- 著者
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島 久洋
- 出版者
- The Japanese Group Dynamics Association
- 雑誌
- 教育・社会心理学研究 (ISSN:0387852X)
- 巻号頁・発行日
- vol.8, no.1, pp.87-103, 1968
対人認知の3つの指標, AS。, DP, そして, DNを組合わすことにより, リーダーの対人認知様式を8つに分類し, 集団の成績を上げる必要のある状況において, フォロワーのノルマをリーダーが設定する場合, これら8つのタイプのリーダーが如何に行動するかを分析した。さらに, リーダーのフォロワーへの手紙を分析することにより, これらリーダーの行動特徴を調べた。第一課題において仮空のフォロワーA, Bのアイディアと評価点をリーダーに知らせることによりA>Bの能力差をリーダーに認知させ, 第二課題でのA, Bのノルマをリーダーに設定させた。第二課題においてリーダーにA, Bへの手紙をかかせた。その結果, 次のことが明らかにされた。<BR>1. AS。得点の低いリーダーは, 得点の高いリーダーにくらべてA, B両者に対して予想得点 (リーダーが認知したフォロワーの能力) より高いノルマを設定し, 一方, AS。得点の高いリーダーは, 得点の低いリーダーにくらべてAに対しては予想得点に近いノルマを, Bに対しては予想得点より少し低いノルマを設定した。<BR>2. DP得点の高いリーダーは, DP得点の低いリーダーにくらべてAに対して予想得点より高いノルマを設定し, DP得点の低いリーダーは, DP得点の高いリーダーにくらべてAに対して予想得点に非常に近いノルマを設定した。また, DN得点の低いリーダーは, DN得点の高いリーダーにくらべて自分の能力より低い予想をしたAの言い分を受け入れやすいことがあきらかになった。<BR>3. 手紙によるリーダーの行動の分析からは, 明確な結果が得られず, 分析方法の反省がなされた。