- 著者
-
岸本 良美
- 出版者
- Japan Society of Nutrition and Food Science
- 雑誌
- 日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
- 巻号頁・発行日
- vol.74, no.3, pp.121-126, 2021 (Released:2021-06-14)
- 参考文献数
- 14
食品に含まれる機能性成分の疾病予防効果を解明するためには, 基礎研究, 臨床研究, 疫学研究を含めた多面的な検討が必要である。筆者は主にポリフェノールとカロテノイドに着目し, 低比重リポタンパク質 (LDL) の酸化や炎症の抑制, 血管機能改善など多様な機能により動脈硬化性疾患の予防につながる可能性を検討してきた。また, 日本におけるこれらの摂取量や摂取源についてはほとんど知見がなかったことから, 日本でよく食される食品の総ポリフェノール量を測定, データベースを構築し, いくつかの集団においてポリフェノール摂取量を推定した。さらに, 健康診断受診者や冠動脈造影検査受診者を対象にした横断研究や, 地域住民を対象とした前向きコホート研究において, ポリフェノール摂取量が酸化ストレス指標や, 冠動脈疾患リスクと負に関連することを報告した。これらの知見は, 機能性食品成分による動脈硬化予防作用の解明に資するとともに, 日本人における食と健康に関するエビデンスとしても重要であると考えられる。