著者
幅 大二郎 秦 斉 滝沢 知大 冨田 早苗 峰松 健夫 真田 弘美 仲上 豪二朗
出版者
Japanese Society for Electrophysical Agents in Physical Therapy
雑誌
物理療法科学 (ISSN:21889805)
巻号頁・発行日
pp.2023-001, (Released:2023-06-15)

糖尿病足潰瘍は足切断や死亡のリスクが高く早期の創傷治癒が必要である.低周波振動(LFV)療法は糖代謝改善に伴い創傷治癒を促進するが,同じく創傷治癒促進効果を持つ超音波(US)療法で局所糖代謝が生じているかは不明である.本研究ではLFVとUSでの脂肪細胞での糖代謝促進機能を比較した.3T3-L1脂肪細胞へ3 MHz,0,0.5,1.0,3.0 W/cm2,照射時間率20%,10分/日のUSを5日間照射した.3.0 W/cm2では細胞形態が変化し脂肪滴の分解がみられた.脂肪滴分解を防ぐため強度を下げて1.0 W/cm2を選択してUS群とし,対照群,LFV群,US群に分け糖取り込み量と対照群に対する細胞内Ca2+蛍光比を測定して比較した.結果はLFV群で糖取り込み量が有意に増加し(p<0.05),細胞内Ca2+蛍光比はLFV群で有意に増大していた(p<0.01)が,US群では糖取り込み促進および細胞内Ca2+蛍光比の増大はみられなかった.以上より脂肪細胞へのLFVは糖代謝促進効果を示したがUSには糖代謝促進効果はなく,高強度US照射は脂肪滴の分解効果を示した.
著者
臺 美佐子 峰松 健夫 小川 佳宏 高西 裕子 須釜 淳子 真田 弘美
出版者
Japanese Society of Wound, Ostomy and Continense Management
雑誌
日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌 (ISSN:1884233X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.10-17, 2021 (Released:2021-03-31)
参考文献数
15

目的:弾性ストッキングは主要なリンパ浮腫管理方法である。しかし、高温多湿な夏季には、装着継続のモチベーション維持に困難感を生じさせる。そこでわれわれは、この問題を解決すべくキシリトール加工したキュプラ繊維を用いた接触冷感弾性ストッキングを開発した。本研究の目的は、プロトタイプによる下肢リンパ浮腫患者への接触温冷感の効果および安全性を検証することである。 方法:本研究は前後比較試験で、下肢リンパ浮腫患者をリクルートし、対象者は介入前(従来型)と介入後(接触冷感弾性ストッキング)を各1日自宅で装着して過ごした。アウトカムは、主観的な接触温冷感としてASHAREスコアである7 点法スケール質問紙に、装着直後と脱着時に回答した。その後、電話にて皮膚トラブルと浮腫状態についてインタビューし回答を得た。 結果:分析対象となった者は下肢リンパ浮腫患者の女性13 名で、接触冷感弾性ストッキングによる有害事象が発生した者はいなかった。接触温冷感の評価では、11 名が装着直後では介入前より介入後のほうが冷たいと感じ、中央値+1(やや温かい)から-1(やや冷たい)へ有意に減少した(P=0.002)。一方、脱着時には両グループに前後で有意な差は見られなかった(P=0.133)。また、皮膚トラブルや浮腫増悪の生じた者はいなかった。 結論:キシリトール加工したキュプラ繊維を用いた接触冷感弾性ストッキングは、下肢リンパ浮腫患者に対して皮膚トラブルや浮腫悪化なく接触冷感を感じさせる可能性があると示唆された。
著者
峰松 健夫 真田 弘美 森 武俊 仲上 豪二朗 野口 博史 玉井 奈緒
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

(1)スキンブロッティングの原理:角質細胞間脂質のラメラ構造の電子顕微鏡観察が必要であるが、従来の試料作製法では不可能である。そこで新たな試料作製法を考案し、通常電顕で観察ができることを明らかにした。また、タイトジャンクションについては、Claudin1の組織染色性が変化することからスキンブロッティングによる一時的な開裂が示唆された。(2)褥瘡の超早期発見を実現するためのスキンブロッティングに用いるバイオマーカーの選択を動物実験で行い、虚血・リンパ還流障害・虚血再灌流障害・組織変形を示すバイオマーカーとしてそれぞれPAI1、VEGF-C、IL1α、HSP90αを同定した。