測定の再現性,普遍性および実用性という観点から力学測定条件を決定した.さらに,コンニャク入りゼリーは,膨潤時間のような調製条件によっても破断特性値が変化することが明らかになった.コンニャク入りゼリーの力学試験方法を標準化する際に,これらの知見は有益である.
著者
大須賀 彰子 岩崎 裕子 高橋 智子 大越 ひろ
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.15-22, 2013 (Released:2013-11-22)
参考文献数
18
被引用文献数
5

本研究では,油脂の性状がマッシュポテトの飲み込みやすさに及ぼす影響を力学的特性と官能評価の観点から検討した。試料は性状の異なる3種の油脂,すなわち液状油O,固形脂F(ゲル状油脂),固形脂S(ショートニング),また対照として水をマッシュポテトに添加し,調製した。その結果,固形脂のテクスチャー特性の硬さと降伏応力がマッシュポテト試料に影響していた。水平方向の抵抗力の測定により得られた平均抵抗力はマッシュポテト試料のなめらかさやすべりやすさの指標となり,この測定法の有効性が示唆された。マッシュポテト試料中の副材料を顕微鏡で観察したところ,水と油脂では分散が異なり,力学的特性にも影響することが示された。官能評価では,水添加試料が硬く,なめらかさに欠ける傾向を示した。また,水と液状油Oを添加した試料が固形脂F添加試料に比べ,有意にべたつき感と残留感が少なく,飲み込みやすいと評価された。