著者
川口 真実 / 行實 志都子
出版者
日本福祉大学社会福祉学部
雑誌
日本福祉大学社会福祉論集 = Journal social Welfare, Nihon Fukushi University (ISSN:1345174X)
巻号頁・発行日
no.141, pp.83-94, 2019-09-30

本研究は,神奈川県における医療と介護に携わる福祉専門職がもつ連携に対する意識を明らかにすることを目的とした.また,本研究の仮説は,福祉専門職はそれぞれの職場が違っても,地域共生社会を支えるための連携に関する共通認識があるとした. 医療と介護の連携における具体的な共通課題として,「自分たちに求められる力」,「連携を見据えた研修体制の構築」の2つが明らかとなった.しかし,それぞれの専門職間において,"連携"に対する促え方の違いもみられた.この課題を解決するためにも「連携を見据えた研修体制の構築」が必要である.だが一方では,職場の事情により研修に参加したくても参加できないことや,「支援の縦割りの弊害」から自分の支援範囲以外に対する関心の低さが目立った.ただ連携に関する研修を整備するだけでは解決には至らない.連携には何がいるのか,自分はその中で何をするのかということをしっかりと理解し,行動に移すことができるようになる研修が必要である.
著者
川口 真実 綿 祐二
出版者
日本福祉大学経済学会
雑誌
日本福祉大学経済論集 = JOURNAL OF ECONOMIC STUDIES, Nihon Fukushi University (ISSN:09156011)
巻号頁・発行日
no.60, pp.77-85, 2020-03-31

福祉・介護サービスの職場(以下, 「福祉・介護職場」とする) では, 地域共生社会の実現に向けて, 「地域を基盤とする包括的支援の強化」等の内容が示されており, 質の高いサービスが提供できる人材育成が急務とされている. しかし, はっきりとした評価基準を作ることが難しいことが指摘されている. そこで本研究は, 福祉・介護職場における人事評価・人事考課の課題について,先行研究の概観から課題を明らかにすることを目的とした. 福祉・介護職場の人事考課においては, キャリアパス制度が進められているが, 各職層において業務内容が多岐にわたるため, 固有の職務が見えづらいことで, 評価の観点が伝わりづらいことが職員のモチベーションへ影響し, またそのことを改善するしくみがないことが明らかになった. また, 事業所の規模によっても, 実施に影響することも明らかとなった. 今後の課題は, 規模によらず人事考課ができるしくみづくりのため実態調査を進め, 個別の現場に応じたキャリアアップの仕組み構築についても検討する必要があると考えられる.