著者
松添 直隆 川信 修治 松本 幸子 木村 宏和 圖師 一文
出版者
日本生物環境工学会
雑誌
植物環境工学 (ISSN:18802028)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.115-122, 2006 (Released:2007-06-01)
参考文献数
26
被引用文献数
8 4

人工気象器でイチゴ(品種:‘とよのか’と‘女峰’)を栽培し,イチゴの果実成分に与える夜温の影響を調べた.果実の成熟日数は23/10℃(昼間/夜間)で最も長く,23/20℃で最も短かった.果重は夜温が高いと減少した.糖含量は23/20℃で有意に少なかった.有機酸含量は,‘とよのか’では処理間差がなかったが,‘女峰’では夜温が高いと増加する傾向にあった.また,糖酸比は両品種ともに23/20℃で非常に小さくなった.全アミノ酸含量は品種間差が認められた.夜温の影響は各アミノ酸により異なり,アスパラギン,グルタミン酸およびアラニンでは23/10に比べ23/20で低くかった.還元型アスコルビン酸は夜温の上昇に伴い低下したが,酸化型アスコルビン酸は夜温による差異がなかった.アントシアニン含量は夜温が高くなると増加した.また,アントシアニンの構成比には夜温の影響はなかった.エラグ酸含量は23/10℃に比べ23/20℃で高かった.また,夜温の上昇によるエラグ酸含量の増加は,‘とよのか’に比べ‘女峰’で大きかった.
著者
松添 直隆 山口 雅篤 川信 修治 渡部 由香 東 華枝 坂田 祐介
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.138-145, 1999-01-15
被引用文献数
9 24

本邦の6品種およびバングラデシュの8品種・系統のナス(Solanum melongena L.)を供試して, 果実への暗黒処理が果色および果皮のアントシアニン組成に与える影響を調査した.本邦の栽培品種と'Singhnath'の果色は"紫みの黒", 'KL purple'と'Borka'は"暗い赤みの紫"および'Uttara'は"くすんだ赤紫"であった, SL系統のうち'SL 28', 'SL 32'および'SL 50'は"黄緑"と"緑"の縞に一部"赤紫"の着色, 'SL 65'は"黄緑"に一部"赤紫"の着色がみられた.'早生米国大丸'以外の品種・系統の果皮の主要アントシアニンはdelphinidin 3-p-coumaroylrhamnosylglucoside-5-glucoside (Nasunin)で, その含有率は69.1∿87.7であった.一方, '早生米国大丸'の主要アントシアニンはdelphinidin 3-rhamnosylglucosideで, その含有率は79.5%であった.暗黒処理により, '早生米国大丸'の果色は"暗い赤紫"になったが, 果皮のアントシアニン組成は対照区と違いがなかった.また, 暗黒処理により, '千両2号', '庄屋大長'および'Borka'は"黄みの白"に一部"赤みの紫"を含む果色に, そして'SL 50'は"黄みの白"に一部"灰黄赤"を含む果色に変化したが, 果皮の主要アントシアニンの含有率には変化は認められなかった.'久留米長', '十市', '御幸千成', 'KL purple', 'SL 28', 'SL 32'および'SL 65'は暗黒処理下では果皮におけるアントシアニン系色素の発現は認められなかった.