著者
岸田 未来
出版者
北ヨーロッパ学会
雑誌
北ヨーロッパ研究 (ISSN:18802834)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.1-11, 2016 (Released:2017-12-01)

本稿は、スウェーデン企業のコーポレート・ガバナンス体制における従業員代表制の役割を、先行研究のアンケート調査の内容をもちいて明らかとした。取締役会における従業員代表は、労働組合によって選出されており、取締役会から職場への速やかな意思決定の伝達を行うとともに、限定された範囲ながら、職場の意向や情報を取締役会へ直接伝えるという、双方向の情報伝達機能を担っていたと考えられる。このような機能をもつ従業員代表制と、それを含むステークホルダー型コーポレート・ガバナンス体制は、労使協調体制の下で20年以上にわたり安定して継続し、スウェーデン企業の特質を形成してきた。ただし近年では、ステークホルダー型コーポレート・ガバナンスの機能が近い将来に低下しうる兆候もみられる。
著者
岸田 未来
出版者
北ヨーロッパ学会
雑誌
北ヨーロッパ研究 (ISSN:18802834)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.23-35, 2010 (Released:2018-10-01)

スウェーデン大企業の多くは, スフェアと呼ばれる, 銀行や投資会社を核とする企業の集団に属しており, その大株主は取締役派遣等を通じて企業経営に影響を及ぼしてきた。しかし1980年代以降の金融市場自由化は, この企業統治体制に変容を迫るものであった。本稿は, ストックホルム株式市場における株式所有構造の変化をふまえて, ヴァレンベリ・スフェアに属するアセア/ABB 社の企業統治体制の変化を分析した。 株式市場における外国人投資家の急増は, スフェアの安定していた株式所有構造を外部から揺るがす主要因であり, スフェア企業内でも, 激化する国際競争に生き残るため, 英米型の経営手法を取り入れざるを得なくなっている。これに応じて, 社会的に企業のコーポレート・ ガバナンスを監視する制度も整えられてきた。 スウェーデン企業における英米流経営スタイルの浸透は, 伝統的なスウェーデンの労使協調体制にも影響を及ぼすことが予測される。