著者
沖 一匡 笹原 孝太郎 岸本 浩史 吉福 清二郎 高橋 裕輔
出版者
日本外科系連合学会
雑誌
日本外科系連合学会誌 (ISSN:03857883)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.135-139, 2012
被引用文献数
1

84歳,女性.近医にてS状結腸軸捻転の疑いにて当院へ救急搬送となった.大腸内視鏡にて軸捻転解除を試みたが,解除困難で,緊急手術となった.手術所見ではS状結腸軸捻転は存在せず.大網が横行結腸に癒着し,横行結腸の狭窄と穿孔を認めた.悪性疾患による結腸狭窄,穿孔と判断.結腸切除施行し,盲腸と下行結腸に人工肛門を造設した.免疫染色の結果,Calretinin(+),HBME-1(+),EMA(+),CEA(-)であり,悪性中皮腫と診断された.病歴聴取でアスベストの暴露歴はなく,術後の胸部CTにて明らかな胸膜壁肥厚は認めなかった.悪性中皮腫の頻度は全悪性腫瘍の約0.2%程度で,約20%が腹膜に生じる.特異的症状に乏しく,多くの症例で腹水貯留を来すが細胞診による正診率は低く,最終的には組織生検を施行し,診断する.今回われわれは,腹部膨満,急性腹症に対する緊急手術で発見された腹膜悪性中皮腫を経験したので若干の文献的考察を加えここに報告する.
著者
千須和 寿直 田内 克典 大森 敏弘 森 周介 岸本 浩史 小池 秀夫 樋口 佳代子 宮澤 正久
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.69, no.10, pp.2462-2467, 2008 (Released:2009-04-07)
参考文献数
18
被引用文献数
4 2

目的:急性虫垂炎の診断におけるCTを重視したプロトコールの正確性と虫垂径の測定の有用性の評価.対象と方法:2002年1月から2004年6月の間に急性虫垂炎と診断した連続した239人を検討した.CTでの診断基準は6mm以上の虫垂径または2次性の炎症変化とした.病理学的な診断基準は筋層以上の炎症細胞浸潤とした.結果:239人のうち235人がCTを受けていた.222人が虫垂切除術を受け,205人が病理学的に急性虫垂炎と診断された.CTで虫垂径が6mm以上あった200人中193人が病理学的に急性虫垂炎と診断された.手術症例の陽性的中率は92.3%(205/222)で,CTで虫垂径が6mm以上あった手術症例の陽性的中率は96.5%(193/200)であった.また保存的治療症例の35.3%(6/17)が再発し,10mm以上で再発率が50%(5/10)と高かった.結論:CTは急性虫垂炎の診断に有用である.