著者
安倍 正人 嶋 明弘 上田 隆 金井 浩 牧野 正三 城戸 健一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.28, no.12, pp.1306-1317, 1987-12-15
被引用文献数
1

筆者らは ディジタル信号処理技術を応用して 音響および音声信号処理の研究を行っている.具体的には 音響信号処理分野では機械系の故障診断 音源位置の推定を行っており 音声信号処理の分野では不特定話者単語音声認識に関する研究を行っている.これらの処理はいずれも膨大な計算量および記憶容量を必要とし かつ 最終的にはリアルタイムで行わなければならない.そのため 汎用計算機では演算速度 リアルタイム性および処理の連続性の点で問題があり DSPでは記憶容量 演算精度およびソフトウェアの柔軟性の点で問題がある.このため 筆者らはホスト計算機のバックエンドプロセッサとして ディジタル信号処理を主な目的とした以下に示す3つの特徴を持つ高速演算装置μKIDOCHを開発した.(1)ホスト計算機との間のデータ転送ネックを解消するため パイプライン化メモリにより結合する(2)マイクロプログラム方式によるパイプライン処理を行う.(3)データパスあるいはアドレスパスとして使える3本の32bitパスおよび128bitプログラムバスを用いることにより 複数の演算器が並列に動作する.本報では 試作した高速演算装置以μKIDOCHの特徴とクロスアセンブラを用いて作成した種々のプログラムにより検討したμKID0CHの性能について報告する.