著者
森 周介 笹原 孝太郎 田内 克典
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.233-238, 2009 (Released:2009-07-05)
参考文献数
13
被引用文献数
4 4

症例は80歳,女性.内科の定期診察で腹部腫瘤を触知した.CTおよびMRIでは,結腸肝彎曲部外側に長径60mm大の不整形軟部腫瘤を認め,FDG-PETで同部に高集積像を認めた.手術所見では,結腸肝彎曲部漿膜面に腫瘤を認め,大網に播種結節を認めた.術中組織検査にて,漿液性乳頭腺癌に類似する組織像との診断で,結腸右半切除術を施行,播種結節を取り切るように大網を切除した.右付属器は肉眼的に異常を認めなかったが,原発巣の可能性を考慮し切除した.S状結腸の強い癒着のため左付属器の観察は断念した.肉眼所見では,径70mm×65mm,割面は白色充実性分葉状の腫瘤であった.組織学的検査所見では,病変の中心は腹膜脂肪組織内にあり,結腸固有筋層まで浸潤する漿液性乳頭腺癌であった.右付属器は卵管采付近に5mmの癌巣を認めたが,大きさと広がりから考えて,腹膜原発漿液性乳頭腺癌と診断した.
著者
石金 恵子 境 美代子 村藤 頼子 広上 真里子 杉政 美雪 北川 洋子 吉田 郁子 中川 輝昭 田内 克典 水島 豊 落合 宏
出版者
Japanese Society of Environmental Infections
雑誌
環境感染 (ISSN:09183337)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.177-180, 1997-11-28 (Released:2010-07-21)
参考文献数
10

病室内のカーテンの細菌汚染状態を知り, カーテンの適正交換頻度を知る目的で, 10病室 (一般病室4, MRSA隔離室6) のカーテンに付着している細菌をバイオエアーチエッカーを用い1週間隔で5回調査した.その結果, 下記の成績が得られた.1) 4週間を通じてカーテンの付着菌数の累積的増加は認められなかった.2) 分離菌ではブドウ球菌がもっとも多く, ついでグラム陽性桿菌, 真菌の順であった.3) MRSA隔離室のほうが一般病室より多くの菌数が検出された.4) MRSA隔離室6室のうち2室で濃厚なMRSA汚染が認められた.5) 消毒用エタノール噴霧はいずれの細菌の除菌にも有効であった.以上より, カーテンの交換頻度はMRSA隔離室では患者の退室ごとに, また一般病室では肉眼的汚れに応じ, 年3-4回定期的に交換するのが適当ではないかと考えられた.
著者
千須和 寿直 田内 克典 大森 敏弘 森 周介 岸本 浩史 小池 秀夫 樋口 佳代子 宮澤 正久
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.69, no.10, pp.2462-2467, 2008 (Released:2009-04-07)
参考文献数
18
被引用文献数
4 2

目的:急性虫垂炎の診断におけるCTを重視したプロトコールの正確性と虫垂径の測定の有用性の評価.対象と方法:2002年1月から2004年6月の間に急性虫垂炎と診断した連続した239人を検討した.CTでの診断基準は6mm以上の虫垂径または2次性の炎症変化とした.病理学的な診断基準は筋層以上の炎症細胞浸潤とした.結果:239人のうち235人がCTを受けていた.222人が虫垂切除術を受け,205人が病理学的に急性虫垂炎と診断された.CTで虫垂径が6mm以上あった200人中193人が病理学的に急性虫垂炎と診断された.手術症例の陽性的中率は92.3%(205/222)で,CTで虫垂径が6mm以上あった手術症例の陽性的中率は96.5%(193/200)であった.また保存的治療症例の35.3%(6/17)が再発し,10mm以上で再発率が50%(5/10)と高かった.結論:CTは急性虫垂炎の診断に有用である.