著者
福田 亜希子 岩崎 雅史 山本 有作 石渡 恵美子 中村 佳正
出版者
一般社団法人日本応用数理学会
雑誌
日本応用数理学会論文誌 (ISSN:09172246)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.109-181, 2013-03-25

近年,ハングリー型の離散可積分系である離散ハングリー戸田方程式と離散ハングリーロトカ・ボルテラ系から,非対称行列の固有値が高精度に求まるアルゴリズムが定式化されている.本論文では,アルゴリズムの導出過程に加え,中心多様体理論を利用した漸近解析,浮動小数点数演算における混合誤差解析,高速化のための原点シフトに関する結果について概説する.ハングリー型の離散可積分系を結ぶベックルント変換についても示す.
著者
近藤 弘一 笹田 昇平 小幡 雅彦 岩崎 雅史 中村 佳正
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌. コンピューティングシステム (ISSN:03875806)
巻号頁・発行日
vol.48, no.8, pp.216-225, 2007-05-15
参考文献数
13

本論文では非可逆画像圧縮におけるKakarala-Oeunbona (KO)の画像分解アルゴリズムを考える.KO分解では行列の特異値分解(SVD)を利用した主成分分析が行われ,2次元解散ウェーブレット変換と同様な多重解像度解析が可能である.左特異ベクトルをフィルタとして利用することが特徴である.一般に特異値の近接度が高いとき,SVD数値計算アルゴリズムによって特異ベクトルが高精度に求められるとは限らない.本論文ではKO分解における特異値の近接度を低減させるアルゴリズムを提案する.元画像に対してランダム模様のふちどりを追加することで特異値分布を変化させる.数値実験によりその効果を示し,圧縮画像の誤差評価を行う.さらには,フィルタ行列の量子化について議論する.
著者
高田 雅美 木村 欣司 岩崎 雅史 中村 佳正
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌コンピューティングシステム(ACS) (ISSN:18827829)
巻号頁・発行日
vol.47, no.7, pp.91-104, 2006-05-15
被引用文献数
6

高精度かつ高速に上2 重対角行列を特異値分解するために,我々は,dLV(離散ロトカ・ボルテラ:discrete Lotka-Volterra)系による新たな特異値分解ライブラリを開発している.既存ライブラリとしては,線形数値計算ライブラリLAPACK におけるDBDSQR がある.DBDSQR は,QRs法に基づいた特異値分解ライブラリであるが,計算量が多く,実行時間の面で大規模向きではない.また,いくつかの特異ベクトルのみを計算することも困難である.一方,dLV 系により定式化されたI-SVD(Integrable-Singular Value Decomposition)法は,計算量が抑えられる動作原理を持つ.本論文では,I-SVD 法の実装ライブラリDBDSLV を開発し,実行時間と計算精度について,DBDSQR との比較数値実験を行う.精度を調べる際,真の特異値と特異ベクトルが判明している上2 重対角行列が必要となる.そこで,Golub-Kahan-Lanczos 法によるテスト行列作成法を用いる.実験の結果,DBDSLV は,DBDSQR よりも誤差の少ない特異値と特異ベクトルを非常に短い実行時間で計算されることが確認された.計算された特異ベクトルの直交性も同程度であり,再直交化を行えばDBDSQR を上回ることも分かった.To perform SVD (Singular Value Decomposition) of bidiagonal matrices with high accuracy and high-speed, we develop a library by using the dLV (discrete Lotka-Volterra) system. Today's standard routine for SVD is DBDSQR provided in LAPACK (Linear Algebra PACKage). Since the computation of SVD by DBDSQR is based on the QRs (QR with shift) algorithm, DBDSQR is slow in speed and is unsuitable for large scaled problems. It is also difficult to obtain only a few singular vectors by using DBDSQR. On the other hand, the I-SVD (Integrable-SVD) scheme based on the dLV system enables us to cut down the computational cost by separating the computation process of singular values and vectors. In this paper, for evaluation of computational time and accuracy, we implement the I-SVD scheme to a new routine named DBDSLV and compare it with DBDSQR. For a comparison of accuracy, we use a method for constructing a class of upper bidiagonal random test matrices having true singular values and vectors by means of the Golub-Kahan-Lanczos method. As experimental results, we confirmed that DBDSLV is faster and errors of singular values and vectors in DBDSLV are smaller than those in DBDSQR. Though the orthogonality of computed singular vectors in DBDSLV is in the same order as in DBDSQR, we found that DBDSLV has a better orthogonality through a reorthogonalization.
著者
片山 幹基 木村 欣司 高田 雅美 坪井 洋明 岩崎 雅史 中村 佳正
出版者
一般社団法人日本応用数理学会
雑誌
日本応用数理学会論文誌 (ISSN:09172246)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.389-407, 2008-09-25
被引用文献数
1

本論文では,上2重対角行列の高速特異値分解法1-SVDにおける左特異ベクトル計算部を改善し,直交性の優れた精度のよい左特異ベクトルを高速に求める新たな手法を定式化する.さらに,その有効性を数値実験により評価する.