著者
永野 達也 伊関 憲 仁木 敬夫 杉浦 明日美 二藤部 丈司 川前 金幸
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.207-210, 2010-04-01 (Released:2010-10-30)
参考文献数
15
被引用文献数
1

アナフィラキシーショックからの蘇生治療に難渋し心肺停止に至った1症例を経験した。症例は65歳の男性。ハチに刺されショック状態となり,当院救急部に搬送された。7ヵ月前に急性心筋梗塞の既往があり,β遮断薬を内服していた。アナフィラキシーショックに対してエピネフリンの筋注や静注を行ったが治療に反応せず,心静止となった。心肺蘇生とエピネフリンの追加投与により自己心拍が再開し,2ヵ月後に独歩退院した。本症例では心肺停止の原因として,ハチ毒による冠血管攣縮と,β遮断薬の内服がアナフィラキシーに対するエピネフリン治療に影響を及ぼした,という2つの病態が考えられた。β遮断薬内服中の患者がアナフィラキシーショックに至った場合には,通常の2~5倍量のエピネフリン投与が必要であると言われている。
著者
黒木 雅大 岡田 真行 鈴木 博人 川前 金幸
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.127-133, 2021

<p>超緊急帝王切開では母体の安全を確保しつつ,迅速な児娩出を目指す.そのために当院では超緊急帝王切開に対し多職種共通のプロトコールを作成し,手術決定から児娩出まで(Decision-to-Delivery Interval:DDI)の短縮を目指した.今回,この共通プロトコール運用の前後において,DDIとその内訳を検討した.共通プロトコールの運用後でDDIは有意に短縮し,特に手術室入室から気管挿管までが有意に短縮された.超緊急帝王切開において共通プロトコールの運用はDDIの短縮に有用であり,それには麻酔科医の行動が大きく関与している可能性が示唆された.</p>