著者
安倍 正人 城戸 健一
雑誌
情報処理学会研究報告計算機アーキテクチャ(ARC)
巻号頁・発行日
vol.1991, no.64(1991-ARC-089), pp.75-80, 1991-07-19

現状のVLIW型の計算機の問題として、入力データのポート数が1つしか無いことがあげられる。すなわち、たとえ演算器が複数あってもほとんどの計算において実際に動作する演算器は1つだけということになり、パフォーマンスが良くない。そこで、我々は複数のデータキャッシュをサポートするVLIW型計算機KIDOCHを開発中である。具体的には2つのデータキャッシュをサポートし、さらに5ポートレジスタファイルを用いてキャッシュ間のコヒーレンスも保つようにしている。また、この5ポートレジスタファイルはMMUのTLBおよび汎用のレジスタファイルとしても効果的に用いられている。さらに、これらの機能を有効に使うためのCコンパイラについても特にループ展開について詳しく述べている。
著者
孫寧 安倍 正人 根元 義章
雑誌
情報処理学会研究報告グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.110(1994-CG-072), pp.169-176, 1994-12-16

距離尺度は手書き文字認識システムの精度を左右する重要な要素の一つであるため,これまで数多くの距離尺度が提案され,理論的に論じてきた.代表的距離尺度として,シティブロック距離,ユークリッド距離,重みつきユークリッド距離,部分空間法,複合類似度法,ベーズ法,マハラノビス距離などが挙げられる.しかし,大規模な手書き文字認識システムの距離尺度として,それぞれの距離尺度が実際どの程度の効果があるかについては,大変重要にもかかわらず,殆ど議論されていない.本稿では,認識システムにとって,最も重要な認識精度に重点をおき,代表的な7種類の距離尺度について,実験的にそれぞれの有効性を比較し,最も有効な距離尺度を明らかにする.さらに,比較実験によって得られた最も有効な距離尺度(マハラノビス距離)に対し,軸の分散特徴を考慮した高速かつ高精度な改良型マハラノビス距離を提案する.提案する改良型マハラノビス距離を用いた認識実験では,ETL9Bの全セットに対し,平均98.24%(オープン)の高い認識率が得られた.本稿では,距離尺度に関する比較実験および改良型マハラノビス距離を中心に報告する.
著者
孫 寧 安倍 正人 根元 義章
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.78, no.6, pp.922-930, 1995-06-25
被引用文献数
62

本論文では,高精度な手書き文字認識システムDASH(Directional element feature And Subspacemethod based Handwritten character recognition system)を提案する.DASHの特徴として,(1)外側加重や線素化アルゴリズムの改良を加えた改良型方向線素特徴量(2)部分空間法における部分空間の構築方法が挙げられる.DASHの認識精度を検証するため,ETL9Bの全セットを用いてオープン実験を行った.その結果,全セット平均として,97.76% の認識率が得られ,提案するシステムが手書き文字認識において極めて有効であることが判明した.
著者
孫寧 安倍 正人 根元 義章
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.110, pp.169-176, 1994-12-16

距離尺度は手書き文字認識システムの精度を左右する重要な要素の一つであるため,これまで数多くの距離尺度が提案され,理論的に論じてきた.代表的距離尺度として,シティブロック距離,ユークリッド距離,重みつきユークリッド距離,部分空間法,複合類似度法,ベーズ法,マハラノビス距離などが挙げられる.しかし,大規模な手書き文字認識システムの距離尺度として,それぞれの距離尺度が実際どの程度の効果があるかについては,大変重要にもかかわらず,殆ど議論されていない.本稿では,認識システムにとって,最も重要な認識精度に重点をおき,代表的な7種類の距離尺度について,実験的にそれぞれの有効性を比較し,最も有効な距離尺度を明らかにする.さらに,比較実験によって得られた最も有効な距離尺度(マハラノビス距離)に対し,軸の分散特徴を考慮した高速かつ高精度な改良型マハラノビス距離を提案する.提案する改良型マハラノビス距離を用いた認識実験では,ETL9Bの全セットに対し,平均98.24%(オープン)の高い認識率が得られた.本稿では,距離尺度に関する比較実験および改良型マハラノビス距離を中心に報告する.In this paper, we propose a handwritten character recognition system by using modified Mahalanobis distance. There are two features in this paper, the first is that we clarified the most effective distance measure for handwritten character recognition which using directional element feature, and the second is that we modified the typical Maharanobis distance so that a very high recognition rate 98.24% of ETL9B was obtained. In addition to this, a 1/4 reduction of calculation time was attained by the proposed distance measure in comparison with the original Maharanobis distance.
著者
安倍 正人 嶋 明弘 上田 隆 金井 浩 牧野 正三 城戸 健一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.28, no.12, pp.1306-1317, 1987-12-15
被引用文献数
1

筆者らは ディジタル信号処理技術を応用して 音響および音声信号処理の研究を行っている.具体的には 音響信号処理分野では機械系の故障診断 音源位置の推定を行っており 音声信号処理の分野では不特定話者単語音声認識に関する研究を行っている.これらの処理はいずれも膨大な計算量および記憶容量を必要とし かつ 最終的にはリアルタイムで行わなければならない.そのため 汎用計算機では演算速度 リアルタイム性および処理の連続性の点で問題があり DSPでは記憶容量 演算精度およびソフトウェアの柔軟性の点で問題がある.このため 筆者らはホスト計算機のバックエンドプロセッサとして ディジタル信号処理を主な目的とした以下に示す3つの特徴を持つ高速演算装置μKIDOCHを開発した.(1)ホスト計算機との間のデータ転送ネックを解消するため パイプライン化メモリにより結合する(2)マイクロプログラム方式によるパイプライン処理を行う.(3)データパスあるいはアドレスパスとして使える3本の32bitパスおよび128bitプログラムバスを用いることにより 複数の演算器が並列に動作する.本報では 試作した高速演算装置以μKIDOCHの特徴とクロスアセンブラを用いて作成した種々のプログラムにより検討したμKID0CHの性能について報告する.
著者
小川 裕太 永田 仁史 藤岡 豊太 安倍 正人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.166, pp.19-24, 2009-07-27

MUSICに基づく音源方向推定において,頭部伝達関数の影響を受けた2chの受音信号から音声の到来方向を逐次的に推定する方法を提案する.この方法は,音声信号成分の時間-周波数軸上のスパース性を仮定し,既に方向推定した音源に起因する周波数成分の重みを低下させることによって次の音源の方向推定精度を高める.筆者らは,同じ考え方を既提案の重み付きウイナー利得(WWG)に基づいた方向推定[1]において導入しているが,本論文では,よく使われる高分解能法であるMUSIC法にもこの考え方を適用できるように,空間スペクトル上の最大ピークを構成する周波数成分の振幅に基づいて逐次的な処理を行う.さらに,逐次処理から得られる音源方向の候補について,各候補に属する成分パワーの和を計算して音源数を推定する.提案法の性能評価のため,頭部伝達関数を用いて両耳受聴音を模擬し,様々な音源方向からの到来音を想定して音源方向の検出精度を求める計算機シミュレーションを行った.性能評価の結果,音源が3個で各音源の信号対雑音比(S/N)が10dBのとき,コヒーレンスに基づく成分選択を用いた通常のMUSIC法の検出率が約3%であるのに対し,提案法は音源数を既知とした場合が83%,音源数推定も同時に行った場合が78%となり,通常のMUSIC法の性能を大幅に向上できることが確かめられた.
著者
陳 国躍 安倍 正人 曽根 敏夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.82, no.6, pp.851-859, 1999-06-25
参考文献数
23
被引用文献数
10

騒音の能動制御 (Active Noise Control : ANC) を広い空間で実現するためには, 複数の打消しスピーカ及びエラーセンサが必要となり, また, 騒音源が複数存在する場合には, 複数の参照センサを必要とする. そのため, 音響伝達系は複雑になり, 能動制御の性能が劣化する. 本論文では, このような多入力多制御点のANCシステムの複雑な音響伝達系における性能劣化の原因を, 周波数領域での評価法を用いて検討する. その結果, 入力多制御点のANCシステムにおいては, 複数のスピーカから放射された打消し音が, 空間で混じり合うこと(カプリング)と, 参照信号間に相関があることにより, 適応アルゴ.リズムの収束速度が遅くなり, また, 計算誤差が大きく, 打消し量が小さくなることを明らかにする. 更に, 検討結果をもとに, 適応アルゴリズムの収束速度についていくつかの改善法を提案する.