著者
嶋田 総太郎
出版者
社団法人人工知能学会
雑誌
人工知能学会誌 (ISSN:09128085)
巻号頁・発行日
vol.16, no.6, 2001-11-01

本論文はクラシファイアシステムに高次ルールを導入することによって, 従来のクラシファイアシステムでは学習が困難であった非マルコフ環境および動的環境において, 学習性能を改善できることを論じたもので, 8章よりなる.第1章は序論であり, クラシファイアシステム研究の現状における問題点, ならびに本論文の目的などを述べている.第2章では, 従来提案されてきた代表的なクラシファイアシステムの概要を述べた後, クラシファイアシステムにおける諸問題およびその改善策に関する研究を総括している.そして, クラシファイアシステムの性能改善に求められる要件を明らかにし, 本研究の目的を述べている.第3章では, 第2章での検討をもとにして, クラシファイアシステムにおいて動的に高次ルールを生成する機構を提案している.特に非マルコフ環境において高次ルールを導入することで性能を改善できることを詳しく述べている.第4章では, マルコフ環境をべ一スとした動的環境の枠組みを提案している.従来のクラシファイアシステムの研究では動的環境についてはほとんど扱われておらず, 著者はまず動的環境の性質について議論した後でその定義を与えている.第5章では, 第4章で与えた定義に基づいて, 動的環境における高次ルールの機能について議論を行っている.そして環境の変化に合わせて高次ルールを動的に分割・結合するメカニズムを提案している.実験によって提案メカニズムが有効に機能することを示し, さらに従来のクラシファイアシステムでは学習が困難な環境変化が頻繁に起こるような場合でも提案システムは安定して学習を進められることを示している.第6章では, 本研究により得られた結果に対して総合的な考察を行っている.第7章では, クラシファイアシステム以外の研究分野における高次ルール研究を総括し, 本研究との関わりについて考察している.最後に第8章で, 本論文を総括している.