著者
榊田 希 佐藤 実佳 貫洞 里美 鹿島 かおり 島田 慎一 石井 里枝
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.151-157, 2022-08-25 (Released:2022-08-30)
参考文献数
32

埼玉県内の市販国産鶏肉および市販国産豚肉を対象として,Campylobacter jejuni/coli,サルモネラ,腸管出血性大腸菌(EHEC),腸管毒素原性大腸菌(ETEC), Yersinia enterocolitica,Escherichia albertiiによる汚染状況を調査した.カンピロバクターは鶏肉の35.7%(60/168検体),豚肉の7.3%(14/190検体)から検出された.鶏肉においてはC. jejuniが優勢であり,豚肉においてはC. coliが優勢であった.サルモネラは鶏肉の58.1%(100/172検体),豚肉の19.9%(41/206検体)から検出された.検出率の高い血清型は,鶏肉由来株においてはS. Schwarzengrund,豚肉由来株においてはS. Typhimuriumの単相変異株であった.EHECは鶏肉82検体および豚肉124検体からは検出されなかった.ETECは鶏肉の0.6%(1/160検体),豚肉の2.4%(5/206検体)から検出された.Y. enterocoliticaは鶏肉83検体からは検出されず,豚肉の9.3%(18/193検体)から検出された.特にタンの検出率が21.0%(13/62検体)と高かった.E. albertiiは,鶏肉49検体,豚肉59検体からは検出されなかった.鶏肉はカンピロバクターおよびサルモネラによる汚染率が高いこと,また豚肉はカンピロバクター等に加え,ETECおよびY. enterocolitica血清型O3により汚染されていることが確認された.
著者
篠原 美千代 内田 和江 島田 慎一 後藤 敦
出版者
社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.73, no.8, pp.749-757, 1999-08-20 (Released:2011-02-07)
参考文献数
19
被引用文献数
1

手足口病の主要な原因ウイルスであるコクサッキーウイルスA16型 (CA16) とエンテロウイルス71型 (Ev71) の簡便な検査方法, 特に中和反応を用いない同定方法を検討した.ウイルス分離では1990年にはVero細胞による分離が最も多かったが, 1994年以降は分離数が減少し, 代わってCaco-2細胞による分離が増加した.1998年はCA16の分離にMRC-5細胞も使用したが, Caco-2細胞と同等の感受性であった.細胞変性効果の出現はMRC-5細胞が最も早かった.CA1-10, ポリオウイルス1-3, エコーウイルス1~7, 9, 11, 14, 16, 17, 18, 24, 25, 27, 30, Ev71の各ウイルス及び分離ウイルスについてRNAを抽出し, 2種の下流プライマー (E31及びE33) を用いて2系列の逆転写反応を行った後, 同一の上流プライマー (P-2) を加えてPCRを実施した.P-2/E31の系では増幅されず, P-2/E33の系で増幅されるのはCA6, CA16, Ev71のみであった.分離ウイルスのP-2/E33系の増幅産物を制限酵素Taq I及びEcoT22Iで処理したところ, Ev71はすべて切断されなかったが, CA16はすべて切断され, その切断パターンはTaq Iでは3種類, EcoT22 Iでは1種類であった.この結果は塩基配列上の切断部位とも一致した.Caco-2, MRC-5細胞を使用してウイルス分離を行い, さらにRT-PCR, Taq I, EcoT22I切断を実施することにより1週間程度でCA16及びEv71を分離同定することが可能であった.