著者
千須和 寿直 田内 克典 大森 敏弘 森 周介 岸本 浩史 小池 秀夫 樋口 佳代子 宮澤 正久
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.69, no.10, pp.2462-2467, 2008 (Released:2009-04-07)
参考文献数
18
被引用文献数
4 2

目的:急性虫垂炎の診断におけるCTを重視したプロトコールの正確性と虫垂径の測定の有用性の評価.対象と方法:2002年1月から2004年6月の間に急性虫垂炎と診断した連続した239人を検討した.CTでの診断基準は6mm以上の虫垂径または2次性の炎症変化とした.病理学的な診断基準は筋層以上の炎症細胞浸潤とした.結果:239人のうち235人がCTを受けていた.222人が虫垂切除術を受け,205人が病理学的に急性虫垂炎と診断された.CTで虫垂径が6mm以上あった200人中193人が病理学的に急性虫垂炎と診断された.手術症例の陽性的中率は92.3%(205/222)で,CTで虫垂径が6mm以上あった手術症例の陽性的中率は96.5%(193/200)であった.また保存的治療症例の35.3%(6/17)が再発し,10mm以上で再発率が50%(5/10)と高かった.結論:CTは急性虫垂炎の診断に有用である.
著者
松森 正之 大久保 琢郎 向井 友一郎 築部 卓郎 渡部 宜久 大森 敏弘 家永 徹也 佐藤 洋 笹田 明徳 中村 和夫
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.25, no.7, pp.1994-1998, 1992-07-01
被引用文献数
2

食道平滑筋肉腫はまれな疾患で文献的にはこれまで95例が報告されているにすぎない.最近,われわれは2例の巨大な食道平滑筋肉腫の手術切除例を経験したので報告する.症例1は39歳の男性,多発性の肝転移をともなった巨大な腫瘍であったが,手術を2期に分けて切除しえた.まず1回目の手術で右開胸により腫瘍が浸潤した右肺下葉を切除し体位を変え左開胸開腹連続切開により1,500gの腫瘍を切除した.食道再建は胃管により胸骨後経路で行った.2回目の手術は40日後に非定型的肝右葉拡大切除術を施行し肝の内側区,前下および後下区域の肝転移巣を切除しえた.術後経過は良好で20日後に退院したが,第1回目手術から1年2か月後に多発性縦隔および肝転移で死亡した.症例2は46歳男性,左開胸開腹連続切開により腫瘍が浸潤した左肺下葉と下部食道を切除した.腫瘍の重量は800gであった.再建は空腸を間置し術後経過良好であり,現在術後3か月目になるが外来で経過観察中である.